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キューバのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、キューバのジャガイモ生産量は1961年から2022年にわたる長期的な推移において、大きな変動が見られます。特に1980年代後半から1990年代初頭は生産量が高い水準で推移していた一方で、それ以降は減少の傾向が顕著です。2022年の生産量は92,942トンで、ピークである1986年の316,473トンから大幅に減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 101,721
9.45% ↑
2022年 92,942
-4.47% ↓
2021年 97,292
-15.68% ↓
2020年 115,385
-10.9% ↓
2019年 129,500
-4.18% ↓
2018年 135,147
-8.09% ↓
2017年 147,044
53.71% ↑
2016年 95,663
-22.81% ↓
2015年 123,938
132.49% ↑
2014年 53,308
-50.04% ↓
2013年 106,700
-18.51% ↓
2012年 130,933
-20.93% ↓
2011年 165,600
-13.52% ↓
2010年 191,500
-31.26% ↓
2009年 278,600
42.07% ↑
2008年 196,100
36.46% ↑
2007年 143,700
-49.79% ↓
2006年 286,200
-8.59% ↓
2005年 313,100
-4.75% ↓
2004年 328,700
7.91% ↑
2003年 304,600
-7.62% ↓
2002年 329,713
-4.54% ↓
2001年 345,380
-6.11% ↓
2000年 367,853
6.87% ↑
1999年 344,208
66.92% ↑
1998年 206,208
-37.5% ↓
1997年 329,946
-9.59% ↓
1996年 364,958
29.58% ↑
1995年 281,642
49.54% ↑
1994年 188,334
-19.94% ↓
1993年 235,245
-11.06% ↓
1992年 264,501
11.34% ↑
1991年 237,553
17.21% ↑
1990年 202,680
-28.04% ↓
1989年 281,660
1.77% ↑
1988年 276,750
10.85% ↑
1987年 249,663
-21.11% ↓
1986年 316,473
3% ↑
1985年 307,268
18.46% ↑
1984年 259,387
25.49% ↑
1983年 206,706
-19.97% ↓
1982年 258,274
-5.38% ↓
1981年 272,946
14.02% ↑
1980年 239,380
19.21% ↑
1979年 200,800
1.27% ↑
1978年 198,290
28.05% ↑
1977年 154,856
3.68% ↑
1976年 149,356
23.52% ↑
1975年 120,921
37.9% ↑
1974年 87,689
52.05% ↑
1973年 57,673
-24% ↓
1972年 75,882
-0.46% ↓
1971年 76,233
-1.6% ↓
1970年 77,476
-19.28% ↓
1969年 95,983
-21.94% ↓
1968年 122,957
18.03% ↑
1967年 104,172
0.19% ↑
1966年 103,970
24.53% ↑
1965年 83,487
10.85% ↑
1964年 75,317
-12.17% ↓
1963年 85,755
-2.44% ↓
1962年 87,900
-22.21% ↓
1961年 113,000 -

キューバのジャガイモ生産量のデータを見ると、1961年の生産量は113,000トンで、1960年代を通じて上昇と下降を繰り返していました。その後、1970年代後半から1980年代にかけて生産量は安定的に増加し、1986年には316,473トンのピークを迎えました。この時期は、農地の拡大や農業技術の向上、品種改良が進んでいたと推測されます。また、当時はソビエト連邦を筆頭とした社会主義陣営からの経済的支援も背景にあり、農業機械の導入や化学肥料の供給が可能であったことが影響しています。

しかし、1990年以降は急激な減少が見られます。これは、冷戦終結とソビエト連邦の崩壊に伴う経済危機、いわゆる「スペシャル・ピリオド」による農業構造の変化に起因します。この時期に、キューバでは燃料や機械、輸入肥料が不足したことで、農業生産全般が打撃を受けました。その後も、ジャガイモ生産量は一時的な回復を見せるものの、1996年以降は大きな変動を経ながらも全体的な減少傾向が続いています。

21世紀に入り、2000年には367,853トンと、記録上の第二のピークに達しましたが、その後は再び減衰し、2022年にはわずか92,942トンとなっています。この低下にはいくつかの要因が考えられます。一つには、肥沃な農地の減少や設備の老朽化、そして洪水や干ばつといった異常気象に伴う収穫量の低迷があります。さらに、国際的な制裁やキューバ経済の停滞も農業の持続可能性に影響を与えています。また近年、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、農業従事者数の減少や物流の制約もプロダクションに大きな影響を及ぼした可能性があります。

この傾向を踏まえ、今後の課題としては、まず土壌の管理を改善し、持続可能な農業を推進することが不可欠です。具体的には、有機肥料の利用を促進し、灌漑システムを近代化する必要があります。また、気候変動への適応策として、耐病性および耐乾燥性を持つ品種の導入と普及を進めることが重要です。加えて、都市農業や家庭菜園を奨励し、地元食材供給の多様化を目指す政策も有効でしょう。また、対外的には、農業関連技術の輸入や国際的支援を受けるための枠組みを強化することが求められます。

ジャガイモはキューバの主要食料作物の一つであり、生産量の減少は国内の食糧安全保障にも影響を及ぼします。そのため、持続可能な農業政策の構築は国の安定に直結しています。FAOや地域の農業支援機関と協力し、包括的な農業改革を進めることが喫緊の課題といえるでしょう。地政学的には、地域の気候変動や国際的な資源競争の影響を受ける可能性も高いため、多角的なアプローチが求められます。そして、長期的には国内経済を安定化させ、農業の復興を軌道に乗せることが必要不可欠です。