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マレーシアのパパイヤ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、マレーシアにおけるパパイヤの生産量は1961年の1,900トンから大幅に増加し、1990年代から2000年代初頭にかけて生産量は安定的な上昇を見せましたが、近年では減少傾向が顕著です。2023年の統計では38,883トンとなり、2017年の83,797トンというピーク年と比較して半減しています。この長期的な推移から、生産量に影響を与える多様な要因が浮き彫りとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 38,883
-28.98% ↓
2022年 54,753
-10.01% ↓
2021年 60,844
-1.51% ↓
2020年 61,776
15.08% ↑
2019年 53,681
1.44% ↑
2018年 52,917
-36.85% ↓
2017年 83,797
27.03% ↑
2016年 65,967
8.81% ↑
2015年 60,625
9.51% ↑
2014年 55,358
74.37% ↑
2013年 31,748
-10.91% ↓
2012年 35,634
-18.35% ↓
2011年 43,640
-2.38% ↓
2010年 44,704
-2.42% ↓
2009年 45,812
-0.39% ↓
2008年 45,993
24.52% ↑
2007年 36,937
-38.44% ↓
2006年 60,000
-7.69% ↓
2005年 65,000
-7.14% ↓
2004年 70,000
-10.26% ↓
2003年 78,000
11.43% ↑
2002年 70,000
7.69% ↑
2001年 65,000
8.33% ↑
2000年 60,000
7.14% ↑
1999年 56,000
5.66% ↑
1998年 53,000
3.92% ↑
1997年 51,000 -
1996年 51,000
-5.56% ↓
1995年 54,000
3.85% ↑
1994年 52,000
15.56% ↑
1993年 45,000
18.42% ↑
1992年 38,000
2.7% ↑
1991年 37,000
1.37% ↑
1990年 36,500
37.74% ↑
1989年 26,500
-0.38% ↓
1988年 26,600
-1.48% ↓
1987年 27,000
8% ↑
1986年 25,000 -
1985年 25,000 -
1984年 25,000
108.33% ↑
1983年 12,000
-20% ↓
1982年 15,000
-31.82% ↓
1981年 22,000
22.22% ↑
1980年 18,000
50% ↑
1979年 12,000
33.33% ↑
1978年 9,000 -
1977年 9,000
-10% ↓
1976年 10,000 -
1975年 10,000
25% ↑
1974年 8,000
33.33% ↑
1973年 6,000 -
1972年 6,000
20% ↑
1971年 5,000
56.25% ↑
1970年 3,200
3.23% ↑
1969年 3,100
-8.82% ↓
1968年 3,400
9.68% ↑
1967年 3,100
10.71% ↑
1966年 2,800
12% ↑
1965年 2,500 -
1964年 2,500
4.17% ↑
1963年 2,400
92% ↑
1962年 1,250
-34.21% ↓
1961年 1,900 -

マレーシアのパパイヤ生産量の変遷を振り返ると、1960年代から1980年代までは比較的緩やかな増加傾向を示し、特に1980年に18,000トン、1984年に25,000トンと進展が見られました。しかし、1990年代に入ると大幅な増加に転じ、1993年には45,000トン、1994年以降は継続的に50,000トンを超える生産量を達成しました。この時期の増加は、国内の農業技術の向上、市場需要の拡大、及び国際市場への輸出戦略における成功が寄与したと考えられます。

2000年代では一時的に70,000トン前後の安定した生産が確保されているものの、2007年以降の減少が顕在化し、2012年から2013年には生産量が35,634トンや31,748トンと低迷しました。2017年には83,797トンと再び大きな回復を見せていますが、その後、2018年以降は再び減少に転じています。2023年の38,883トンという数値は、2020年代初頭と比較しても大幅な下落を示しており、直近では持続的な生産量の確保に課題が浮き彫りとなっています。

この実態を深掘りすると、複数の要因が影響を与えていると推測されます。地理的要因として気候変動の影響が挙げられ、パパイヤ栽培には高湿度と安定した気温が必要である一方で、近年の異常気象はこの条件を脅かしています。また、病害虫のリスクも一因で、特にウイルス性疾患の拡大が生産量を大きく左右していると言われています。さらに、都市化の進行や農業用地の減少が、栽培面積の縮小をもたらしている点も見逃せません。

他国との比較も興味深いものです。例えば、世界的な主要パパイヤ生産国であるインドは統計的に毎年約600万トンを超える安定的な生産量を誇り、地域的特性を活かした大規模農業が背景にあります。一方、マレーシアのような中規模生産国では、効率的な生産技術の導入とともに、国内外市場への競争力を確保するアプローチが必要です。

今後の課題として、気候変動への適応策が重要な位置を占めます。具体的な対策として、耐病性のある品種の開発、生産者への研修を通じた新しい農業技術の導入、市場ニーズを反映した生育計画の立案が求められます。また、政府による農業支援制度の強化や投資の誘導が、安定的な生産の確保に寄与する可能性があります。さらに、地域間協力の枠組みを構築し、近隣諸国と情報共有や貿易促進の体制を整備することが経済的な安定性につながるでしょう。

地政学的な視点では、農業資源を巡る競争や食糧需給の変動が懸念されています。特に、気候変動が激化することで、東南アジア地域全体の作物収穫量の不安定化が広がる可能性があります。このため地域全体での協力体制の重要性が強調され、技術や知識の交換を促進する国際フォーラムの形成などが期待されています。

結論として、マレーシアのパパイヤ生産量は過去数十年で波動を経てきましたが、特に近年の減少は深刻な課題を提示しています。これを解決するには単なる農業技術の改良だけでなく、広範で多部門にわたる取り組みが必要です。農地の管理から市場の最適化まで、全体的な戦略が求められます。

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