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マレーシアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、マレーシアの牛乳生産量は1961年以降、全体的な増加傾向を示しており、1980年代後半から2000年代にかけて大幅な伸びを記録しました。しかし、2016年以降急激な減少が見られ、この減少はその後も回復することなく、近年は40,000トン前後で停滞しています。この生産量の推移は、農業政策の変更、経済成長、気候変動、そして輸入牛乳の増加など多くの要因が関連していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 40,112
2.98% ↑
2022年 38,951
0.57% ↑
2021年 38,729
-7.3% ↓
2020年 41,778
2.95% ↑
2019年 40,580
5.43% ↑
2018年 38,489
5.13% ↑
2017年 36,610
-0.35% ↓
2016年 36,737
-51.69% ↓
2015年 76,040
1.02% ↑
2014年 75,270
1.73% ↑
2013年 73,990
2.18% ↑
2012年 72,410
2.17% ↑
2011年 70,870
5.78% ↑
2010年 67,000
7.54% ↑
2009年 62,300
10.29% ↑
2008年 56,490
10.61% ↑
2007年 51,070
12.37% ↑
2006年 45,450
10.58% ↑
2005年 41,100
6.01% ↑
2004年 38,770
5.99% ↑
2003年 36,580
1.72% ↑
2002年 35,960
19.23% ↑
2001年 30,160
2.27% ↑
2000年 29,490
2.11% ↑
1999年 28,880
-9.75% ↓
1998年 32,000
-5.58% ↓
1997年 33,890
-6.43% ↓
1996年 36,220
-1.5% ↓
1995年 36,770
3.64% ↑
1994年 35,480
7.13% ↑
1993年 33,120
6.22% ↑
1992年 31,180
7.48% ↑
1991年 29,010
-0.65% ↓
1990年 29,200
0.69% ↑
1989年 29,000
7.81% ↑
1988年 26,900
16.96% ↑
1987年 23,000
6.98% ↑
1986年 21,500
10.26% ↑
1985年 19,500
-11.36% ↓
1984年 22,000 -
1983年 22,000
-16.35% ↓
1982年 26,300
0.38% ↑
1981年 26,200
9.17% ↑
1980年 24,000
-1.44% ↓
1979年 24,350
12.47% ↑
1978年 21,650
15.78% ↑
1977年 18,700
-2.6% ↓
1976年 19,200
10.34% ↑
1975年 17,400
-4.92% ↓
1974年 18,300
-4.19% ↓
1973年 19,100
3.8% ↑
1972年 18,400
0.55% ↑
1971年 18,300
3.39% ↑
1970年 17,700 -
1969年 17,700
18.79% ↑
1968年 14,900 -
1967年 14,900
-17.22% ↓
1966年 18,000
1.12% ↑
1965年 17,800 -
1964年 17,800
17.88% ↑
1963年 15,100
-15.17% ↓
1962年 17,800 -
1961年 17,800 -

マレーシアの牛乳生産量のデータを見ると、1960年代の約18,000トンから2023年の40,112トンまで、60年以上の間で約2倍以上の成長を遂げています。しかし、その推移にはいくつかの特徴的な変動が見られます。1970年代から1980年代には緩やかな増加があり、1990年代から2000年代にかけてはさらに急速に生産量が拡大しました。この増加は、マレーシア政府が国内酪農産業の発展を目指し、技術支援や投資を進めたことに起因すると考えられます。

一方、2016年以降、突如として生産量が大幅に落ち込み、2023年においても2010年代前半の水準には戻せていません。この落ち込みの背景としては、牛乳生産に関わるコストの上昇、労働力不足、そして主要輸出国からの競争の激化が挙げられます。特にインドやニュージーランド、中国など牛乳の主要生産国がマレーシアに安価で高品質な牛乳や乳製品を輸出していることが、国内生産者の競争力を削ぐ結果となっている可能性があります。また、気候変動による気温上昇や乾燥化が牧草生産への負担を増やし、生産環境の劣化を生んでいることも課題と言えます。

さらに、パンデミックの発生による影響も無視できません。新型コロナウイルスの影響により、酪農業界はサプライチェーンの混乱、労働力の停滞、輸送コスト増加などの問題に直面しました。この一連の要因が、依然として回復の妨げとなっていることが推察されます。

現在のまま生産量が停滞すれば、将来的に輸入依存度がさらに高まる可能性があり、それに伴う食料安全保障上のリスクも懸念されます。例えば、国際的な貿易摩擦や経済危機が発生した場合、輸入製品へのアクセスが制限される可能性があります。これに対処するために、マレーシア政府には国内酪農業のさらなる支援策を講じる必要があります。具体的には、技術革新を促進し、搾乳効率の向上や飼料コストの削減を目指すべきです。また、労働力不足に対処するために、酪農業への若年層の参入を促す支援プログラムの導入も有効でしょう。

補助的には、地域協力も有効な戦略となります。例えば、アセアン(東南アジア諸国連合)の枠組み内で、専門知識や技術を共有することで、効率的な生産方法の普及が期待されます。また、地政学的リスクに対しては、多様な輸入元を確保し、輸入依存度が高すぎないバランスの取れた供給ネットワークを構築する必要があります。

結論として、マレーシアの牛乳生産量はこれまでの成長にも関わらず、近年の停滞が課題となっています。この状況を改善するには、政府の政策支援、地域協力、さらにはサステナブルな生産体制の構築が鍵となるでしょう。これらの取り組みを通じて、国内市場における自給率を高め、将来的な食料安全保障を確保することが求められます。