Skip to main content

エルサルバドルのアボカド生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月更新のデータによれば、エルサルバドルのアボカド生産量は1960年代から1990年代半ばにかけて増加傾向にありましたが、2000年代には大幅な減少を経験しました。2010年代後半には生産量が一部回復しつつありますが、2023年には再び大幅な減少が見られています。この変動は、自然災害、地政学的要因、農業技術の変化などさまざまな要因に起因していると考えられる。2022年の生産量が43,757トンに達したのに対し、2023年のデータでは17,350トンと著しく減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 17,350
-60.35% ↓
2022年 43,757
13.45% ↑
2021年 38,568
35.05% ↑
2020年 28,559
-29.68% ↓
2019年 40,613
-0.97% ↓
2018年 41,011
13.64% ↑
2017年 36,088
242.48% ↑
2016年 10,537
14.66% ↑
2015年 9,190
-10.3% ↓
2014年 10,245
24.09% ↑
2013年 8,256
57.24% ↑
2012年 5,250
81.86% ↑
2011年 2,887
53.59% ↑
2010年 1,880
-13.86% ↓
2009年 2,182
2.2% ↑
2008年 2,135
9.04% ↑
2007年 1,958
1.98% ↑
2006年 1,920
-78.61% ↓
2005年 8,976
6.33% ↑
2004年 8,442
23.75% ↑
2003年 6,822
-2.54% ↓
2002年 7,000
-69.57% ↓
2001年 23,000
-42.5% ↓
2000年 40,000
-5.88% ↓
1999年 42,500 -
1998年 42,500
1.19% ↑
1997年 42,000
1.2% ↑
1996年 41,500
1.22% ↑
1995年 41,000 -
1994年 41,000
2.5% ↑
1993年 40,000 -
1992年 40,000
2.56% ↑
1991年 39,000
2.63% ↑
1990年 38,000
2.7% ↑
1989年 37,000
2.78% ↑
1988年 36,000
2.86% ↑
1987年 35,000 -
1986年 35,000
2.94% ↑
1985年 34,000 -
1984年 34,000
1.49% ↑
1983年 33,500
1.52% ↑
1982年 33,000
3.13% ↑
1981年 32,000
3.23% ↑
1980年 31,000 -
1979年 31,000 -
1978年 31,000
3.33% ↑
1977年 30,000
3.45% ↑
1976年 29,000
3.57% ↑
1975年 28,000
3.7% ↑
1974年 27,000
3.85% ↑
1973年 26,000
4% ↑
1972年 25,000
2.04% ↑
1971年 24,500
1.66% ↑
1970年 24,100
0.42% ↑
1969年 24,000
1.69% ↑
1968年 23,600
7.76% ↑
1967年 21,900
5.29% ↑
1966年 20,800
5.05% ↑
1965年 19,800
5.32% ↑
1964年 18,800
5.03% ↑
1963年 17,900
1.7% ↑
1962年 17,600
7.32% ↑
1961年 16,400 -

エルサルバドルにおけるアボカド生産の動向を見ると、1961年の16,400トンから1999年の42,500トンまで安定した上昇が見られました。これには、エルサルバドル国内の農業インフラが整備され、アボカドの需要が地域内外で拡大していった背景が関連しています。しかし、2000年代に入ると大幅な減少が見られ、とりわけ2001年に23,000トン、2002年には7,000トンと急激な低下が確認されます。この減少の原因としては、2001年の大地震やその後の気候変動、さらに農地の転用途や技術的な課題が挙げられます。また、この時期には農業政策の不安定さが生産業界に悪影響を及ぼしている可能性も指摘されています。

2010年代に入ると一部回復が見られ、2017年には36,088トン、2018年には41,011トンと再び増加傾向が確認されました。この間、農家の技術研修プログラムや国際的な支援プロジェクトの影響が見受けられます。しかし、2020年の28,559トンへの減少や、2023年の17,350トンへの再度の大幅な低下は、気候変動、パンデミックによる物流の停滞、また農地の利用効率化における遅れといった課題が一因と考えられます。この中でも2023年の急減は顕著であり、気候変動による降水量の変動や高温被害が直接影響している可能性が高いです。

エルサルバドルにおけるアボカドの将来的な生産を安定させるためには、まず気候変動への適応策が急務です。乾燥耐性の高い種子の導入や灌漑技術の向上など、農業技術の研究と普及が重要です。また、頻発する自然災害への対策としては、生産インフラの強化、資金援助プログラムの設計が有効と考えられます。そのほか、地域間での協力体制の構築により国際市場へのアクセスを強化し、農産物の輸出を増やすことも課題解決のカギです。例えば、隣国のグアテマラやホンジュラスなども同様の課題を抱えていますが、地域全体での貿易促進協定を締結することでこれらの問題を共有し、効率的に解決する可能性があります。

また、地政学的背景も無視できません。エルサルバドルは中南米地域で顕著な経済格差や社会不安を抱えており、これがアボカド生産を含む農業全体に負の影響を及ぼしています。特に、農地の管理や利用が規模の大きな問題となる場合、政府と民間セクター間の協調が解決を導く鍵となるでしょう。

2023年の生産量減少が示す影響は短期的な影響を通り越して、長期的な農業への課題として捉える必要があります。今後、国際機関や地域間連携による技術共有、財政支援の視点から、エルサルバドル特有の地理的条件に合った包括的な政策と施策を講じることが求められます。このような具体的な対策を実行することで、エルサルバドルのアボカド生産が再び安定し、さらには輸出主力産業としての地位を確保する可能性が広がるでしょう。