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マレーシアの羊の毛生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、マレーシアの羊の毛生産量は1961年の38トンから2022年の169トンに増加しました。特に1970年代後半から1990年代前半にかけては急速な成長を見せ、1992年には最高記録の276トンに達しました。その後、生産量は一時的に減少傾向に転じましたが、2006年以降は緩やかに回復しています。直近では停滞気味ではあるものの、一定の安定を保っています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 169
0.47% ↑
2022年 169
0.6% ↑
2021年 168
0.61% ↑
2020年 167
1.15% ↑
2019年 165
0.98% ↑
2018年 163
0.41% ↑
2017年 162
0.58% ↑
2016年 161
2.22% ↑
2015年 158
-0.92% ↓
2014年 159
-0.67% ↓
2013年 161 -
2012年 161 -
2011年 161 -
2010年 161
17.77% ↑
2009年 136
3.82% ↑
2008年 131
-27.48% ↓
2007年 181
9.7% ↑
2006年 165
42.34% ↑
2005年 116
0.36% ↑
2004年 116
0.32% ↑
2003年 115
-8.51% ↓
2002年 126
-2.53% ↓
2001年 129
-17.8% ↓
2000年 157
3.65% ↑
1999年 152
-8.58% ↓
1998年 166
-0.98% ↓
1997年 167
-10.67% ↓
1996年 187
-15.46% ↓
1995年 222
-10.83% ↓
1994年 249
-4.96% ↓
1993年 262
-5.26% ↓
1992年 276
11.94% ↑
1991年 247
20.08% ↑
1990年 205
12.25% ↑
1989年 183
22% ↑
1988年 150
15.38% ↑
1987年 130
43% ↑
1986年 91
15.35% ↑
1985年 79
13.61% ↑
1984年 69
14.85% ↑
1983年 60
-4.73% ↓
1982年 63
-5.77% ↓
1981年 67
9.79% ↑
1980年 61
-8.71% ↓
1979年 67
19.81% ↑
1978年 56
4.73% ↑
1977年 54
9.88% ↑
1976年 49
4.71% ↑
1975年 47
5.68% ↑
1974年 44
5.04% ↑
1973年 42
2.12% ↑
1972年 41
7.81% ↑
1971年 38
-2.96% ↓
1970年 39
-1.88% ↓
1969年 40
7.68% ↑
1968年 37
-2.34% ↓
1967年 38
-2.56% ↓
1966年 39
-10.69% ↓
1965年 44
12.58% ↑
1964年 39
1.6% ↑
1963年 38
5.79% ↑
1962年 36
-5.03% ↓
1961年 38 -

マレーシアの羊の毛生産に関するデータを振り返ると、長い時間の中で特徴的な変動をいくつか確認できます。まず1960年代は生産量が30~40トン台で安定した状態が続いており、これは当時の羊の飼育規模や毛製品への需要が限定的であったことを示しています。一方、1970年代後半以降から1990年代初めまでには急激な生産量の増加が見られます。この時期は、羊毛製品の市場拡大や牧畜業の技術の向上、さらには新たな農業政策が背景となっていると考えられます。最盛期となる1992年には276トンに達し、1961年の生産量の約7倍に達しました。

しかし1992年をピークに、生産量は急激な減少に転じます。この背景には複数の要因が考えられます。特に、他の産業への労働力の転換や都市化の進行、またアジア諸国間の貿易自由化に伴う羊毛製品の輸入増加などが影響した可能性があります。さらに気候変動や土地利用の変化も牧畜環境の変化を引き起こしているかもしれません。1995年以降、生産量は急落し、1999年には152トンにまで低下しました。

2000年代に入ると、マレーシアの羊の毛生産は一部の安定期へと移行しますが、過去の高水準の生産量には及んでいません。その後、2006年からは技術の導入や政策支援の影響もあり、緩やかな回復の兆しが見られます。2022年までのデータでは、生産量は年間約160トン台で推移しており、一定程度の安定が確認されています。このような安定傾向は、国内市場の需要に加え、輸出市場とのバランスを保つための調整も関係していると考えられます。

将来的な課題としては、生産の効率化や牧場の持続可能性の確保が挙げられます。例えば、持続可能な放牧手法や気候変動への対応策の導入が急務です。また、地域的には競争力のある林業や農業出荷先の多様化が重要でしょう。さらに、羊毛産業の発展を促進するためには、羊毛の付加価値を高める新たな技術や加工法の採用が必要です。中国やインドなどの隣国では産業の近代化や規模拡大が進んでおり、これらの国との競争に対抗するための戦略も考えるべきです。

地政学的な視点では、気候変動や輸送ルートの脆弱性、特に自然災害による物流への影響を軽減する必要があります。例えば近年の極端気象はマレーシアを含む東南アジアにおいて深刻な影響を及ぼしており、この中で農牧業へのリスクが高まっています。この課題に対処するため、地域間での協力体制の構築や国際機関との連携が重要です。

マレーシアの羊の毛産業を振興させるためには、政府の支援を継続しつつ、現代的な技術を導入して効率的かつ環境配慮型の生産に切り替えることが鍵となるでしょう。たとえば、環境にやさしい飼育方法を普及させる施策や、海外市場へのプロモーション活動を強化することが有効です。また、羊毛製品の多様性を広げることで新たな市場を開拓し、国内外の需要増に対応することも可能です。これらの戦略的取り組みにより、マレーシアの羊毛産業はさらなる発展が期待できるでしょう。