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キューバのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、キューバのオレンジ生産量は1961年に74,000トンだったのに対し、2022年には7,518トンまで大幅に減少しています。ピークとなった1990年の601,854トンから減少傾向が続いており、特に2010年以降、生産量は急激に減少しました。この長期的な推移は、農業政策、経済的要因、自然災害、気候変動など複合的な原因が背景にあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 8,944
18.97% ↑
2022年 7,518
-23.05% ↓
2021年 9,770
-2.18% ↓
2020年 9,988
-49.66% ↓
2019年 19,841
-6.97% ↓
2018年 21,327
-30.19% ↓
2017年 30,552
-19.7% ↓
2016年 38,046
-5.26% ↓
2015年 40,159
11.23% ↑
2014年 36,103
-57.58% ↓
2013年 85,110
-9.3% ↓
2012年 93,837
-23.65% ↓
2011年 122,900
-31.06% ↓
2010年 178,263
-31.7% ↓
2009年 261,000
30.24% ↑
2008年 200,400
-33.82% ↓
2007年 302,800
69.77% ↑
2006年 178,357
-54.21% ↓
2005年 389,469
-21.32% ↓
2004年 495,000
0.57% ↑
2003年 492,200
65.94% ↑
2002年 296,612
-51.23% ↓
2001年 608,172
29.26% ↑
2000年 470,487
-4.6% ↓
1999年 493,186
31.76% ↑
1998年 374,300
-24.84% ↓
1997年 498,000
68.64% ↑
1996年 295,300
3.18% ↑
1995年 286,200
6.29% ↑
1994年 269,257
-33.17% ↓
1993年 402,869
-11.58% ↓
1992年 455,628
-8.03% ↓
1991年 495,389
-17.69% ↓
1990年 601,854
27.1% ↑
1989年 473,530
-6.73% ↓
1988年 507,711
2.37% ↑
1987年 495,949
12.53% ↑
1986年 440,708
8.44% ↑
1985年 406,390
9.54% ↑
1984年 370,992
-7.17% ↓
1983年 399,645
17.96% ↑
1982年 338,791
31.55% ↑
1981年 257,544
-15.3% ↓
1980年 304,081
58.9% ↑
1979年 191,369
-0.54% ↓
1978年 192,403
15.59% ↑
1977年 166,446
30.84% ↑
1976年 127,217
0.25% ↑
1975年 126,903
20.48% ↑
1974年 105,331
-15.79% ↓
1973年 125,076
4.79% ↑
1972年 119,359
32.68% ↑
1971年 89,961
-30.22% ↓
1970年 128,919
10.94% ↑
1969年 116,205
-8.17% ↓
1968年 126,540
8.32% ↑
1967年 116,823
-8.19% ↓
1966年 127,251
39.41% ↑
1965年 91,280
-3.27% ↓
1964年 94,363
15.44% ↑
1963年 81,743
10.46% ↑
1962年 74,000 -
1961年 74,000 -

FAOの統計データを分析すると、キューバのオレンジ生産は1960年代から1990年代初頭にかけて着実に増加し、特に1980年代の終わりから1990年にかけて大きな成長を遂げていました。1990年には601,854トンを記録し、これはキューバの農業部門にとって非常に重要な時期を反映しています。しかし、その後、生産量は失速し、1990年代中盤には不安定な動きを見せ、2010年代から現在にかけて急減しています。2022年にはわずか7,518トンと、1960年代の初期水準を大きく下回っています。

この現象の背後には、いくつかの重要な要因があります。まず、キューバは冷戦後の社会主義国家として、経済的な制約を経験しました。1990年にはソビエト連邦の崩壊が起き、それに伴いキューバは主要な貿易相手を失いました。この「特別期(Período Especial)」には、農業向け資材や肥料の供給が著しく減少し、生産性が低下しました。さらに、近年の気候変動は、ハリケーンなどの自然災害や不規則な降雨パターンを引き起こし、オレンジのような果樹農業に大きなダメージを与えました。

また、近年の農業政策の課題も明確です。肥料や農業機械へのアクセスの制限、農地の設備投資の不足などが生産性の低下を招いています。他国と比較しても、例えばアメリカのフロリダ州やインド、中国といった主要な果樹農業国では、豊富な資源と技術革新を活用して収量を維持していますが、キューバはそのような努力が不十分であることがデータから見て取れます。

未来への課題として、まずは農業インフラの強化が挙げられます。資材や肥料、技術支援を拡充することで、生産性向上を図る必要があります。また、耐候性のある品種の開発が不可欠です。キューバ特有の気候条件に適応した品種を導入することで、気候変動の影響を緩和できます。さらに、地域間の協力を進めることも重要です。経済封鎖の影響を減じるためには、近隣国との農業支援協定や技術移転の促進が効果的でしょう。例えば、ブラジルやアルゼンチンといったラテンアメリカ諸国からの専門家派遣や共同研究の促進が具体的な解決策となり得ます。

一方で、地政学的リスクの影響も無視できません。経済制裁は長期にわたりキューバ経済を圧迫しており、外部からの農業投資が進みにくい状況にあります。加えて、新型コロナウイルスの流行により、労働力不足やサプライチェーンの混乱がオレンジ生産のさらに急激な落ち込みを招きました。このような状況を受けて、国際機関や非政府組織は、制裁解除を支援する政策アジェンダを提案することが期待されます。

結論として、キューバのオレンジ農業は多くの挑戦に直面しており、生産量の復興には国際的な協力や国内の政策改革が不可欠です。気候変動に強い農業システムへの移行、農業と産業化の連携、さらには輸出促進政策を進めることで、持続可能で競争力のある果樹農業を再建する道筋が描かれるでしょう。国際社会が連携を深め、技術的支援と資源共有を通じてキューバ農業を支援することが求められています。