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マレーシアのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、マレーシアのレモン・ライム生産量は長期的には増加傾向が見られます。特に2018年以降は急激に生産量が増加し、過去最高値の19,883トンを記録しました。しかし、その後の数年間では変動が見られ、2022年には減少が顕著となり10,792トンにまで下がりました。2023年には再び増加し17,485トンとなっています。このデータから、気候変動、経済状況、および地域の栽培条件が生産量に大きな影響を与えていることが推測されます。

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年度 生産量(トン) 増減率
2023年 17,485
62.02% ↑
2022年 10,792
-42.26% ↓
2021年 18,692
2.43% ↑
2020年 18,248
-7.48% ↓
2019年 19,724
-0.8% ↓
2018年 19,883
185.64% ↑
2017年 6,961
-1.57% ↓
2016年 7,072
-6.79% ↓
2015年 7,587
1.47% ↑
2014年 7,477
-19.54% ↓
2013年 9,293
52.69% ↑
2012年 6,086
36.4% ↑
2011年 4,462
7.6% ↑
2010年 4,147
-15.11% ↓
2009年 4,885
-36.55% ↓
2008年 7,699
-11.26% ↓
2007年 8,676
1.54% ↑
2006年 8,545
-2.56% ↓
2005年 8,769
4.49% ↑
2004年 8,392
33.71% ↑
2003年 6,276
11.18% ↑
2002年 5,645
12.77% ↑
2001年 5,006
10.8% ↑
2000年 4,518
12.95% ↑
1999年 4,000
14.29% ↑
1998年 3,500 -
1997年 3,500
40% ↑
1996年 2,500
-30.5% ↓
1995年 3,597
1.44% ↑
1994年 3,546
-27.38% ↓
1993年 4,883
-2.34% ↓
1992年 5,000 -
1991年 5,000
2.04% ↑
1990年 4,900
4.26% ↑
1989年 4,700
-2.08% ↓
1988年 4,800
-1.03% ↓
1987年 4,850
10.23% ↑
1986年 4,400
2.33% ↑
1985年 4,300
26.47% ↑
1984年 3,400
-5.56% ↓
1983年 3,600
-10% ↓
1982年 4,000
-4.76% ↓
1981年 4,200
5% ↑
1980年 4,000
122.22% ↑
1979年 1,800
12.5% ↑
1978年 1,600 -
1977年 1,600
6.67% ↑
1976年 1,500
-3.23% ↓
1975年 1,550
-6.06% ↓
1974年 1,650
10% ↑
1973年 1,500
11.11% ↑
1972年 1,350
3.85% ↑
1971年 1,300
8.33% ↑
1970年 1,200
9.09% ↑
1969年 1,100 -
1968年 1,100
-18.52% ↓
1967年 1,350
-20.59% ↓
1966年 1,700
6.25% ↑
1965年 1,600
6.67% ↑
1964年 1,500
25% ↑
1963年 1,200
20% ↑
1962年 1,000
11.11% ↑
1961年 900 -

マレーシアのレモン・ライム生産量の推移を分析すると、長期的には、1961年の900トンから2023年の17,485トンへと大幅な増加傾向が見受けられます。データには幾つかの重要な変化点があり、生産量に取り巻く背景を理解する上での長期的な経済的・地政学的なテーマが浮かび上がります。

1961年から1980年までは、マレーシアのレモン・ライム生産量は緩やかな増加傾向を示しました。この時期は農業技術の発展が限られており、主に伝統的な農業手法に依存していました。特に栽培技術や農地の管理が進んでいなかったため、生産量は1,000~1,800トンの範囲で緩慢な増加を見せています。しかし、1980年には突然4,000トンに急増しています。これは、政府による果物生産促進政策や、国際的な需給関係の変化が影響していると考えられます。

その後、1980年代から1990年代前半にかけて、緩やかに増産が進み、1991年以降に5,000トン前後で安定的な生産量が見られました。しかし1994年からは突然の減少が起こり、最大で約3,500トンまで低下しました。これには、当時の国際的な経済危機や、マレーシア国内での土地利用政策の変化が影響した可能性があります。

さらに注目すべきなのは、2003年以降の一貫した増加傾向と、それに続く大幅な変動です。この時期より農業技術の進展と輸出市場の拡大が、生産性の向上に寄与したと推測されます。とりわけ2004年から2006年の間に8,000トンを超える急増が記録されており、その背景には、農業インフラの整備や国際需給の拡大が挙げられます。対照的に2009年と2010年には急減し、これには自然災害や病害虫の発生が影響した可能性が高いです。

特筆すべきは2018年以降の急成長です。この年には19,883トンと過去最高値を記録しました。この成長は、おそらく生産地域の拡大や気候条件の好転、輸出需要の高まりが寄与したと考えられます。しかし、2022年には再び10,792トンへと約半減しました。この原因として、パンデミックによる物流の混乱や労働力の不足が挙げられます。2023年には回復が見られたものの、過去のピークには達していません。

課題を明確にすれば、マレーシアのレモン・ライム生産には気候変動、高温乾燥期の増加、そして農業労働力の減少といった問題が立ちはだかっています。気候変動により、異常気象が発生しやすく、これが農作物の栽培に与える影響がますます顕著になっています。また、農業従事者の高齢化と若年層の農業離れは、持続可能な生産システムの構築を阻む懸念材料です。

これに対する提案として、まず気候変動対策を強化する必要があります。具体的には、耐暑性の高い果樹品種の導入や、持続可能な水管理技術を導入すべきです。さらに、土地の利用を最適化する取り組みとして、マレーシア国内の未利用農地を活用し、レモン・ライムの大規模な栽培を推進する政策が有効でしょう。また、若者の農業参入を促すためには、政府が新しい農業技術の導入を補助し、農業にICT技術を取り入れたスマート農業を普及させることが非常に重要です。

地政学的な観点からは、隣国であるタイやインドネシアなどの果物供給国との競争が生産量や価格に影響を及ぼしています。対抗するためには、ブランド価値や品質の向上を目指した国際市場戦略を強化する必要があります。新型コロナによる貿易の制約が収束後、多様な輸出先を確保し、国内市場と輸出市場のバランスを取ることが求められます。

結論として、マレーシアのレモン・ライム生産量は、着実な技術革新と政策支援により将来的にさらなる成長が期待されます。しかし、この成長は気候変動、人材不足、そして国際市場の競争といった複数の課題に直面しています。それらを克服するために具体的な対策を講じることで、マレーシアのレモン・ライム栽培の持続可能な発展が実現するでしょう。