キューバのカカオ豆生産量推移データは、1961年から2022年までにわたる期間について、年ごとの変動を示しています。このデータによると、初期段階では生産量2,500トン程度で推移していましたが、年を追うごとに変動が顕著に現れています。1992年の3,000トンが最大生産量を記録し、近年では2017年に245トンという最低値を記録した後、2022年には1,429トンまで回復しています。キューバのカカオ生産は、地理的条件、気候変動、政策の影響を強く受けている状況がうかがえます。
キューバのカカオ豆生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 1,429 |
2021年 | 1,472 |
2020年 | 1,577 |
2019年 | 1,799 |
2018年 | 1,012 |
2017年 | 245 |
2016年 | 2,058 |
2015年 | 1,500 |
2014年 | 2,188 |
2013年 | 1,425 |
2012年 | 2,027 |
2011年 | 1,510 |
2010年 | 1,709 |
2009年 | 1,387 |
2008年 | 1,100 |
2007年 | 1,379 |
2006年 | 2,120 |
2005年 | 2,067 |
2004年 | 1,846 |
2003年 | 1,500 |
2002年 | 1,301 |
2001年 | 1,900 |
2000年 | 2,900 |
1999年 | 1,900 |
1998年 | 1,900 |
1997年 | 1,400 |
1996年 | 1,900 |
1995年 | 2,100 |
1994年 | 1,334 |
1993年 | 1,800 |
1992年 | 3,000 |
1991年 | 1,912 |
1990年 | 2,428 |
1989年 | 2,566 |
1988年 | 2,259 |
1987年 | 2,203 |
1986年 | 2,102 |
1985年 | 1,896 |
1984年 | 1,923 |
1983年 | 1,840 |
1982年 | 1,706 |
1981年 | 1,536 |
1980年 | 1,242 |
1979年 | 1,614 |
1978年 | 1,582 |
1977年 | 1,182 |
1976年 | 1,353 |
1975年 | 1,251 |
1974年 | 1,356 |
1973年 | 1,743 |
1972年 | 1,900 |
1971年 | 1,353 |
1970年 | 1,330 |
1969年 | 1,234 |
1968年 | 1,939 |
1967年 | 1,459 |
1966年 | 2,019 |
1965年 | 2,154 |
1964年 | 1,204 |
1963年 | 2,516 |
1962年 | 2,387 |
1961年 | 2,500 |
キューバにおけるカカオ豆の生産量データは、50年以上にわたる長期的な推移を示しており、その中で生産量の増減は様々な要因による影響を受けてきました。1961年当初、キューバでは約2,500トンのカカオ豆が生産されており、この時期から1980年代後半にかけては概ね1,800トンから2,500トンの範囲で変動していました。しかしながら、1992年には史上最高値となる3,000トンに到達し、その後は減少傾向に転じています。
過去50年ほどのカカオ豆生産量推移をみると、特に注目すべきは2017年の245トンへの急落と、その後の回復過程です。この大幅な減少の背後には、主要な天候要因や経済的要因が影響していると考えられます。例えばハリケーンによる災害や、それに伴う農地の荒廃、また農業への体制的な投資不足が挙げられます。その後の回復過程では、農業政策の見直しが影響している可能性がありますが、それでもかつてのピークには達していない状況です。
キューバのカカオ生産の変動は、地政学的背景や気候危機とも密接な関係があります。島国であるキューバは、特に熱帯地域の気候変動の影響を受けやすく、多雨期の異常や干ばつによる作物の収量減少が生産に直接的な影響を与えています。また、1980年代以降の経済状況の悪化や冷戦期における貿易制限も、農業政策にマイナスの影響をもたらしました。その後のグローバル化に伴う国際市場での競争の激化も、キューバにとっては挑戦となっています。
今後の課題としては、第一に収量安定のためのインフラ整備と、気候変動への適応策が必要です。具体的には、持続可能な農業技術や品種改良技術の導入、災害や異常気象に強い栽培方法の採用が挙げられます。さらには、国際的な農業協力を通じて資金援助や技術支援を受けることも、生産性向上に貢献するでしょう。
また、世界全体でカカオ需要が拡大している現状に対応し、キューバは自国のカカオ産業のブランド化を図ることが重要です。カリブ海に位置する特異な地理的条件を活かし、有機カカオや特殊なフレーバープロファイルを持つ商品の開発・輸出を進めることで、国際マーケットでの競争力を高める戦略が有効です。特に日本やフランスのような高級チョコレートの需要が高い国々を対象とした高付加価値商品の市場開拓が求められます。
結論として、キューバのカカオ豆生産の推移からは、気候変動や経済変動、政策の影響といった多様な要因が絡み合い、復活と低迷を繰り返している現状が読み取れます。持続可能な生産を目指すためには、特に気候危機と経済制約に対応すべく、長期的な視点での農業支援の強化が不可欠です。国際機関や近隣諸国との連携を強化しながら、未来志向型のカカオ産業に向けた努力が必要です。これにより、キューバは再び一定規模の生産能力と国際競争力を持つ産地として復活を遂げる可能性があります。