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マレーシアのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が公表した最新データによると、マレーシアのパイナップル生産量は1961年には167,300トンでしたが、近年では年間30万〜39万トンの間で推移しています。特筆すべきは、2015年に452,021トンという大幅な増加を記録した点です。一方で、2022年には287,799トンまで減少し、2023年には再び回復して392,344トンとなっています。この変動を通じて、マレーシアの農業生産体系が直面する課題と可能性について明らかになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 392,344
36.33% ↑
2022年 287,799
-10.91% ↓
2021年 323,047
-0.12% ↓
2020年 323,420
2.79% ↑
2019年 314,627
-2.43% ↓
2018年 322,460
-5.36% ↓
2017年 340,722
-13.02% ↓
2016年 391,714
-13.34% ↓
2015年 452,021
34.64% ↑
2014年 335,725
37.39% ↑
2013年 244,353
-22.28% ↓
2012年 314,405
1.64% ↑
2011年 309,331
-6.57% ↓
2010年 331,081
-7.43% ↓
2009年 357,654
-7.02% ↓
2008年 384,673
21.65% ↑
2007年 316,210
5.64% ↑
2006年 299,318
-11.97% ↓
2005年 340,000
3.03% ↑
2004年 330,000
3.13% ↑
2003年 320,000
3.23% ↑
2002年 310,000
7.29% ↑
2001年 288,938
15.98% ↑
2000年 249,135
1.69% ↑
1999年 245,000
2.08% ↑
1998年 240,000
2.13% ↑
1997年 235,000
2.17% ↑
1996年 230,000
4.55% ↑
1995年 220,000
4.76% ↑
1994年 210,000
3.45% ↑
1993年 203,000
-14.35% ↓
1992年 237,000
-2.07% ↓
1991年 242,000
13.62% ↑
1990年 213,000
-6.58% ↓
1989年 228,000
17.22% ↑
1988年 194,512
8.99% ↑
1987年 178,473
2.57% ↑
1986年 174,000
-4.57% ↓
1985年 182,327
3.89% ↑
1984年 175,500
-4.31% ↓
1983年 183,400
-2.62% ↓
1982年 188,331
0.71% ↑
1981年 187,000
0.93% ↑
1980年 185,273
-7.72% ↓
1979年 200,770
2.59% ↑
1978年 195,710
-2.25% ↓
1977年 200,215
-0.39% ↓
1976年 200,989
-5.1% ↓
1975年 211,800
-17.78% ↓
1974年 257,600
-1.94% ↓
1973年 262,700
-8.82% ↓
1972年 288,100
-4.41% ↓
1971年 301,400
-2.27% ↓
1970年 308,400
0.65% ↑
1969年 306,400
8.27% ↑
1968年 283,000
1.14% ↑
1967年 279,800
8.38% ↑
1966年 258,166
-0.08% ↓
1965年 258,375
16.7% ↑
1964年 221,400
15.01% ↑
1963年 192,500
-3.15% ↓
1962年 198,768
18.81% ↑
1961年 167,300 -

マレーシアのパイナップル生産量は、1960年代から高度経済成長期を迎える一方で農業の機械化や輸出市場拡大に伴い、大きく増加しました。例えば、1961年の167,300トンから1969年には306,400トンとほぼ倍の規模に達しました。この伸びは、パイナップルの国際的な需要の高まりやマレーシアの地理的特性(熱帯気候や肥沃な土地)が寄与したと考えられます。しかし、1970年代後半から1980年代の減少傾向を見ると、価格競争の激化や国内政策の変化により農業部門が苦境に立たされたことが影響していると推測されます。

2000年代に入ると、その生産量は再び上昇に転じ、2002年には310,000トン、2008年には384,673トンと成長を遂げました。この背景には、特に加工用としてのパイナップル輸出が増加したことや、持続可能な農業への政策転換が寄与しています。2015年には452,021トンという記録的な数値を示し、これは気候条件の好転や政府による農業技術やインフラ支援が奏功したと考えられます。

一方、2017年以降は再び30万トン台前後での推移に留まり、2022年には287,799トンと大きく減少しました。これは、新型コロナウイルス感染拡大による供給チェーンの混乱や労働力不足が関連していると考えられます。しかし、2023年には392,344トンと急回復し、経済活動の再開や市場需要の回復が生産回復を後押ししました。

このように、マレーシアのパイナップル生産は大きな波動を持っています。気候変動やパンデミック、地政学リスクが農業全般に影響を及ぼしている点は否めません。さらに、同様の熱帯性果実を栽培しているフィリピンやタイ、さらには国際市場で競合となるエクアドルなどとの競争も激化しています。その中で、マレーシアのパイナップル産業が持続可能で競争力のある産業として成長を続けるためには、いくつかの戦略が重要です。

第一に、栽培地域の気候適応策が求められます。気温上昇や降雨パターンの変化に対応した品種改良や灌漑技術の導入を進める必要があります。第二に、農業労働力の安定を図るためのプログラムが不可欠です。特に農業以外の産業への若年労働力の流出を防ぎ、新技術の導入で効率を向上させるべきです。さらに、国際的な輸出業務においては、輸出相手国の需要動向とニッチ市場へのアクセスを深掘りしていくことが鍵です。

同時に、パイナップル加工業の強化も重要です。加工品は輸出市場での付加価値を高め、収益向上を促進する可能性があります。例えば、パイナップルジュースやドライフルーツ、缶詰などの製品開発にさらなる投資が必要です。また、地域間協力における農業研究ネットワークを強化し、他国の成功事例を取り入れることで生産性を向上させなければなりません。

結論として、マレーシアのパイナップル産業は、地理的優位性を活かしつつ、気候変動や市場競争に対応するための多面的なアプローチが必要です。国際機関や政府は、農業技術の普及や小規模農家への支援プログラムを実施し、持続的な生産体制を確立する役割を果たしていくべきです。今後は地域レベルでの政策連携を通じ、経済・環境の両面から支えられる農業モデルを目指す必要があります。このような対応が進むことで、マレーシアのパイナップル産業は一層の成長を遂げる可能性があると思われます。