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キューバのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

キューバのパイナップル生産量は1961年には50,000トンを記録しましたが、次第に減少し1967年には6,678トンと低迷しました。その後、1970年代には増加傾向が見られましたが、全体的には変動が多い推移を示しました。特筆すべきは2000年代における顕著な増加で、2009年には70,920トン、2012年には84,068トンと記録されました。しかし、その後は下降傾向に転じ、最新データである2023年には28,491トンにとどまっています。このデータは、キューバの農業政策や気候、経済、社会的要因がパイナップルの生産に影響を与えてきたことを示しており、その変動の原因と今後の対策が重要な課題として浮かび上がっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 28,491
2.29% ↑
2022年 27,854
7.86% ↑
2021年 25,825
-7.96% ↓
2020年 28,057
-21.23% ↓
2019年 35,621
-12.9% ↓
2018年 40,897
-7.66% ↓
2017年 44,288
-8.69% ↓
2016年 48,501
6.21% ↑
2015年 45,664
-4.63% ↓
2014年 47,882
-42.18% ↓
2013年 82,807
-1.5% ↓
2012年 84,068
9.3% ↑
2011年 76,915
18.66% ↑
2010年 64,820
-8.6% ↓
2009年 70,920
28.04% ↑
2008年 55,387
7.35% ↑
2007年 51,597
13.76% ↑
2006年 45,357
10.26% ↑
2005年 41,137
-9.8% ↓
2004年 45,607
12.49% ↑
2003年 40,543
9.87% ↑
2002年 36,900
25.81% ↑
2001年 29,331
21.8% ↑
2000年 24,082
109.96% ↑
1999年 11,470
9.77% ↑
1998年 10,449
103.64% ↑
1997年 5,131
-32.49% ↓
1996年 7,600
5.67% ↑
1995年 7,192
-27.16% ↓
1994年 9,874
10.63% ↑
1993年 8,925
-57.7% ↓
1992年 21,099
4.34% ↑
1991年 20,222
-8.08% ↓
1990年 22,000
5.38% ↑
1989年 20,876
-4.2% ↓
1988年 21,791
-5.89% ↓
1987年 23,154
6.68% ↑
1986年 21,705
5.63% ↑
1985年 20,549
18.78% ↑
1984年 17,300
29.59% ↑
1983年 13,350
-15.07% ↓
1982年 15,718
7.52% ↑
1981年 14,619
-18.02% ↓
1980年 17,832
24.01% ↑
1979年 14,379
-20.54% ↓
1978年 18,097
5.06% ↑
1977年 17,225
-19.57% ↓
1976年 21,416
-3.36% ↓
1975年 22,161
-26.51% ↓
1974年 30,155
-2.49% ↓
1973年 30,924
-4.32% ↓
1972年 32,321
55.26% ↑
1971年 20,817
46.73% ↑
1970年 14,187
35.42% ↑
1969年 10,476
45.22% ↑
1968年 7,214
8.03% ↑
1967年 6,678
-31.02% ↓
1966年 9,681
-38.59% ↓
1965年 15,765
-50.55% ↓
1964年 31,881
-22.57% ↓
1963年 41,174
-8.5% ↓
1962年 45,000
-10% ↓
1961年 50,000 -

キューバにおけるパイナップル生産量の変遷は、同国の経済的、社会的、環境的な変化を反映しています。1960年代初頭には年間50,000トンを生産していたものの、その後の急減は、生産技術や設備の不足、農業政策の変化、そして気候変動など多くの要因に起因すると考えられます。この時期は社会主義体制移行期にあたり、農業の集団化政策が施行された一方で、効率的な管理の欠如が生産に悪影響を及ぼした可能性が高いです。

1970年代から1980年代にかけては生産量が回復傾向を示すものの、一定の停滞が見られました。この背景には、農業設備の老朽化や品質管理の問題が存在していた可能性があります。同じアメリカ大陸の他の地域では、この時期に技術革新が進む一方で、キューバにおいては外部からの影響や支援の不足が生産体制の改善を阻んでいたと考えられます。

2000年代の急増は注目すべきポイントです。政策的支援や国際市場へのアクセス拡大、及び近隣諸国との貿易強化が生産向上の背景にあった可能性があります。2009年に70,920トン、2012年には過去最高の84,068トンを記録したことは、技術力の向上や農業計画の成功を示唆しています。ただし、2014年以降は再び減少に転じ、2023年時点で28,491トンと、ピーク時の約3分の1にまで低下しています。この近年の減少については、気候変動の影響、災害の発生、人材・資本不足、さらには新型コロナウイルスの影響による労働力の減少や物流の停滞が原因と考えられます。

キューバのパイナップル生産量は、他国と比較してもその規模が小さいことが明らかです。例えば、フィリピンやタイなど東南アジア諸国では、既に百万トン単位の生産を長年維持しており、その輸出市場での競争力は依然として強大です。一方で中国の同生産量は2022年に約250万トンと、キューバの規模をはるかに上回っています。このような差は、生産技術やインフラ、さらに農業労働者の確保の難易度の違いに根ざしている可能性があります。

キューバが生産量を増加させ、再び農業輸出産品としての地位を確立するには、持続可能な農業政策の構築が必要です。まず、灌漑技術や抗病害技術の向上を目指し、生産効率を高めるべきです。そのためには、熾烈な国際市場競争の中で日本や韓国、さらにはドイツなどの先進農業を実施する国々と技術協力体制を築くことが鍵となります。また、農業者への教育プログラムや資金援助プランを拡充することで、若年層や熟練労働者を農業分野へ引き込む工夫も必要です。

さらに、気候変動への適応施策が喫緊の課題です。異常気象や干ばつといった自然災害のリスクを軽減するため、気候に強いパイナップル品種の開発や適応型農業政策を推進することが求められます。また、国内での消費促進と輸出市場のバランスを取ることで、供給の安定性を図るとともに、外貨獲得のルートを確保する必要があります。そして国際機関や地域間協力体制の活用により、インフラ整備を進め、国際市場への陸海物流の強化を促進することが提案されます。

これらの取り組みを実現するためには、キューバ政府と国際社会の協調が不可欠です。過去から現代まで様々な影響を受けてきたキューバのパイナップル産業ですが、政策の適切な実施と国際協力の強化によって、より安定的かつ競争力のある農業分野へと進化させる潜在力は十分に残されています。