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キューバのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が2024年7月に更新したデータによると、キューバのレモン・ライム生産量は大きな変動と長期低迷が特徴です。ピークは1987年の74,585トンで、2023年には最低値に近い4,352トンに減少しています。1980年代には大幅な増加が見られましたが、その後は1990年代から一貫した減少傾向を示し、2000年代以降は10,000トンを下回る状況が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,352
-5.59% ↓
2022年 4,610
3.96% ↑
2021年 4,434
-4.63% ↓
2020年 4,649
-1.68% ↓
2019年 4,729
-22.61% ↓
2018年 6,111
-35.9% ↓
2017年 9,533
20.2% ↑
2016年 7,931
20.55% ↑
2015年 6,579
-16.98% ↓
2014年 7,925
57.71% ↑
2013年 5,025
-22.39% ↓
2012年 6,475
-1.89% ↓
2011年 6,600
8.91% ↑
2010年 6,060
-26.99% ↓
2009年 8,300
53.7% ↑
2008年 5,400
-10% ↓
2007年 6,000
-2.18% ↓
2006年 6,134
-23.59% ↓
2005年 8,028
-63.51% ↓
2004年 22,000
-17.6% ↓
2003年 26,700
66.23% ↑
2002年 16,062
-11.79% ↓
2001年 18,208
-7.52% ↓
2000年 19,688
-16.49% ↓
1999年 23,576
30.25% ↑
1998年 18,100
-16.41% ↓
1997年 21,654
3.08% ↑
1996年 21,006
9.07% ↑
1995年 19,259
20.97% ↑
1994年 15,920
10.3% ↑
1993年 14,434
-36.86% ↓
1992年 22,860
-48.23% ↓
1991年 44,159
-27.76% ↓
1990年 61,130
-5.7% ↓
1989年 64,826
13.06% ↑
1988年 57,337
-23.13% ↓
1987年 74,585
26.3% ↑
1986年 59,053
-2.16% ↓
1985年 60,358
25.16% ↑
1984年 48,224
60.34% ↑
1983年 30,076
-26.41% ↓
1982年 40,872
34.17% ↑
1981年 30,463
21.05% ↑
1980年 25,166
29.56% ↑
1979年 19,424
46.39% ↑
1978年 13,269
-4.89% ↓
1977年 13,951
15.15% ↑
1976年 12,115
3.24% ↑
1975年 11,735
-26.9% ↓
1974年 16,054
3.92% ↑
1973年 15,448
30.26% ↑
1972年 11,859
6.75% ↑
1971年 11,109
41.68% ↑
1970年 7,841
-34.84% ↓
1969年 12,034
9.32% ↑
1968年 11,008
35.45% ↑
1967年 8,127
11.97% ↑
1966年 7,258
-22.6% ↓
1965年 9,377
45.29% ↑
1964年 6,454
-25.44% ↓
1963年 8,656
23.66% ↑
1962年 7,000 -
1961年 7,000 -

キューバのレモン・ライム生産量は、1960年代から80年代にかけて上昇傾向を示し、特に1987年の74,585トンは記録的な値となりました。しかしながら1990年以降、深刻な減少傾向が始まり、2000年代以降は生産量が著しく低下し、2023年には4,352トンという極端に低い水準に達しています。この長期的な低迷は、気候変動、農業技術の限界、または経済状況の悪化といった複合的な背景に起因する可能性があります。

1980年代に実現した驚異的な生産量の増加は、キューバの農業政策の強化や輸出志向型の農業システムの強化に関連していると考えられます。しかしながら1990年代初頭のソビエト連邦崩壊は、キューバの主要な貿易相手国の喪失を招き、同時期に輸入肥料や農業機械の不足が顕著となったため、農業生産全般が大きく低迷しました。この影響がレモン・ライム生産にも波及し、生産量の鈍化が続く結果となりました。また、2005年以降の急激な低下は、気候変動による干ばつやハリケーンなどの自然災害の影響も含まれると推測されます。

さらに近年の生産量の停滞には、農業従事者の減少や農業インフラの老朽化が影響している可能性があります。加えて、新型コロナウイルスの流行により、物資流通や国際貿易が滞ったことも挙げられます。世界的に見ても、新興国の多くが同様の課題に直面していますが、レモン・ライム生産における競争力を維持しているインドやメキシコといった国々と比較した場合、キューバの現状は厳しい状況であると言えます。

今後の対応策としては、まず農業生産における気候変動への耐性を強化するため、気象に強い品種への転換や、防災インフラの整備が必要です。さらに、生産効率を高めるための持続可能な農法の普及が以下の重要課題となります。たとえば、土壌分析をもとにした適切な施肥や灌漑技術の導入がその手段となるでしょう。また、農業従事者に対して十分な教育と技術提供を行うことで、労働力不足の解消を図ることも必要です。

国際社会や近隣諸国との協力も大いに役立つでしょう。例えば、食料安全保障を推進するための地域的な協力の枠組みに参加すれば、適切な技術支援や資金援助を得ることが可能です。さらに、世界市場におけるシェアを拡大するには、有機農法やフェアトレードを掲げたブランド戦略を策定し、輸出市場でのバリューチェーンの強化を図るべきです。

結論として、キューバのレモン・ライム生産量は、過去の高い成果を再現するための大きな課題に直面しています。一方で、技術革新や国際的支援を活用することで、減少傾向を食い止める可能性もあります。そのため、政府主導の包括的な取り組みに加え、地域間協力や市場需要を見据えた戦略が鍵となるでしょう。これらを組み合わせることで、キューバが再び安定した生産を取り戻す基盤を築けると期待されます。