Skip to main content

マレーシアのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表したデータによると、マレーシアのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1961年に3,000トンで始まり、1970年代には安定的な増加を見せました。その後、1980年代以降は生産量の変動が激しくなり、特に1990年代半ばから2000年代前半にかけて減少傾向が顕著でした。しかし、2010年代以降再び変動が激しくも高い生産水準を記録し、特に2023年には過去最大の56,732トンを達成しました。その背景には、農業政策や技術革新の進展が関係していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 56,732
178.51% ↑
2022年 20,369
-6.35% ↓
2021年 21,750
-15.34% ↓
2020年 25,691
-0.5% ↓
2019年 25,820
1.36% ↑
2018年 25,475
6.77% ↑
2017年 23,859
44.65% ↑
2016年 16,494
-35.7% ↓
2015年 25,652
-42.39% ↓
2014年 44,526
36.82% ↑
2013年 32,544
87.23% ↑
2012年 17,382
-19.28% ↓
2011年 21,534
2.08% ↑
2010年 21,095
88.6% ↑
2009年 11,185
130.24% ↑
2008年 4,858
-10.8% ↓
2007年 5,446
2.75% ↑
2006年 5,300
-3.64% ↓
2005年 5,500
-8.33% ↓
2004年 6,000
15.38% ↑
2003年 5,200
4% ↑
2002年 5,000
21.95% ↑
2001年 4,100
2.5% ↑
2000年 4,000
-11.11% ↓
1999年 4,500
-2.17% ↓
1998年 4,600
-34.29% ↓
1997年 7,000 -
1996年 7,000
7.69% ↑
1995年 6,500 -
1994年 6,500
8.33% ↑
1993年 6,000 -
1992年 6,000
3.45% ↑
1991年 5,800
-10.77% ↓
1990年 6,500
-13.33% ↓
1989年 7,500
-34.78% ↓
1988年 11,500 -
1987年 11,500
-16.06% ↓
1986年 13,700 -
1985年 13,700
14.17% ↑
1984年 12,000
9.09% ↑
1983年 11,000
-8.33% ↓
1982年 12,000
-7.69% ↓
1981年 13,000
8.33% ↑
1980年 12,000
9.09% ↑
1979年 11,000 -
1978年 11,000
22.22% ↑
1977年 9,000 -
1976年 9,000 -
1975年 9,000 -
1974年 9,000 -
1973年 9,000
9.76% ↑
1972年 8,200
2.5% ↑
1971年 8,000
-1.23% ↓
1970年 8,100
8% ↑
1969年 7,500
36.36% ↑
1968年 5,500
27.91% ↑
1967年 4,300
2.38% ↑
1966年 4,200
40% ↑
1965年 3,000
-9.09% ↓
1964年 3,300
-8.33% ↓
1963年 3,600
20% ↑
1962年 3,000 -
1961年 3,000 -

マレーシアのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1961年の3,000トンを起点として徐々に増加し、1970年代に9,000トン台の安定した生産水準となりました。この当時の増加の背景には、国内の農業産業への投資と、輸出志向の農業政策の影響があったと考えられます。このトレンドは1980年代初頭まで続き、1980年には12,000トンに達し、1985年には13,700トンというピークを迎えます。しかし、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、生産量は急激に減少しました。

1990年代半ばから2000年代初頭にかけて、マレーシアは国全体で近代化が進みましたが、カボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産に関してはそれが不利に働いた可能性があります。この期間では、農地の都市化や経済の多角化による農村地域の労働力不足が影響を及ぼしたと推測されます。例えば、2000年の生産量は4,000トンにまで減少し、1980年代の水準と比較して3分の1まで落ち込みました。

しかし、2000年代後半から2010年代初頭にかけて、マレーシアの農業部門で技術革新が進み、特に農業生産性を向上させる政策が奏功した結果、生産量は回復基調に転じました。2009年には11,185トン、2010年には21,095トンまで増加しました。また、2013年と2014年にはそれぞれ32,544トンと44,526トンを記録し、急激な成長が見られました。この躍進の要因として、種子改良技術の導入や、灌漑技術の改善、農業補助制度が挙げられます。ただし、2015年以降は再び生産量の減少傾向に転じ、2021年には21,750トンに落ち込みました。このような変動の背景には、気候変動による異常気象や、生産現場での労働者不足が挙げられます。

しかし注目に値するのは、2023年のデータで記録された56,732トンという過去最大の生産量です。この急増は、以下の要因が関係していると考えられます。まず第一に、政府による農業復興政策が挙げられます。マレーシアでは、パンデミック後の経済回復の一環として農業部門への投資を増加させました。また、特に輸出向けの需要が高まり、近隣諸国や中東諸国向けの輸出強化が具体化した点も重要です。

一方で、今後の課題として、気候変動に適応した農業技術の導入が急務です。近年、熱帯地域での異常気象は農作物の生産に深刻な影響を与えています。例えば、長期的な降雨量の変化や気温上昇は収穫量に直接的に影響する可能性があります。この点において、政府と研究機関が連携し、持続可能な農業方法を導入する必要があります。また、農業従事者の高齢化という課題も深刻です。若年層が農業に従事しやすい環境を整えるため、インセンティブの提供やスマート農業の普及が求められます。

国際的な視点から見ると、日本や韓国などの国々では、農業の近代化と都市市場向け製品の供給を両立させている成功例があります。マレーシアはこうした国々の事例を参考にしつつ、国際的な市場に競争力を持つ品質基準の確立と、持続可能な生産体制の強化を目指すべきです。また、ASEAN諸国との協力も重要であり、技術交流や市場整備を通じた地域的な農業発展を促進することが推奨されます。

結論として、マレーシアのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産は、安定した増加基調と一時的な停滞、そして近年の急増というダイナミックな変動が特徴です。今後、国際市場での競争に対応するため、持続可能な生産方法と輸出基盤の強化を優先事項として掲げる必要があります。具体的には、気候変動に対応する技術導入と農業労働力問題への対策が成長の鍵となるでしょう。