FAO(国際連合食糧農業機関)が公開した最新データによれば、マレーシアにおけるキュウリ類の生産量は1961年の5,600トンから2023年の91,247トンへと増加しました。この間、特に1980年代以降に生産量が顕著に上昇しており、2013年にはピークとなる119,857トンを記録しました。ただし、ここ数年は100,000トン付近で推移しており、生産量の伸びにややばらつきが見られる傾向があります。
マレーシアのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 91,247 |
-10.86% ↓
|
2022年 | 102,369 |
6.24% ↑
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2021年 | 96,353 |
-5.05% ↓
|
2020年 | 101,482 |
-1.82% ↓
|
2019年 | 103,363 |
21.41% ↑
|
2018年 | 85,134 |
-3.79% ↓
|
2017年 | 88,492 |
-9.35% ↓
|
2016年 | 97,621 |
-3.17% ↓
|
2015年 | 100,817 |
3.58% ↑
|
2014年 | 97,331 |
-18.79% ↓
|
2013年 | 119,857 |
28.72% ↑
|
2012年 | 93,114 |
38.46% ↑
|
2011年 | 67,251 |
10.76% ↑
|
2010年 | 60,719 |
-20.42% ↓
|
2009年 | 76,298 |
41.5% ↑
|
2008年 | 53,922 |
-4.39% ↓
|
2007年 | 56,400 |
1.55% ↑
|
2006年 | 55,539 |
-0.82% ↓
|
2005年 | 55,998 |
5.5% ↑
|
2004年 | 53,080 |
6.85% ↑
|
2003年 | 49,678 |
10.4% ↑
|
2002年 | 45,000 |
-10% ↓
|
2001年 | 50,000 |
25% ↑
|
2000年 | 40,000 |
-23.08% ↓
|
1999年 | 52,000 |
-5.45% ↓
|
1998年 | 55,000 |
10% ↑
|
1997年 | 50,000 |
25% ↑
|
1996年 | 40,000 |
-7.78% ↓
|
1995年 | 43,376 |
-13.25% ↓
|
1994年 | 50,000 |
6.38% ↑
|
1993年 | 47,000 |
42.42% ↑
|
1992年 | 33,000 |
10% ↑
|
1991年 | 30,000 |
-18.92% ↓
|
1990年 | 37,000 |
1.37% ↑
|
1989年 | 36,500 |
7.35% ↑
|
1988年 | 34,000 |
7.26% ↑
|
1987年 | 31,700 |
-5.37% ↓
|
1986年 | 33,500 |
109.38% ↑
|
1985年 | 16,000 |
-36% ↓
|
1984年 | 25,000 |
-10.71% ↓
|
1983年 | 28,000 |
-0.71% ↓
|
1982年 | 28,200 |
1.08% ↑
|
1981年 | 27,900 |
7.31% ↑
|
1980年 | 26,000 |
-10.34% ↓
|
1979年 | 29,000 |
1.75% ↑
|
1978年 | 28,500 |
5.56% ↑
|
1977年 | 27,000 |
20.54% ↑
|
1976年 | 22,400 |
-8.57% ↓
|
1975年 | 24,500 |
36.87% ↑
|
1974年 | 17,900 |
-5.79% ↓
|
1973年 | 19,000 |
21.02% ↑
|
1972年 | 15,700 |
12.14% ↑
|
1971年 | 14,000 |
-6.67% ↓
|
1970年 | 15,000 |
8.7% ↑
|
1969年 | 13,800 |
81.58% ↑
|
1968年 | 7,600 |
13.43% ↑
|
1967年 | 6,700 |
24.07% ↑
|
1966年 | 5,400 |
20% ↑
|
1965年 | 4,500 |
-15.09% ↓
|
1964年 | 5,300 |
8.16% ↑
|
1963年 | 4,900 |
-12.5% ↓
|
1962年 | 5,600 | - |
1961年 | 5,600 | - |
マレーシアのキュウリ類生産量データを詳細に分析すると、同国がこの作物の生産を長期的に増加させてきたことが明らかです。1961年時点の生産量5,600トンから始まり、約60年の間に16倍以上まで成長を遂げました。特に1970年代後半から1980年代にかけての生産の急増は、この地域での農業技術の向上や農地拡大の影響が大きいと考えられます。また、1960年代後半から1970年代初頭に見られる徐々に安定した成長には、国内の農業政策の重視と経済成長による需要増加が相まった結果と見られます。
1986年以降、数年間の大きな揺れを経て一貫して生産量が伸び、特に1990年代中盤には50,000トンを超えました。この結果は、国際市場への参入拡大と、新しい栽培技術や品種改良の導入が寄与していると推察されます。こうした状況はアセアン地域全体、特にタイやインドネシアでも似た動向が見られ、地域内競争が影響することも考えられます。
2000年代から2010年代前半にかけての安定的増加の要因としては、設備投資の増加、輸出市場の拡大、ならびに生産効率化への取り組みが挙げられます。しかし、2013年をピークとする生産量増加の後、2014年以降は年ごとの変動が再び顕著になり、これには天候不順や資源制約、さらには市場の調整需要が関与していると考えられます。近年の2020年から2023年の間でも、総じて100,000トン前後で推移しており、増加のペースは鈍化しています。
ここで注目すべきは、2020年以降に世界全体を襲った新型コロナウイルスの流行が、この国のキュウリ生産に及ぼした影響です。この感染症の広がりにより、労働力不足や物流の混乱が農業全般に影響を与え、特に輸出を視野に入れた作物生産において難航した可能性があります。また、2023年における91,247トンという数字は2022年に比べて減少しており、この要因について更なる調査が必要です。
マレーシアが直面する課題として、第一に、天候不順や気候変動が挙げられます。熱帯特有の気候の中で頻発する大雨や乾燥周期の変動は、生産性に直接影響を与えます。第二に、土地利用の競争激化による農地確保問題です。他作物や住宅開発との競合は、潜在的にキュウリ類の生産性を制限する可能性を秘めています。第三に、近年の輸出市場の変動も無視できません。主要輸出先国の需要動向や関税政策の変更により、生産者がリスクを負う形となります。
これを踏まえ、マレーシアがこの産業での成長を維持するためには、いくつかの具体的提言が可能です。一つ目は、気候変動対策の強化です。耐性のある品種の研究開発および導入、適切な灌漑システムの整備は、生産環境の安定化に寄与するでしょう。二つ目は、農地と資源利用の効率化です。これには、持続可能な農業実践の促進や、省資源型の農業事業モデルへの転換が挙げられます。三つ目は、地域間協力の促進です。特に、アセアンが主導する農業技術共有やマーケティング連携を活用することで、域内の競争から共栄のモデルへシフトすることが可能です。
地政学的リスクも念頭に置く必要があります。特に、世界的な資源争奪や貿易戦争が顕在化する中、国内市場の強化とグローバル市場のバランスを適切に保つことが重要です。そのために、輸出依存からの脱却と国内消費拡大を目指したポリシー策定が求められます。また、市場の変動に対応するため、農業従事者へ天候保険や価格保証制度を提供するなど柔軟な政策の導入が可能性として挙げられます。
結論として、マレーシアのキュウリ生産は長期的には拡大基調を辿ってきましたが、ここ数年は生産の停滞と変動が目立ちます。政策的なアプローチ、地域協力、技術開発の推進が、生産性を高め、持続可能な成長を確保するカギとなるでしょう。FAOやアセアン地域の国際機関と連携し、新しい施策を迅速に導入することが必要です。このように、持続可能性を考慮した包括的なアプローチが、今後の方向性を決定づける重要な要素となります。