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キューバのトマト生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、キューバのトマト生産量は1961年から2022年にかけて大きな変動を示しており、そのピークは2005年の802,600トンに到達しました。一方、2020年以降は大幅に減少し、2022年の生産量は305,615トンと直近の低水準となっています。この期間のトマト生産量の推移は、キューバの農業政策、国際的な経済状況、そして自然災害の影響を含む複数の要因によって影響を受けていると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 305,615
2021年 317,232
2020年 290,448
2019年 480,300
2018年 553,906
2017年 584,072
2016年 481,470
2015年 551,007
2014年 454,112
2013年 678,000
2012年 557,100
2011年 601,000
2010年 517,040
2009年 750,000
2008年 575,900
2007年 627,900
2006年 636,000
2005年 802,600
2004年 788,700
2003年 643,700
2002年 496,000
2001年 452,700
2000年 554,300
1999年 405,100
1998年 147,600
1997年 186,400
1996年 208,500
1995年 180,900
1994年 95,900
1993年 171,954
1992年 265,480
1991年 175,012
1990年 164,960
1989年 259,955
1988年 335,012
1987年 210,533
1986年 253,627
1985年 270,755
1984年 228,369
1983年 153,333
1982年 226,540
1981年 311,774
1980年 206,932
1979年 163,925
1978年 139,469
1977年 160,252
1976年 173,517
1975年 168,747
1974年 299,134
1973年 100,530
1972年 57,248
1971年 84,143
1970年 53,194
1969年 44,143
1968年 98,912
1967年 164,135
1966年 133,135
1965年 120,039
1964年 111,618
1963年 92,536
1962年 140,400
1961年 109,200

キューバのトマト生産量は、1960年代の初期には比較的低い水準で推移していましたが、1974年には一度大幅に増加し299,134トンを記録しました。その後1980年代にかけて成長を続け、1988年には335,012トンとさらに規模を拡大しました。しかし、1990年代に入ると、生産量は再び変動を繰り返し、この時期は国内の経済的変動と、冷戦終結による地政学的な状況の影響が関わっていると推察されます。

特に冷戦終結後の1994年には95,900トンという著しい減少が見られましたが、その後徐々に回復を遂げ、2000年代には600,000~800,000トン台という高い生産量を維持しました。この達成は、国内農業の現代化政策が一因であると考えられます。しかし、2006年以降は減少傾向が見られ、2010年以降は大きな波が続いています。これは例えば、気候変動や、特定の年における異常気象の影響で収穫が左右された可能性があります。

さらに、2020年から始まった新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックは、キューバのトマト生産にも悪影響を与えました。これは人材の流動性制限、生産資材供給の不足、あるいは物流の停滞など、パンデミックに伴う混乱が農業セクター全体に影響を及ぼした一例と見られます。その結果、2020年の生産量は290,448トンに低下し、2022年でも305,615トンと回復は限定的です。

今後の課題としては、まず気候変動による農業への悪影響を緩和する取り組みが挙げられます。トマトは地中海性の気候に適した作物であり、異常気象や極端な天候が続けば、生産へのリスクが高まります。このため、旱魃に強い品種の開発や灌漑設備の整備が優先されるべきです。また、持続可能な農業プロセスを確保するため、土壌改良や適切な輪作の実施も重要です。

さらに、パンデミック以降の供給網の脆弱性や労働力の流出を補うためには、キューバ国内の農業経営の効率化を進める必要があります。国内投資の増加に加え、外国からの技術支援や地域間協力の枠組みを通じて、農業生産基盤を強化することも一案です。

キューバ政府や国際機関はこれらの戦略を通じ、国内の農業安定化とトマト生産の持続可能性を高める取り組みを進めると共に、国際市場における競争力を再獲得するための施策を講じる必要があります。