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エルサルバドルのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新データによると、エルサルバドルにおけるキュウリ類の生産量は1960年代以降増減を繰り返しながらも、全体的な増加傾向が見られます。特に1980年代以降、緩やかな成長が続いていたものの、2000年代には急激な変動が目立っています。直近の2023年には生産量が12,044トンに達しましたが、安定性に課題が残る状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 12,044
57.29% ↑
2022年 7,657
-41% ↓
2021年 12,979
137.4% ↑
2020年 5,467
-23.04% ↓
2019年 7,104
209.3% ↑
2018年 2,297
-53.14% ↓
2017年 4,901
-15.75% ↓
2016年 5,817
17.44% ↑
2015年 4,953
-13.41% ↓
2014年 5,720
34.46% ↑
2013年 4,254
-33.99% ↓
2012年 6,444
124.14% ↑
2011年 2,875
-73.66% ↓
2010年 10,917 -
2009年 10,917
-26.3% ↓
2008年 14,813
11% ↑
2007年 13,345
6.8% ↑
2006年 12,495
-23% ↓
2005年 16,228
32.87% ↑
2004年 12,213
43.68% ↑
2003年 8,500 -
2002年 8,500 -
2001年 8,500 -
2000年 8,500
6.25% ↑
1999年 8,000 -
1998年 8,000 -
1997年 8,000 -
1996年 8,000
1.27% ↑
1995年 7,900
1.28% ↑
1994年 7,800
1.3% ↑
1993年 7,700 -
1992年 7,700
1.32% ↑
1991年 7,600
1.33% ↑
1990年 7,500
1.35% ↑
1989年 7,400
1.37% ↑
1988年 7,300
1.39% ↑
1987年 7,200
2.86% ↑
1986年 7,000 -
1985年 7,000 -
1984年 7,000 -
1983年 7,000
2.94% ↑
1982年 6,800
3.03% ↑
1981年 6,600
1.54% ↑
1980年 6,500 -
1979年 6,500
4.42% ↑
1978年 6,225
34.51% ↑
1977年 4,628
-10.81% ↓
1976年 5,189
116.21% ↑
1975年 2,400
4.35% ↑
1974年 2,300 -
1973年 2,300
4.55% ↑
1972年 2,200 -
1971年 2,200
4.76% ↑
1970年 2,100 -
1969年 2,100
5% ↑
1968年 2,000 -
1967年 2,000
5.26% ↑
1966年 1,900 -
1965年 1,900
5.56% ↑
1964年 1,800 -
1963年 1,800
5.88% ↑
1962年 1,700 -
1961年 1,700 -

エルサルバドルのキュウリ類生産量データを時系列で分析すると、特に2004年以降に大きな変動が見られることが分かります。1960年代から1990年代にかけては、1,700トンから約8,000トンへと生産量が一貫して少しずつ増加していました。この時期の緩やかな成長は、国内の農業技術の向上や市場環境の改善、農村部の改革などが寄与した可能性が高いと考えられます。さらに、この期間の平均的な増加は地元農家の生産性の向上を反映しているとも言えます。

しかし、2000年代中盤に突入すると、2004年には約12,213トン、2005年には16,228トンと、生産量が一気に急増しましたが、その後12,495トン(2006年)や10,917トン(2009年)と減退するなど大幅な変動が現れるようになりました。この急激な増減は、天候変動やインフラの整備不足、または国内外市場における需要変動が影響している可能性があります。特に、農業生産はエルサルバドルのような小国では気候災害や資源不足の影響を受けやすいことから、この不安定性への対策が急務となっています。

近年では、2011年に一時的に2,875トンと大きな落ち込みを見せたあと、2021年には12,979トンまで回復するなど、近代的な技術導入や政府の農業支援政策とも関連する上向きの動きも確認できます。ただし2022年の7,657トンや2023年の12,044トンという数値が示す通り、依然として一貫性に欠ける状況も残っています。

背景要因としては、エルサルバドルの地政学的状況や経済的不安定性、さらには自然災害の影響が挙げられます。同国は小規模農家が多く、農業資本の集中投資が困難な状況にあります。このため、キュウリのような生鮮品市場での競争力が低下し、輸出市場での存在感の低さにつながっているかもしれません。さらに、エルサルバドルは地域的に地震や洪水といった気象災害の影響を多く受ける地域であり、これが生産量の安定性を損ねているとも考えられます。

また、種子の品質や現代農業技術へのアクセスが限られていることも、重要な課題です。これにより、収量を天候や季節に大きく依存する形となり、市場安定性を揺るがす結果となっています。さらに、パンデミックの世界的な影響も、新型コロナウイルス感染症拡大期における物流の停滞や労働力不足を通じて、生産量に影響を及ぼした可能性があります。

今後の対策として、まずは農業インフラの整備が重要です。たとえば、灌漑システムの改良や土壌改良技術への投資は、生産の安定化につながるでしょう。また、気候変動による災害リスクを軽減するため、早期警報システムや天候予測技術の活用も取り入れる必要があります。さらに、地元農家に対する教育や支援プログラムを拡充し、現代的な農業手法の普及に注力することも求められます。

輸出市場の活性化を視野に入れた、農産物の付加価値向上も合わせて進めるべきです。これには、キュウリ類の品種改良や加工食品分野への展開が含まれるかもしれません。国際機関や地域間の農業支援連携を通じて、技術や資金を提供することも、安定的な成長に寄与します。

結論として、エルサルバドルのキュウリ類生産量は、過去60年近くで安定的な成長傾向を示していたものの、近年は外的要因による大幅な変動が確認されます。これを克服するには、技術投資や新市場の開拓、さらには地域的な災害リスクマネジメントの取り組みが欠かせません。長期的視点での一貫した政策実施が、同国の農業セクターの変革と成長を可能にすると期待されます。

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