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エルサルバドルのトマト生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、エルサルバドルのトマト生産量は、1961年から2022年にかけて起伏のある推移を見せています。特に1985年や1995年、2008年には大きなピークが観察されましたが、それ以外の年には生産量が急激に減少または安定しない状況が続いています。近年、2020年以降は一定程度の生産回復が見られる一方で、2022年にはやや低下しました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 22,568
3.27% ↑
2022年 21,854
-5.05% ↓
2021年 23,017
-1.47% ↓
2020年 23,359
6.85% ↑
2019年 21,861
9.77% ↑
2018年 19,915
-9.55% ↓
2017年 22,018
21.55% ↑
2016年 18,114
23.63% ↑
2015年 14,652
4.93% ↑
2014年 13,964
-3.88% ↓
2013年 14,527
-22.01% ↓
2012年 18,627
-13.73% ↓
2011年 21,592
22.24% ↑
2010年 17,663 -
2009年 17,663
-60.25% ↓
2008年 44,436
11% ↑
2007年 40,032
11.55% ↑
2006年 35,886
22% ↑
2005年 29,415
15.73% ↑
2004年 25,417
11.36% ↑
2003年 22,824
6.16% ↑
2002年 21,500
6.18% ↑
2001年 20,248
-5.17% ↓
2000年 21,352
-28.37% ↓
1999年 29,808
-17.31% ↓
1998年 36,050
21.53% ↑
1997年 29,663
15.5% ↑
1996年 25,682
-41.33% ↓
1995年 43,777
131.51% ↑
1994年 18,909
8.05% ↑
1993年 17,500
9.38% ↑
1992年 16,000
3.23% ↑
1991年 15,500
-37.02% ↓
1990年 24,610
1.36% ↑
1989年 24,279
-7.4% ↓
1988年 26,220
-8.21% ↓
1987年 28,566
0.81% ↑
1986年 28,336
-4.94% ↓
1985年 29,808
10.77% ↑
1984年 26,910
2.92% ↑
1983年 26,146
18.41% ↑
1982年 22,080
0.84% ↑
1981年 21,896
3.93% ↑
1980年 21,068
19.1% ↑
1979年 17,690
-11.04% ↓
1978年 19,886
73.62% ↑
1977年 11,454
-1.93% ↓
1976年 11,680
-38.8% ↓
1975年 19,085
0.45% ↑
1974年 19,000
2.7% ↑
1973年 18,500
2.78% ↑
1972年 18,000
2.86% ↑
1971年 17,500
1.74% ↑
1970年 17,200
-7.03% ↓
1969年 18,500
16.35% ↑
1968年 15,900
0.63% ↑
1967年 15,800
11.27% ↑
1966年 14,200
11.81% ↑
1965年 12,700
-2.31% ↓
1964年 13,000
4.84% ↑
1963年 12,400
3.33% ↑
1962年 12,000
6.19% ↑
1961年 11,300 -

1961年から2022年までのエルサルバドルのトマト生産量データを分析すると、いくつかの重要な特徴と課題が見えてきます。このデータは、国際連合食糧農業機関(FAO)が収集した国内生産の統計であり、国の農業経済の動向を示す重要な指標となっています。

まず、1960年代はトマト生産が比較的低水準で推移しており、生産量は1万トンから1.5万トン程度に留まっていました。その後、1970年代後半から1980年代にかけては大きな伸びを示し、特に1983年から1985年にかけて生産が顕著に増加しました。この時期の伸びは、農地の拡大や技術導入、政策の後押しが背景にあったと考えられます。しかし、1991年の大幅な生産減少(約1万5500トンまで低下)は、想定される外的要因、例えば天候不順や経済、政治的不安定の影響が疑われます。

特筆すべきは1990年代半ばの1995年に記録された4万3777トンという高い生産量です。この年の増加要因としては、農業政策の改善や輸出市場の開拓が考えられます。しかしながら、その後再び減少に転じ、安定的な生産が難しい状況が続きました。2006年から2008年にかけての生産量の伸びも注目すべきですが、2009年には再び生産量がほぼ半減しました。

近年、年間2万2000トン前後での推移が続いているものの、持続可能な成長には至っていません。2020年以降の相対的な回復傾向はポジティブな兆しではありますが、2022年には再びわずかに減少しており、この不安定さが引き続き課題として浮上しています。

エルサルバドルのトマト生産量の不安定さは、気候変動や農業技術の未熟さ、十分な社会基盤設備の欠如、または市場価格の低迷といった要因と関連していると考えられます。特に気候変動による天候不順や災害の増加が、農作物の生産に影響を及ぼしている可能性は高く、持続可能な農業の実現にはこれらへの対策が必要です。

さらに、エルサルバドルの農業全般における投資や研究開発の不足も顕著です。他国と比較すると、日本やアメリカ、韓国などでは、トマト栽培の効率化を目指した高精度の灌漑技術や温室栽培が広く普及しています。これに対し、エルサルバドルでは依然として従来型の農法に頼る部分が大きい現状です。この差を埋めるためには、技術移転や国際協力を通じた農業インフラの強化が求められます。

また、政治的・社会的な背景も重要です。エルサルバドルは過去に地域紛争や社会不安を経験しており、これが長期的な生産基盤の脆弱化に繋がった可能性があります。地域の安定化や政策の継続性、そして農業従事者への支援強化が不可欠です。

結論として、エルサルバドルがトマト生産を持続的に拡大するためには、技術革新の推進、気候変動への適応策の強化、市場価格の安定化を目指した輸出戦略の見直しが挙げられます。また、地域間の協力を深め、共同でインフラ整備や災害対策を進めることも重要です。このような具体的な取り組みによって、エルサルバドルの農業セクター全体が持続可能な発展に向けた基盤を築くことができるでしょう。