国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2023年におけるキューバのメロン生産量は49,051トンでした。このデータから、1960年代から現在に至るまでの長期的な生産量推移には、大きな変動が見られることが分かります。特に、1960年代後半から1980年代にかけての急激な増減、その後1990年代以降の停滞傾向を経て、2000年代前半にかけては再び増加し、現在は安定的な生産が維持されています。
キューバのメロン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 49,051 |
7.04% ↑
|
2022年 | 45,827 |
-0.86% ↓
|
2021年 | 46,224 |
-0.85% ↓
|
2020年 | 46,622 |
-1.3% ↓
|
2019年 | 47,234 |
-4.42% ↓
|
2018年 | 49,420 |
1.19% ↑
|
2017年 | 48,840 |
2.99% ↑
|
2016年 | 47,423 |
4.76% ↑
|
2015年 | 45,270 |
-3.68% ↓
|
2014年 | 47,000 |
-6% ↓
|
2013年 | 50,000 | - |
2012年 | 50,000 |
-3.56% ↓
|
2011年 | 51,845 |
-0.39% ↓
|
2010年 | 52,049 |
-5.02% ↓
|
2009年 | 54,798 |
-4.23% ↓
|
2008年 | 57,219 |
-4.41% ↓
|
2007年 | 59,857 |
-10.34% ↓
|
2006年 | 66,763 |
-10.98% ↓
|
2005年 | 75,000 |
-17.48% ↓
|
2004年 | 90,885 |
21.83% ↑
|
2003年 | 74,599 |
15.66% ↑
|
2002年 | 64,499 |
17.27% ↑
|
2001年 | 55,000 |
3.77% ↑
|
2000年 | 53,000 |
1.92% ↑
|
1999年 | 52,000 |
126.09% ↑
|
1998年 | 23,000 | - |
1997年 | 23,000 |
-8% ↓
|
1996年 | 25,000 |
-10.71% ↓
|
1995年 | 28,000 | - |
1994年 | 28,000 |
-6.67% ↓
|
1993年 | 30,000 |
-6.25% ↓
|
1992年 | 32,000 |
-5.88% ↓
|
1991年 | 34,000 | - |
1990年 | 34,000 |
2.99% ↑
|
1989年 | 33,012 |
-3.85% ↓
|
1988年 | 34,333 |
-25.07% ↓
|
1987年 | 45,819 |
14.48% ↑
|
1986年 | 40,025 |
-15.37% ↓
|
1985年 | 47,293 |
14.35% ↑
|
1984年 | 41,359 |
-36.37% ↓
|
1983年 | 65,002 |
22.23% ↑
|
1982年 | 53,182 |
-11.99% ↓
|
1981年 | 60,424 |
21.24% ↑
|
1980年 | 49,840 |
50.47% ↑
|
1979年 | 33,122 |
27.28% ↑
|
1978年 | 26,022 |
-10.82% ↓
|
1977年 | 29,178 |
-15.54% ↓
|
1976年 | 34,545 |
-33.38% ↓
|
1975年 | 51,854 |
64.48% ↑
|
1974年 | 31,526 |
47.64% ↑
|
1973年 | 21,354 |
40.69% ↑
|
1972年 | 15,178 |
36.63% ↑
|
1971年 | 11,109 |
53.86% ↑
|
1970年 | 7,220 |
-7.68% ↓
|
1969年 | 7,821 |
-63.56% ↓
|
1968年 | 21,462 |
-7.62% ↓
|
1967年 | 23,232 |
74.26% ↑
|
1966年 | 13,332 |
-58.59% ↓
|
1965年 | 32,198 |
111.26% ↑
|
1964年 | 15,241 |
-10.21% ↓
|
1963年 | 16,974 |
6.09% ↑
|
1962年 | 16,000 |
-11.11% ↓
|
1961年 | 18,000 | - |
キューバのメロン生産量は、その経済的背景や農業政策、気候条件の変化によって大きな影響を受けてきました。データによれば、1960年代後半の生産量は20,000トンを超える水準で推移していましたが、その後急激に減少し、特に1969年には7,821トンという低水準にまで落ち込みました。この時期の急激な変動は、革命後の新しい農業政策の導入や、制度的な転換に伴う影響が要因として挙げられます。また、気候変動や国際市場の需要変化も関与していた可能性があります。
これに続く1970年代以降、キューバは農業政策の調整を進める中で、生産量を徐々に回復させました。1980年代には特に顕著な増加が見られ、1983年には65,002トンというピークを記録しました。この時期は、社会主義圏からの支援や輸出振興政策の効果も相まって、農業生産基盤が強化された時代といえるでしょう。しかしながら、1990年代に入り、社会主義圏の崩壊とともにメロン生産量は再び低迷し、25,000トン前後で停滞する期間が続きました。この減少は、資材不足やインフラの劣化、肥料や農業機械の供給難が影響していると考えられます。
2000年代に入ると、生産量は再び回復する流れとなり、特に2004年には90,885トンと顕著な伸びを示しました。この要因としては、農業における資源投入量の増加や、輸出向けに生産体制が強化されたことが考えられます。その後、近年では50,000トン前後で安定していますが、特に2015年以降は大きな伸びを見せていません。この安定期の背景には、気候変動の影響や、国内農業政策の限界がある点が挙げられます。
現在のキューバのメロン生産における最大の課題は、持続可能性の確立です。気候変動による干ばつリスクや台風といった自然災害の頻度増加、また疫病の流行が農作物に及ぼす影響は、今後さらに深刻化する可能性があります。このような状況下では、気候適応型の農業技術の導入が急務となります。一例として、より耐乾燥性のある品種の開発や、灌漑システムの効率化を進めることが重要です。また、メロンの生産コストの削減に向けた農業設備の近代化も、経済的な競争力を高めるうえで必要不可欠です。
さらに、地域間協力の枠組みを活用し、隣国や他のカリブ諸国との技術協力や市場連携を促進することも、有効な対策となります。例えば、ドミニカ共和国やメキシコでは、生鮮果物の効率的な生産・輸出がすでに行われており、これらの国との連携の強化が、キューバのメロン産業の活性化に寄与する可能性があります。
結論として、近年のデータを通じて示されるキューバのメロン生産の現状は安定的であるものの、今後に向けての課題として持続可能な農業の推進と、外的リスクへの適応が必要であることが分かります。この課題に対処するためには、技術革新や地域間連携が鍵となります。国際的な支援や投資を取り入れ、効率的かつ環境に配慮した生産モデルを構築することで、キューバのメロン産業はさらなる発展が期待できるでしょう。