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キューバのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、キューバのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1961年以降大きく変動を見せています。1990年代後半から2000年代前半にかけて急速に増加し、2005年にはピークの550,111トンを記録しました。しかし、2020年代に入ると減少傾向が顕著になり、2023年には327,569トンとなり、2000年代初期のレベルまで落ち込んでいます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 327,569
2% ↑
2022年 321,142
-0.77% ↓
2021年 323,650
13.38% ↑
2020年 285,462
-27.38% ↓
2019年 393,100
-13.08% ↓
2018年 452,264
-8.06% ↓
2017年 491,894
-5.2% ↓
2016年 518,862
7.54% ↑
2015年 482,481
-3.47% ↓
2014年 499,820
10.11% ↑
2013年 453,915
25.59% ↑
2012年 361,428
6.2% ↑
2011年 340,328
-1.95% ↓
2010年 347,082
-16% ↓
2009年 413,191
-2.2% ↓
2008年 422,480
-7.25% ↓
2007年 455,500
2.01% ↑
2006年 446,506
-18.83% ↓
2005年 550,111
6.37% ↑
2004年 517,151
7.34% ↑
2003年 481,784
15.66% ↑
2002年 416,555
18.39% ↑
2001年 351,848
20.83% ↑
2000年 291,203
61.91% ↑
1999年 179,852
46.21% ↑
1998年 123,012
61.65% ↑
1997年 76,100
34.53% ↑
1996年 56,569
30.26% ↑
1995年 43,428
29.64% ↑
1994年 33,500
24.07% ↑
1993年 27,000
-25% ↓
1992年 36,000
-35.71% ↓
1991年 56,000 -
1990年 56,000
3.7% ↑
1989年 54,000
0.77% ↑
1988年 53,585
-31.99% ↓
1987年 78,792
14.54% ↑
1986年 68,792
10.95% ↑
1985年 62,000
-0.41% ↓
1984年 62,253
-14.72% ↓
1983年 72,998
18.56% ↑
1982年 61,572
21.18% ↑
1981年 50,811
4.45% ↑
1980年 48,645
96.12% ↑
1979年 24,804
-19.94% ↓
1978年 30,982
22.7% ↑
1977年 25,250
-31.01% ↓
1976年 36,600
-50.2% ↓
1975年 73,500
41.62% ↑
1974年 51,900
8.14% ↑
1973年 47,994
55.57% ↑
1972年 30,851
-17.61% ↓
1971年 37,445
81.29% ↑
1970年 20,655
47% ↑
1969年 14,051
-48.26% ↓
1968年 27,156
-39.6% ↓
1967年 44,959
12.39% ↑
1966年 40,001
-24.75% ↓
1965年 53,156
-26.17% ↓
1964年 71,993
55.69% ↑
1963年 46,240
13.85% ↑
1962年 40,615
1.54% ↑
1961年 40,000 -

キューバの食糧生産のなかで、カボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンは重要な作物であり、その生産動向は国内の農業および経済状況を反映した指標といえます。1961年から始まるデータを見ると、1960年代から70年代にかけては、生産量が一進一退の動きを見せており、農業構造の変化や投資の不足が背景にあったと考えられます。当時、キューバは社会主義政府に基づく農業改革を進める一方で、気候変動や国際的な貿易制約に直面していました。生産量が著しく低下した1969年や1977年のような年は、気候的不安定性や政策の問題が影響したと推察されます。

1990年代後半には生産量が劇的に増加し、1998年の123,012トン、1999年の179,852トンから、2000年代初期の291,203トンを経て、2005年には550,111トンというピークに達しました。この劇的な増加は、国内農業改革と国際市場への適応を進めた努力の結果と考えられます。当時、キューバ政府は経済の一部自由化政策を進め、新技術や農業資材への投資を増加させたことが背景にあります。

しかし、2006年以降は勢いが停滞し、リーマンショック後の経済的影響やハリケーンを含む極端な気候現象が生産に影響を及ぼしました。特に、2010年代後半から2020年代にかけての減少は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も大きかったといえます。2020年にはパンデミックによる供給チェーンの障害や農業従事者の労働力不足が報告されています。

地政学的リスクも重要です。キューバは長年、アメリカの経済制裁を受けており、これが農業生産に必要な肥料や農機具の輸入を制約してきました。さらに、気候変動の影響で干ばつや豪雨が頻発する中、小規模農家の適応力には限界がある状況です。

2023年の生産量は327,569トンで、ピーク時から約40%の減少を記録しています。これは国民の食糧安全保障に直接的に影響を及ぼすだけでなく、輸出機会の喪失や農村部の経済への打撃にも繋がっています。このような負の循環を打破するためには、いくつか課題への取り組みが求められます。

まず、気候変動対策として、灌漑施設の整備や気候に適応した品種の開発が必要です。加えて、小規模農家への技術支援や融資を強化することで、持続可能な農業生産を促進することが重要です。さらに、アメリカとの関係改善を目指し、経済的な支援や技術移転を受け入れる準備が課題となるでしょう。また、地域協力の枠組みを構築することで、他国との協力を活用した農業技術の共有や市場拡大の可能性を広げることも有効です。

結論として、キューバのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は過去数十年で特筆すべき成長と課題の両面を示しており、今後の改善には国内政策と国際協力を通じた多角的な取り組みが不可欠です。国際機関のデータに基づく現状分析を通じて、キューバが安定的で持続可能な農業基盤を整えるステップを着実に踏むことを期待します。