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エルサルバドルのメロン生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)によると、エルサルバドルのメロン生産量は、1960年代から1990年代初頭まで増加を続け、1995年には19,000トンでピークを迎えました。しかしその後は大幅に減少し、2006年以降生産量は1,000トン前後に低迷していました。2021年以降は一部回復の兆しが見え、2022年には5,102トンまで増加しましたが、2023年には再び減少し2,939トンとなっています。この長期的な推移は、国内外の市場動向や気候変動、経済施策といった複合的な要因と密接な関係があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,939
-42.4% ↓
2022年 5,102
14.01% ↑
2021年 4,475
248.11% ↑
2020年 1,285
-27.7% ↓
2019年 1,778
171.69% ↑
2018年 654
-13.36% ↓
2017年 755
-19.01% ↓
2016年 932
-24.94% ↓
2015年 1,242
-22.7% ↓
2014年 1,607
-13.46% ↓
2013年 1,857
15.53% ↑
2012年 1,607
-1.98% ↓
2011年 1,640
-8.59% ↓
2010年 1,794 -
2009年 1,794
39.5% ↑
2008年 1,286
11.05% ↑
2007年 1,158
-3.5% ↓
2006年 1,200
-80% ↓
2005年 6,000
-33.33% ↓
2004年 9,000
38.46% ↑
2003年 6,500
-7.14% ↓
2002年 7,000
-41.67% ↓
2001年 12,000
-7.69% ↓
2000年 13,000 -
1999年 13,000 -
1998年 13,000
-31.58% ↓
1997年 19,000 -
1996年 19,000 -
1995年 19,000
1.06% ↑
1994年 18,800
1.62% ↑
1993年 18,500
3.93% ↑
1992年 17,800
1.71% ↑
1991年 17,500
2.94% ↑
1990年 17,000
6.25% ↑
1989年 16,000 -
1988年 16,000
6.67% ↑
1987年 15,000
7.14% ↑
1986年 14,000
7.69% ↑
1985年 13,000 -
1984年 13,000
8.33% ↑
1983年 12,000
9.09% ↑
1982年 11,000 -
1981年 11,000
4.76% ↑
1980年 10,500
2.94% ↑
1979年 10,200
-0.12% ↓
1978年 10,212
9.63% ↑
1977年 9,315
-16.15% ↓
1976年 11,109
-4.93% ↓
1975年 11,685
1.61% ↑
1974年 11,500 -
1973年 11,500
0.88% ↑
1972年 11,400
12.82% ↑
1971年 10,105
4.61% ↑
1970年 9,660
4.72% ↑
1969年 9,225
0.27% ↑
1968年 9,200 -
1967年 9,200
2.22% ↑
1966年 9,000
1.12% ↑
1965年 8,900
1.14% ↑
1964年 8,800
1.15% ↑
1963年 8,700
1.16% ↑
1962年 8,600
1.18% ↑
1961年 8,500 -

エルサルバドルのメロン生産量データは、同国の農業産業の変遷とその課題を明確に表しています。1960年代から1990年代前半までは、安定的な成長を遂げていました。この成長は、国内の農業技術の向上や土地の有効活用、地域市場との連携強化といった要因に支えられていました。1995年には19,000トンという生産量のピークを記録していますが、それ以降は急速な生産量の下落が見られます。この下落の背景には、いくつかの要因が絡んでいます。

まず、気候変動と自然災害の影響が挙げられます。エルサルバドルは地理的にハリケーンなどの自然災害の影響を受けやすく、特に雨量不足や異常気象といった要素が作物の成長を阻害してきたと考えられます。また、経済的要因として農業への政府支援が減少し、土地や水源の適切な管理が困難になった可能性もあります。これに加えて、競争力のある輸出市場での地位を維持するための諸外国との競争が厳しくなったことが、生産縮小の一因となっているかもしれません。

2002年以降は1万トンを切る年が続き、2006年には1,200トンという最低記録を記録しました。その後10年以上にわたり、1,000トンから2,000トン程度の低い値で推移していることから、この低迷は一時的な問題ではなく構造的な課題が背景にあると推察されます。ただし、2021年および2022年には生産量がやや回復し、それぞれ4,475トン、5,102トンと上昇しました。一方、2023年には再び減少して2,939トンとなっており、回復傾向が一時的なもので終わらないよう、持続可能な政策が求められています。

エルサルバドルのメロン生産における主な課題は、気候変動や水不足への適応力の向上、農家への技術支援といった基本的な持続可能性への対応が挙げられます。また、地政学的リスクとして、国際市場における競争力が低下している現状も無視できません。近隣諸国、特にコスタリカやホンジュラスといった同じ中米地域の農産品輸出国が、国際市場で強い地位を確立する中、エルサルバドルはその競争力を再構築する必要に迫られています。

解決策としては、国家的な農業振興政策の強化が求められます。具体的には、耐災害性に優れたメロンの品種改良や栽培技術の普及、灌漑インフラの整備、資金やノウハウを提供する農家支援プログラムの導入が必要です。また、輸出市場の多様化を図るために、新たな貿易相手国の開拓やプレミアムメロンのブランド化を目指した国際プロモーション活動も効果的でしょう。さらに、農業従事者への教育機会を増やし、特に若年層への農業参入を促す取り組みが、長期的な生産性向上に貢献するはずです。

結論として、エルサルバドルのメロン生産量の長期的減少の背景には、気候変動、農業技術の停滞、国際市場での競争力低下といった複合的な問題があります。しかしながら、近年の生産量回復の兆しは、適切な政策と戦略を導入することでこの重要な産業を再活性化させる可能性を示唆しています。エルサルバドル政府や関連国際機関が協力して、農業の近代化と持続可能な生産体制の構築に注力することが今後の鍵となるでしょう。