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エルサルバドルの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

エルサルバドルの牛乳生産量推移データを分析すると、長期的な成長傾向の中に大きな変動が認められます。特に1975年から1980年にかけて急激な増加が見られる一方で、1982年や2021年などに顕著な減少があります。2000年代以降は全体として増加傾向を維持していましたが、2018年以降は減少に転じた時期もありました。近年はやや持ち直しつつある状況が伺えます。これらの変動には経済的、政治的、気候的な要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 416,980
14.37% ↑
2022年 364,597
15.7% ↑
2021年 315,119
-23.21% ↓
2020年 410,391
11.43% ↑
2019年 368,279
-11.48% ↓
2018年 416,032
-12.53% ↓
2017年 475,641
-6.49% ↓
2016年 508,677
3.24% ↑
2015年 492,731
-2.56% ↓
2014年 505,671
1.26% ↑
2013年 499,388
2.56% ↑
2012年 486,913
-2.53% ↓
2011年 499,565
5.96% ↑
2010年 471,471
-15.49% ↓
2009年 557,863
9.62% ↑
2008年 508,893
3.83% ↑
2007年 490,138
9.29% ↑
2006年 448,475
-2.72% ↓
2005年 461,028
11.95% ↑
2004年 411,802
1.67% ↑
2003年 405,027
-1.52% ↓
2002年 411,258
4.12% ↑
2001年 394,971
-0.85% ↓
2000年 398,363
10.59% ↑
1999年 360,221
5.41% ↑
1998年 341,745
-7% ↓
1997年 367,448
12.27% ↑
1996年 327,292
12.57% ↑
1995年 290,742
-11.65% ↓
1994年 329,095
-1.88% ↓
1993年 335,384
-2.52% ↓
1992年 344,041
-0.47% ↓
1991年 345,653
27.17% ↑
1990年 271,810
4.96% ↑
1989年 258,955
4.38% ↑
1988年 248,085
5.05% ↑
1987年 236,150
1.83% ↑
1986年 231,900
-3.64% ↓
1985年 240,660
13.2% ↑
1984年 212,600
31.97% ↑
1983年 161,100
-21.87% ↓
1982年 206,200
-16.96% ↓
1981年 248,320
-14.58% ↓
1980年 290,714
10.31% ↑
1979年 263,550
4.19% ↑
1978年 252,960
3.77% ↑
1977年 243,770
-17.11% ↓
1976年 294,100
24.99% ↑
1975年 235,300
17.75% ↑
1974年 199,830
6.72% ↑
1973年 187,250
8.93% ↑
1972年 171,900
1% ↑
1971年 170,200
1.01% ↑
1970年 168,500
1.02% ↑
1969年 166,800
5.1% ↑
1968年 158,700
-1% ↓
1967年 160,300
4.7% ↑
1966年 153,100
-3.77% ↓
1965年 159,100
7.07% ↑
1964年 148,600
-9.83% ↓
1963年 164,800
6.53% ↑
1962年 154,700
1.64% ↑
1961年 152,200 -

エルサルバドルの牛乳生産量のデータは、国連食糧農業機関(FAO)によって発表されており、1961年から2023年までの期間にわたる詳細な統計を示しています。このデータは乳製品の消費と供給の基礎情報を提供し、エルサルバドルの農産業政策や食料安全保障の議論に重要な材料を提供します。

データによると、1961年には152,200トンの生産量であった牛乳は、1975年から1980年にかけて大幅な増加を記録し、特に1980年には290,714トンに達しました。しかし、その後1982年には206,200トンに急減し、続く1983年も161,100トンとさらに低下しました。この大幅な減少は、1980年代にエルサルバドルで発生した内戦による農業分野の混乱や生産基盤の破損が主な原因として挙げられます。この時期、農業従事者の減少や内戦による物流問題が乳製品の生産に大きな影響を及ぼしました。

1990年代以降には政治的な安定が見られ、牛乳生産量は再び上昇傾向を示しました。特に2000年には398,363トン、2008年には508,893トンと過去のピークを更新しました。この成長は、農業技術の改善や酪農の生産性向上、自由貿易による市場拡大が背景にあります。しかし、気候変動の影響が徐々に現れ始め、干ばつや極端な気象パターンにより2010年やその後の数年間には年ごとの生産変動が激しくなりました。

最近の数値を見ると、2018年の416,032トンから2021年の315,119トンまで減少が続きましたが、2023年には416,980トンとやや持ち直しました。この減少の背後には、コロナ禍が引き起こした供給網の問題や国内経済の停滞、さらに乳牛飼育に必要な飼料の価格上昇が影響したと考えられます。また、近年の農業政策の無策や低所得農家の資金不足も課題として浮き彫りになっています。

将来的な課題としては、まず気候変動対策が挙げられます。エルサルバドルは干ばつや洪水などの自然災害の影響を受けやすく、こうした現象は穀物飼料の供給や乳牛の飼育環境に直接的な影響を与えます。これに対応するためには、耐乾燥性の高い飼料や土壌改良技術の導入、灌漑設備の整備が急務です。また、小規模酪農家を中心とした支援策の強化が重要です。財政的な支援だけでなく、技術指導や市場アクセスの向上も併せて推進する必要があります。

さらに、国内消費と輸出のバランスを見直し、乳製品の価値向上を図ることも有効です。その一環として、高品質の乳製品の加工技術を開発し輸出市場を拡大することが、農業収益の安定化に寄与するでしょう。また地域間協力を通じて、隣国との共同市場を形成し、酪農製品の流通を効率化させるとともに市場規模を広げることが期待されます。

結論として、エルサルバドルの牛乳生産量の推移は時代背景や国内外の要因を反映しており、課題とともに成長の兆しも見られます。今後は、気候変動への対応や酪農業への積極的な整備と支援策の採用によって、安定した生産を目指すべきです。同時に、地域および国際的な協力を通じた市場拡大や持続可能な農業モデルの構築が求められるでしょう。