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エルサルバドルのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、エルサルバドルのオリーブ油生産量は1961年の225トンから2021年の1,558トンへと増加しました。特に、1970年代以降は一貫した増加を示しており、1990年代後半から急激な上昇傾向が見られました。しかし、2018年以降は減少や停滞が見られ、長期的な成長の鈍化が課題となっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 1,558
-0.4% ↓
2020年 1,564
2.3% ↑
2019年 1,529
-5.95% ↓
2018年 1,625
-2.18% ↓
2017年 1,662
3.59% ↑
2016年 1,604
-0.4% ↓
2015年 1,610
5.76% ↑
2014年 1,523
7.09% ↑
2013年 1,422 -
2012年 1,422
8.17% ↑
2011年 1,314
5.29% ↑
2010年 1,248
-14.01% ↓
2009年 1,452
0.12% ↑
2008年 1,450
1.33% ↑
2007年 1,431
14.65% ↑
2006年 1,248
1.56% ↑
2005年 1,229
9.14% ↑
2004年 1,126
-2.58% ↓
2003年 1,156
17.17% ↑
2002年 987
7.29% ↑
2001年 920
16.87% ↑
2000年 787
1.88% ↑
1999年 772
3.25% ↑
1998年 748
25.31% ↑
1997年 597
2.6% ↑
1996年 582
-8.04% ↓
1995年 633
26.56% ↑
1994年 500
-5.74% ↓
1993年 530
1% ↑
1992年 525
18.16% ↑
1991年 444
-5.73% ↓
1990年 471
-7.59% ↓
1989年 510 -
1988年 510 -
1987年 510 -
1986年 510 -
1985年 510
3.03% ↑
1984年 495
3.13% ↑
1983年 480
1.59% ↑
1982年 473
1.61% ↑
1981年 465
3.33% ↑
1980年 450 -
1979年 450 -
1978年 450 -
1977年 450
7.14% ↑
1976年 420
7.69% ↑
1975年 390
8.33% ↑
1974年 360
9.09% ↑
1973年 330
10% ↑
1972年 300
11.11% ↑
1971年 270
20% ↑
1970年 225 -
1969年 225 -
1968年 225 -
1967年 225 -
1966年 225 -
1965年 225 -
1964年 225 -
1963年 225 -
1962年 225 -
1961年 225 -

エルサルバドルのオリーブ油生産推移を観察すると、長期的な視点では顕著な増加が確認されます。1961年から1970年までは225トンで安定していましたが、1971年以降、技術や栽培方法の進歩、また国内インフラの発展に伴い、徐々に生産量が増えました。特に1998年以降の大幅な増加は注目に値します。1995年の633トンから1998年には748トン、2008年には1,450トンと、この時期は生産能力の急成長を示しました。この背景には、国際的な需要の増加やエルサルバドルの農業政策の改善が影響していると考えられます。

しかし、2010年以降、伸び率は徐々に鈍化し、2018年以降には減少傾向も見られました。この停滞の背景として考えられる要因はいくつかあります。一つには、気候変動の影響です。オリーブ栽培に適した気候が求められる中、近年の異常気象や長期的な乾燥化が収穫量に悪影響を与えている可能性があります。また、国内の経済的不安定や農業従事者の高齢化、さらに必要な技術や機械の不足が効率低下に拍車をかけているとも考えられます。

世界的に見れば、エルサルバドルのオリーブ油生産量は他国と比較して小さい規模に留まっています。例えば、スペインやイタリアなどの主要生産国は年間100万トンを超える生産量を誇っており、エルサルバドルの生産量はこれらの国々の0.1%にも満たない状況です。こうした国際比較から見ると、エルサルバドルはオリーブ油生産国としての競争力を強化する必要があることが浮き彫りになります。

今後の課題として、まず、生産基盤の強化と気候変動への適応が挙げられます。たとえば、乾燥地での耐性がある新品種の導入や、灌漑技術の改善が重要です。さらに、農業従事者への技術支援や若年労働力への働きかけも不可欠です。エルサルバドル政府が他国の成功例を研究し、国内のオリーブ栽培を支援する政策を強化することで、生産量の安定と拡大が期待できます。

また、地域間協力を深化させることも有効な施策です。例えば、他の中米諸国と連携して気候変動対策やオリーブ油市場の開拓を進めることで、生産効率や収益性を向上させることが可能になります。さらに、国際市場へのアクセスを拡大し、輸出量を増加させる方向性も検討すべきです。その際には、製品の品質向上やオーガニック認証の取得など、ブランド価値を高める努力が重要となります。

最後に、新型コロナウイルスの感染拡大の影響についても触れておきます。パンデミックにより農業関連の物流が一時的に混乱し、生産から輸送までの効率が低下したことは、オリーブ油生産の停滞にも影響したと考えられます。この経験を教訓に、今後はより持続可能な供給チェーン構築にも投資を行う必要があるでしょう。

これらの施策を通じて、エルサルバドルが中米のオリーブ油産業の中で独自の地位を築き、持続可能な成長を遂げていくことを期待しています。