国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、エルサルバドルの鶏卵生産量は1961年以降増加傾向を続け、2000年に61,278トンで初めて6万トンを超えました。その後、2013年に70,703トンと過去最高値を記録しました。しかしながら、近年は減少傾向が見られ、2023年の生産量は60,865トンと、再び6万トンをわずかに下回っています。この推移から、エルサルバドルの鶏卵生産は成長期を経て安定期を迎えた後、近年の要因によりやや減少していることが伺えます。
エルサルバドルの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 60,865 |
-2.94% ↓
|
2022年 | 62,709 |
4.68% ↑
|
2021年 | 59,906 |
-2.19% ↓
|
2020年 | 61,250 |
-8.54% ↓
|
2019年 | 66,972 |
-1.27% ↓
|
2018年 | 67,832 |
1.4% ↑
|
2017年 | 66,896 |
-7.33% ↓
|
2016年 | 72,189 |
0.25% ↑
|
2015年 | 72,011 |
-0.59% ↓
|
2014年 | 72,440 |
2.46% ↑
|
2013年 | 70,703 |
13.5% ↑
|
2012年 | 62,295 |
4.34% ↑
|
2011年 | 59,705 |
-7.73% ↓
|
2010年 | 64,705 |
0.71% ↑
|
2009年 | 64,250 |
-3.06% ↓
|
2008年 | 66,276 |
-5.32% ↓
|
2007年 | 70,000 |
1.12% ↑
|
2006年 | 69,228 |
2.7% ↑
|
2005年 | 67,409 | - |
2004年 | 67,412 |
-1.57% ↓
|
2003年 | 68,486 |
3.85% ↑
|
2002年 | 65,944 |
7.61% ↑
|
2001年 | 61,278 | - |
2000年 | 61,278 |
17.09% ↑
|
1999年 | 52,335 |
3.12% ↑
|
1998年 | 50,750 |
1.44% ↑
|
1997年 | 50,030 |
13.91% ↑
|
1996年 | 43,920 |
-1.61% ↓
|
1995年 | 44,640 |
1.22% ↑
|
1994年 | 44,100 |
10.11% ↑
|
1993年 | 40,050 |
-15.34% ↓
|
1992年 | 47,305 |
0.57% ↑
|
1991年 | 47,035 |
4.78% ↑
|
1990年 | 44,890 |
-0.04% ↓
|
1989年 | 44,910 |
-5.27% ↓
|
1988年 | 47,408 |
12.8% ↑
|
1987年 | 42,030 |
4.83% ↑
|
1986年 | 40,095 |
1.25% ↑
|
1985年 | 39,600 |
2.99% ↑
|
1984年 | 38,452 |
0.63% ↑
|
1983年 | 38,210 |
0.59% ↑
|
1982年 | 37,986 |
5.45% ↑
|
1981年 | 36,022 |
-2.21% ↓
|
1980年 | 36,835 |
-2.06% ↓
|
1979年 | 37,610 |
0.24% ↑
|
1978年 | 37,520 |
10.74% ↑
|
1977年 | 33,880 |
8.38% ↑
|
1976年 | 31,260 |
15.99% ↑
|
1975年 | 26,950 |
14.88% ↑
|
1974年 | 23,460 |
3.94% ↑
|
1973年 | 22,570 |
9.09% ↑
|
1972年 | 20,690 |
-5.53% ↓
|
1971年 | 21,900 |
3.47% ↑
|
1970年 | 21,165 |
-4.23% ↓
|
1969年 | 22,100 |
6.25% ↑
|
1968年 | 20,800 |
5.58% ↑
|
1967年 | 19,700 |
5.91% ↑
|
1966年 | 18,600 |
5.68% ↑
|
1965年 | 17,600 |
6.02% ↑
|
1964年 | 16,600 |
5.06% ↑
|
1963年 | 15,800 |
5.33% ↑
|
1962年 | 15,000 |
6.38% ↑
|
1961年 | 14,100 | - |
エルサルバドルの鶏卵生産量の推移は、同国の農業経済や食糧安全保障の状況を反映した興味深いデータです。この国の北中米における位置づけや、輸出用の生産基盤、国内消費の変化を通じて、その背景にある課題や将来の対策を考察することができます。
1961年からのデータを見ると、当初は14,100トンと小規模な生産から始まりましたが、1970年までに約50%増加して21,165トンに達しました。この急成長は、農業技術の導入や畜産政策への投資が影響していると考えられます。その後、1980年代に鶏卵生産の拡大がさらに加速し、1988年には47,408トンとなりました。この時期の経済成長率の向上や輸出市場の多様化がその背景にあると想定されます。
2000年に入ると、生産量は大きく伸び、特に2002年以降は毎年安定して60,000トンを超える数値を記録しています。この成果は、生産プロセスの集中化や効率化、また輸入飼料価格の適正化による生産環境の改善によるものと言えるでしょう。しかしながら、2013年の70,703トンをピークに、その後は一貫して大きな増減が見られるようになりました。特に2020年以降、新型コロナウイルスのパンデミックの影響が顕著となり、その結果、2021年と2023年の生産量は60,000トンを下回ることとなりました。
この減少傾向の主な要因として、疫病や自然災害、そして飼料価格の変動が挙げられます。エルサルバドルは地理的にハリケーンや地震などの影響を受けやすい国であり、農業基盤に対するリスクが高いことが問題とされています。加えて、新型コロナウイルスによる経済の停滞が農業セクターに与えた負担も見逃せません。さらに、国際的な飼料価格の高騰が生産者のコストを圧迫している現状も見られます。
これらの課題を克服するために、いくつかの具体的な対策を提案します。まず、中小規模の生産者に対する補助金制度の創設や融資の支援、さらに近代的な生産技術の導入支援が重要です。また、災害リスクに対応するための農業保険の普及を進めることも急務と言えます。これにより、生産者が自然災害や市場の変動に柔軟に対処できるようになります。さらに、地域内の貿易パートナーシップを強化し、輸出市場を拡大して収益を安定化させる取り組みも検討すべきです。
将来的に、エルサルバドルの鶏卵生産の拡大のみならず持続可能性を確保するためには、地元での消費促進とともに、環境負荷を軽減した生産体制の確立も重要です。これには、再生可能エネルギーの利用や、低インパクトな飼料の導入などが含まれます。
以上のようにデータを考察すると、エルサルバドルにおける鶏卵の生産は、過去の成長を足掛かりに持続可能な農業を発展させるための礎となります。同時に、世界的な競争や気候変動の影響を緩和するため、国際的な協力の枠組みの中でさらなる対策が取られることが期待されます。