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マレーシアの大豆生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、マレーシアの大豆生産量は1960年代からゆっくりと増加し、1970年代にはいくつかの年で急激な成長を見せました。しかし、1980年代以降は急激に減少し、1990年には2トンにまで落ち込みました。このデータは、マレーシアにおける農業変遷や外部的な経済・地政学的要因の影響を考える上で重要な指標となります。

年度 生産量(トン) 増減率
1990年 2
-33.33% ↓
1989年 3 -
1988年 3
-25% ↓
1987年 4
-33.33% ↓
1986年 6
-77.78% ↓
1985年 27
200% ↑
1984年 9
-88.75% ↓
1983年 80
1500% ↑
1982年 5
-95% ↓
1981年 100
150% ↑
1980年 40
166.67% ↑
1979年 15
-78.57% ↓
1978年 70 -
1977年 70
-73.08% ↓
1976年 260
100% ↑
1975年 130
-67.5% ↓
1974年 400
471.43% ↑
1973年 70
16.67% ↑
1972年 60
20% ↑
1971年 50
-41.18% ↓
1970年 85
70% ↑
1969年 50
25% ↑
1968年 40
60% ↑
1967年 25
-16.67% ↓
1966年 30 -
1965年 30
150% ↑
1964年 12 -
1963年 12
-40% ↓
1962年 20
5.26% ↑
1961年 19 -
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マレーシアの大豆生産量の推移データを見ると、1961年に19トンと控えめなスタートを切り、その後1970年代初頭までゆっくりと増加しました。特に、1969年から1970年にかけては50トンから85トンという顕著な増加が見られ、大豆生産の拡張の兆しが見られます。その後、1974年には過去最高となる400トンを記録しましたが、それ以降は一貫して減少傾向にあり、1980年代末にはほぼゼロに近い状況となりました。このような変化は、マレーシアの農業政策や経済環境、さらには国際的な市場要因の影響を強く受けた結果と考えられます。

この推移は国際的な視点から見ても特異です。例えば、アメリカやブラジル、中国など、主要な大豆生産国は、大豆を重要な輸出品目として積極的に生産量を増やしています。また、特に1960年代以降、大豆は食用油や家畜飼料などの需要増加に応じて、急速に国際市場でその重要性を高めてきました。一方、マレーシアはこれとは逆方向のトレンドをたどり、1980年代にかけて大豆の生産を減少させる選択をしており、その背景にはいくつかの地政学的・経済的要因があると考えられます。

まず、マレーシアは地理的条件からパーム油の生産で競争力を持つ国のひとつです。このため、農業資源が大豆よりもパーム油や他の高収益作物に振り向けられる傾向が強まりました。特に1970年代以降、パーム油の国際価格の高騰が見られたことから、農地の活用が大豆からパーム油生産へシフトした可能性があります。また、国際市場における大豆の競争力は、これら他国の大規模生産・輸出主体の状況に比べて、マレーシアの生産規模では対応が難しいものでした。

さらに、気候や土壌適正も考慮すべき要因です。大豆は肥沃な土壌と特定の気候条件を要する作物であり、マレーシアの気候条件は必ずしも大豆栽培に理想的とは言えません。また、1980年代以降は工業化と都市化が急速に進み、それに伴い農業労働力が減少した可能性もあります。

大豆生産がこのように急減し、ほぼ消滅した状態は、今後のマレーシア農業政策にも示唆を与えます。食料安全保障の観点からすると、大豆のような高栄養価な作物の国内生産が極めて微小であることは懸念材料です。輸入依存が安定的である限り問題は少ないかもしれませんが、輸入先となる国々の地政学的なリスクや、価格変動に脆弱である点は明確な課題として挙げられます。

これらを踏まえ、いくつかの提案が考えられます。まず、小規模ながらも大豆栽培を再活性化するための技術的支援や補助金政策は一考の価値があります。地域ごとの土壌適正データを基に、効率の良い栽培地域を特定するとともに、品種改良や先進的な灌漑技術の導入を組み合わせることが有効です。また、地域間協力として、ASEAN(東南アジア諸国連合)の枠組みを利用し、域内での食料需給を調整しながら、共通利益を模索することも良策です。

一方、大豆生産が再び成長産業となる可能性を念頭に置き、国としての輸出戦略を再評価する必要もあります。輸出と国内供給のバランスを勘案しつつ、国内需要を満たす農業の多様化政策を推進することで、特定作物への偏重を避けることができます。

結論として、マレーシアの大豆生産量の推移は同国の経済および農業政策、大豆市場の国際情勢を反映したものであり、将来的な食料安全保障の観点から、設定可能な課題は多く存在しています。輸入依存を補いながら、農業の多様性を確保し、気候変動などの外部リスクに対応できる農業政策の策定が重要です。

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