国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、マレーシアの茶葉生産量は1961年の2,635トンから1960年代後半にわずかな上昇傾向を見せ、1980年代中期には5,478トンにまで達しました。その後、1990年代は変動を繰り返しながら概ね6,000トン前後を維持しましたが、2000年以降は数度の大きな急増と急減を経験しています。特筆すべきは2010年の19,738トンという最高生産量で、これをピークとした後、2022年には15,883トンとなっています。ただし、2020年前後には新型コロナウイルス感染症の影響と思われる生産の大幅な変動も見られます。
マレーシアの茶葉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 15,868 |
-0.1% ↓
|
2022年 | 15,883 |
124.42% ↑
|
2021年 | 7,078 |
-24.67% ↓
|
2020年 | 9,395 |
41.9% ↑
|
2019年 | 6,621 |
-38.74% ↓
|
2018年 | 10,808 |
4.07% ↑
|
2017年 | 10,385 |
-11.3% ↓
|
2016年 | 11,708 |
5.19% ↑
|
2015年 | 11,130 |
-6.65% ↓
|
2014年 | 11,923 |
-1.41% ↓
|
2013年 | 12,094 |
-17.79% ↓
|
2012年 | 14,711 |
-11.55% ↓
|
2011年 | 16,632 |
-15.74% ↓
|
2010年 | 19,738 |
173.27% ↑
|
2009年 | 7,223 |
-24.35% ↓
|
2008年 | 9,548 |
72.35% ↑
|
2007年 | 5,540 |
-10.83% ↓
|
2006年 | 6,213 |
118% ↑
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2005年 | 2,850 |
-26.92% ↓
|
2004年 | 3,900 |
-5.45% ↓
|
2003年 | 4,125 |
-19.12% ↓
|
2002年 | 5,100 |
-5.78% ↓
|
2001年 | 5,413 |
-4.06% ↓
|
2000年 | 5,642 |
-4.37% ↓
|
1999年 | 5,900 |
28.26% ↑
|
1998年 | 4,600 |
-23.33% ↓
|
1997年 | 6,000 | - |
1996年 | 6,000 | - |
1995年 | 6,000 |
11.11% ↑
|
1994年 | 5,400 |
-10% ↓
|
1993年 | 6,000 |
1.69% ↑
|
1992年 | 5,900 |
-15.71% ↓
|
1991年 | 7,000 |
12.9% ↑
|
1990年 | 6,200 |
28.36% ↑
|
1989年 | 4,830 | - |
1988年 | 4,830 | - |
1987年 | 4,830 |
-9.97% ↓
|
1986年 | 5,365 |
1.23% ↑
|
1985年 | 5,300 |
-3.25% ↓
|
1984年 | 5,478 |
64.6% ↑
|
1983年 | 3,328 |
4.39% ↑
|
1982年 | 3,188 |
-7.27% ↓
|
1981年 | 3,438 |
4.79% ↑
|
1980年 | 3,281 |
3.47% ↑
|
1979年 | 3,171 |
-8.11% ↓
|
1978年 | 3,451 |
-2.57% ↓
|
1977年 | 3,542 |
10.48% ↑
|
1976年 | 3,206 |
4.57% ↑
|
1975年 | 3,066 |
-5.28% ↓
|
1974年 | 3,237 |
-6.5% ↓
|
1973年 | 3,462 |
2.88% ↑
|
1972年 | 3,365 |
1.2% ↑
|
1971年 | 3,325 |
-1.66% ↓
|
1970年 | 3,381 |
-3.07% ↓
|
1969年 | 3,488 |
0.58% ↑
|
1968年 | 3,468 |
12.05% ↑
|
1967年 | 3,095 |
-10.19% ↓
|
1966年 | 3,446 |
2.83% ↑
|
1965年 | 3,351 |
7.82% ↑
|
1964年 | 3,108 |
13.8% ↑
|
1963年 | 2,731 |
-3.8% ↓
|
1962年 | 2,839 |
7.74% ↑
|
1961年 | 2,635 | - |
マレーシアの茶葉生産量推移を詳細に分析すると、変動の大きい生産状況が浮かび上がります。1961年時点では2,635トンでスタートした生産量は、1960年代後半からゆるやかな成長を見せ、1970年代には3,000~3,400トン程度で安定しました。しかし、1984年以降には大幅な増産傾向が見られ、1990年代には初めて7,000トンを記録し、一時的に6,000トン台に戻る場面も確認されつつ、安定的な水準を維持しました。
2000年代に入ると、生産量の波がさらに大きくなりました。この時期のデータからは、2006年と2008年の急増が確認され、特に2010年には19,738トンという飛躍的な増産が記録されています。この増産は一部地域での新たな栽培技術の導入や、農地利用の変更などが影響を与えている可能性があります。ただし、こうした急増はその後の急落を伴うことが多く、これは茶葉市場の需給バランスの変動や輸出需要の変化とも関連していると考えられます。
2020年から2022年にかけての変動については、新型コロナウイルス感染症が産業に与えた影響を考慮する必要があります。2020年の9,395トン、および2021年の7,078トンへの低下は、労働力不足や物流混乱が直接的な要因かもしれません。しかし、2022年には15,883トンまで回復し、これは復興の兆しと捉えることができます。
マレーシアの茶葉生産に関する地政学的背景を考慮すると、国内での栽培地域の限界や、新興国の安価な茶葉市場参入が外的リスクとして存在しています。また、天候異常や気候変動の影響が、茶葉の品質や収穫量に長期的な課題をもたらす可能性も懸念されています。
この課題に対処するため、茶葉の品質向上や高付加価値製品の開発に注力する必要があります。また、生産の安定化を図るために、農業用水管理の効率化や気候に適応した品種の導入を進めることが重要です。さらに、輸出市場の多様化を図ることで、外部依存や市場変動の影響を軽減させるべきでしょう。
結論として、マレーシアの茶葉生産量は、長期にわたる増減を伴う動的な成長傾向にありますが、安定的な持続性を確保するためには、技術革新と市場戦略が欠かせません。国際協力や地域間パートナーシップの強化もまた、その成功には不可欠と言えるでしょう。