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キューバのトマト生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、キューバのトマト生産量は1961年から2022年にかけて大きな変動を示しており、そのピークは2005年の802,600トンに到達しました。一方、2020年以降は大幅に減少し、2022年の生産量は305,615トンと直近の低水準となっています。この期間のトマト生産量の推移は、キューバの農業政策、国際的な経済状況、そして自然災害の影響を含む複数の要因によって影響を受けていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 335,704
9.85% ↑
2022年 305,615
-3.66% ↓
2021年 317,232
9.22% ↑
2020年 290,448
-39.53% ↓
2019年 480,300
-13.29% ↓
2018年 553,906
-5.16% ↓
2017年 584,072
21.31% ↑
2016年 481,470
-12.62% ↓
2015年 551,007
21.34% ↑
2014年 454,112
-33.02% ↓
2013年 678,000
21.7% ↑
2012年 557,100
-7.3% ↓
2011年 601,000
16.24% ↑
2010年 517,040
-31.06% ↓
2009年 750,000
30.23% ↑
2008年 575,900
-8.28% ↓
2007年 627,900
-1.27% ↓
2006年 636,000
-20.76% ↓
2005年 802,600
1.76% ↑
2004年 788,700
22.53% ↑
2003年 643,700
29.78% ↑
2002年 496,000
9.56% ↑
2001年 452,700
-18.33% ↓
2000年 554,300
36.83% ↑
1999年 405,100
174.46% ↑
1998年 147,600
-20.82% ↓
1997年 186,400
-10.6% ↓
1996年 208,500
15.26% ↑
1995年 180,900
88.63% ↑
1994年 95,900
-44.23% ↓
1993年 171,954
-35.23% ↓
1992年 265,480
51.69% ↑
1991年 175,012
6.09% ↑
1990年 164,960
-36.54% ↓
1989年 259,955
-22.4% ↓
1988年 335,012
59.13% ↑
1987年 210,533
-16.99% ↓
1986年 253,627
-6.33% ↓
1985年 270,755
18.56% ↑
1984年 228,369
48.94% ↑
1983年 153,333
-32.32% ↓
1982年 226,540
-27.34% ↓
1981年 311,774
50.66% ↑
1980年 206,932
26.24% ↑
1979年 163,925
17.54% ↑
1978年 139,469
-12.97% ↓
1977年 160,252
-7.64% ↓
1976年 173,517
2.83% ↑
1975年 168,747
-43.59% ↓
1974年 299,134
197.56% ↑
1973年 100,530
75.6% ↑
1972年 57,248
-31.96% ↓
1971年 84,143
58.18% ↑
1970年 53,194
20.5% ↑
1969年 44,143
-55.37% ↓
1968年 98,912
-39.74% ↓
1967年 164,135
23.28% ↑
1966年 133,135
10.91% ↑
1965年 120,039
7.54% ↑
1964年 111,618
20.62% ↑
1963年 92,536
-34.09% ↓
1962年 140,400
28.57% ↑
1961年 109,200 -

キューバのトマト生産量は、1960年代の初期には比較的低い水準で推移していましたが、1974年には一度大幅に増加し299,134トンを記録しました。その後1980年代にかけて成長を続け、1988年には335,012トンとさらに規模を拡大しました。しかし、1990年代に入ると、生産量は再び変動を繰り返し、この時期は国内の経済的変動と、冷戦終結による地政学的な状況の影響が関わっていると推察されます。

特に冷戦終結後の1994年には95,900トンという著しい減少が見られましたが、その後徐々に回復を遂げ、2000年代には600,000~800,000トン台という高い生産量を維持しました。この達成は、国内農業の現代化政策が一因であると考えられます。しかし、2006年以降は減少傾向が見られ、2010年以降は大きな波が続いています。これは例えば、気候変動や、特定の年における異常気象の影響で収穫が左右された可能性があります。

さらに、2020年から始まった新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックは、キューバのトマト生産にも悪影響を与えました。これは人材の流動性制限、生産資材供給の不足、あるいは物流の停滞など、パンデミックに伴う混乱が農業セクター全体に影響を及ぼした一例と見られます。その結果、2020年の生産量は290,448トンに低下し、2022年でも305,615トンと回復は限定的です。

今後の課題としては、まず気候変動による農業への悪影響を緩和する取り組みが挙げられます。トマトは地中海性の気候に適した作物であり、異常気象や極端な天候が続けば、生産へのリスクが高まります。このため、旱魃に強い品種の開発や灌漑設備の整備が優先されるべきです。また、持続可能な農業プロセスを確保するため、土壌改良や適切な輪作の実施も重要です。

さらに、パンデミック以降の供給網の脆弱性や労働力の流出を補うためには、キューバ国内の農業経営の効率化を進める必要があります。国内投資の増加に加え、外国からの技術支援や地域間協力の枠組みを通じて、農業生産基盤を強化することも一案です。

キューバ政府や国際機関はこれらの戦略を通じ、国内の農業安定化とトマト生産の持続可能性を高める取り組みを進めると共に、国際市場における競争力を再獲得するための施策を講じる必要があります。