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エルサルバドルのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、エルサルバドルのオリーブ生産量は、1960年代の安定した1,500トン台から徐々に増加を見せ、2000年代以降には大幅に成長しました。2000年には約5,400トンであった生産量が、2012年には10,250トンに達し、それ以降は増加が緩やかになり、2022年現在、約11,224トンとなっています。ただし、近年のデータからは、生産量がわずかに減少傾向で推移していることが見て取れます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,451
2.03% ↑
2022年 11,224
-0.04% ↓
2021年 11,228
-0.4% ↓
2020年 11,273
0.92% ↑
2019年 11,171
-0.62% ↓
2018年 11,240
-1.48% ↓
2017年 11,409
5.04% ↑
2016年 10,862
-5.13% ↓
2015年 11,449
5.16% ↑
2014年 10,887
6.22% ↑
2013年 10,250 -
2012年 10,250
8.17% ↑
2011年 9,476
5.29% ↑
2010年 9,000
5.05% ↑
2009年 8,567
5.17% ↑
2008年 8,146
5.18% ↑
2007年 7,745
5.18% ↑
2006年 7,364
5.19% ↑
2005年 7,000
5.2% ↑
2004年 6,654
5.21% ↑
2003年 6,324
5.23% ↑
2002年 6,010
5.25% ↑
2001年 5,711
5.27% ↑
2000年 5,425
5.29% ↑
1999年 5,152
5.32% ↑
1998年 4,892
5.35% ↑
1997年 4,644
5.38% ↑
1996年 4,407
5.41% ↑
1995年 4,181
5.45% ↑
1994年 3,965
5.49% ↑
1993年 3,758
7.39% ↑
1992年 3,500
3.72% ↑
1991年 3,374
7.4% ↑
1990年 3,142
-7.59% ↓
1989年 3,400 -
1988年 3,400 -
1987年 3,400 -
1986年 3,400 -
1985年 3,400
3.03% ↑
1984年 3,300
3.13% ↑
1983年 3,200
1.59% ↑
1982年 3,150
1.61% ↑
1981年 3,100
3.33% ↑
1980年 3,000 -
1979年 3,000 -
1978年 3,000 -
1977年 3,000
7.14% ↑
1976年 2,800
7.69% ↑
1975年 2,600
8.33% ↑
1974年 2,400
9.09% ↑
1973年 2,200
10% ↑
1972年 2,000
11.11% ↑
1971年 1,800
20% ↑
1970年 1,500 -
1969年 1,500 -
1968年 1,500 -
1967年 1,500 -
1966年 1,500 -
1965年 1,500 -
1964年 1,500 -
1963年 1,500 -
1962年 1,500 -
1961年 1,500 -

エルサルバドルのオリーブ生産は、1960年代から持続的な成長を続け、特に1970年代以降には生産量が飛躍的に増加しました。この増加は、農業技術の向上や灌漑(かんがい)設備の普及、そして農地の拡大などの影響があったと考えられます。また、エルサルバドルの小規模な農家によるオリーブ栽培支援策も、生産量増加に寄与した可能性があります。

2000年代に入ると、オリーブの需要拡大や国際的な貿易機会を背景に、生産量はさらに急成長しました。特に、健康志向の高まりによりオリーブオイルが注目される中で、エルサルバドルもこの市場の波に乗ったといえます。しかしながら、2016年以降、オリーブ生産量の成長速度は減速し、一部の年では若干の減少を示しています。この傾向は、複数の要因による可能性があります。

まず、地政学的リスクの影響を考慮する必要があります。エルサルバドルでは、治安の不安定さや働き手の流出といった問題があり、農業セクターに悪影響を与えている可能性があります。また、気候変動も見逃せない要因です。干ばつや大雨などの極端な気象条件が、オリーブ栽培にとってハードルとなっていると考えられます。さらに、オリーブ栽培は土壌の条件や長期的な管理が重要なため、土地の過剰利用や資源の枯渇も生産効率を低下させる一因です。

他の主要生産国と比較してみると、エルサルバドルの生産量はまだ規模が小さいと言えます。例えば、スペインやギリシャなどのトップ生産国では、生産量は数百万トン規模であり、エルサルバドルは世界市場における競争力という面では劣る状態にあります。しかしながら、エルサルバドル独自の地理的条件や労働コストの優位性を活かすことで、差別化を図ることが可能です。

今後の課題として、継続的な気候変動への対策が求められます。例えば、灌漑設備の拡充や、干ばつに耐性を持つオリーブ品種の開発と導入が効果的でしょう。また、農家への支援や教育の充実によって、技術力を向上させることも重要です。一方で、輸出を促進するためには、物流インフラの整備やブランド戦略の強化も欠かせません。たとえば、高品質なオリーブ製品を国際市場でアピールするために、「エルサルバドル産」の価値を積極的に広める戦略が必要です。

エルサルバドルの政府や農業団体が、持続可能な農業の推進と気候変動への適応計画に取り組むことで、長期的な生産量の安定と競争力向上が期待されます。また、国際機関や近隣諸国との協力を深め、資金援助や技術移転を進めることも有効です。これらの具体的なステップを通じて、エルサルバドルのオリーブ生産が再び成長を遂げ、世界市場における存在感を高めることができるでしょう。