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エクアドルの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、エクアドルの牛乳生産量は1961年の48万トンから2023年の217万7133トンまで増加を遂げています。一貫した成長を見せる一方、特定の年では大きなスランプも見られました。特に1980年代と2015年以降は生産量の変動が顕著で、それぞれの時期における社会的、経済的背景が示唆されます。最新の2023年は過去数十年の中で最も高い数値となり、回復基調にあることがわかります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,177,133
16.58% ↑
2022年 1,867,490
0.01% ↑
2021年 1,867,284
4.41% ↑
2020年 1,788,432
-3.45% ↓
2019年 1,852,288
-0.77% ↓
2018年 1,866,667
0.9% ↑
2017年 1,850,000
-2.63% ↓
2016年 1,900,000
2.7% ↑
2015年 1,850,000
-10.46% ↓
2014年 2,066,105
-12.33% ↓
2013年 2,356,638
10.35% ↑
2012年 2,135,613
-10.98% ↓
2011年 2,399,129
11.66% ↑
2010年 2,148,554
9.19% ↑
2009年 1,967,649
-1.82% ↓
2008年 2,004,123
11.9% ↑
2007年 1,791,025
-8.1% ↓
2006年 1,948,954
13.33% ↑
2005年 1,719,677
-4.62% ↓
2004年 1,802,919
10.95% ↑
2003年 1,625,020
-3.83% ↓
2002年 1,689,719
-9.3% ↓
2001年 1,863,000
3.16% ↑
2000年 1,806,000
3.2% ↑
1999年 1,750,000
1.1% ↑
1998年 1,731,000
2.24% ↑
1997年 1,693,000
18.39% ↑
1996年 1,430,000
3.49% ↑
1995年 1,381,829
5.55% ↑
1994年 1,309,200
9.78% ↑
1993年 1,192,542
7.35% ↑
1992年 1,110,882
3.54% ↑
1991年 1,072,874
2.78% ↑
1990年 1,043,898
4% ↑
1989年 1,003,745
12.43% ↑
1988年 892,807
18.76% ↑
1987年 751,764
-2.63% ↓
1986年 772,048
2.52% ↑
1985年 753,082
-17.1% ↓
1984年 908,387
5.34% ↑
1983年 862,363
-15.82% ↓
1982年 1,024,367
8.57% ↑
1981年 943,500
2.09% ↑
1980年 924,200
2.18% ↑
1979年 904,500
4.46% ↑
1978年 865,883
2% ↑
1977年 848,878
4.94% ↑
1976年 808,911
3.15% ↑
1975年 784,225
2.36% ↑
1974年 766,118
0.42% ↑
1973年 762,940
4.54% ↑
1972年 729,800
1.8% ↑
1971年 716,900
1.69% ↑
1970年 705,000
1.7% ↑
1969年 693,200
2.44% ↑
1968年 676,700
9.15% ↑
1967年 620,000
3.33% ↑
1966年 600,000
9.09% ↑
1965年 550,000
3.77% ↑
1964年 530,000
3.92% ↑
1963年 510,000
2% ↑
1962年 500,000
4.17% ↑
1961年 480,000 -

エクアドルの牛乳生産量推移を追うと、1961年から2023年までに約4.5倍の生産量増加が達成されています。これは、国の農業技術の向上、乳牛の改良、そして国内市場や輸出需要の高まりが主な要因と考えられます。しかし、この全体的な成長の中でも、一部の年には特に生産量が落ち込む時期が明確に確認できます。たとえば1983年や1985年、2015年以降の数年間では生産が減少または停滞しており、これらは経済危機や気候変動、さらには社会的な問題と強く関連していると考えられます。

特に1983年は、エルニーニョ現象(異常気象)による影響を大きく受けた可能性が高いとされています。この年は全国的な洪水や農地の被害が報告されており、牛乳生産量が約162万トンから86万トンに激減しています。また2015年以降の低迷期は、農業セクターが世界的な経済不況や原油価格の変動、さらには国内外の市場縮小に直面していた時期と重なっています。このように、牛乳生産は自然環境や経済政策に敏感に反応することがこのデータから浮かび上がります。

2020年から2021年にかけての新型コロナウイルスの世界的大流行は牛乳生産にも影響を与えたと考えられますが、エクアドルの場合、他の産業と比較してその影響は限定的だったと見ることができます。これは、酪農が食料供給と密接に関連し、維持されやすい分野であったためと思われます。しかし、2020年には生産量はやや減少しており、物流の停滞や市場の不安定化が一部影響した可能性があります。

2023年には、生産量が217万7133トンまで増え、過去最も高い水準を記録しました。この伸びは、政府による農業支援政策、技術的な進歩、または国際市場での需要増大が背景にあると予想されます。他国と比較すると、エクアドルの生産量はまだ小規模ですが、国土の面積と経済規模に対しては健全な成長といえるでしょう。ただし、アメリカや欧州諸国(例:フランスやドイツ)と比較すると、エクアドルの台頭にはまだ課題が残されていることが分かります。

エクアドルの牛乳生産が直面する将来の課題としては、気候変動による天候不順や水資源の不足への対応が挙げられます。特にエルニーニョやラニーニャなどの現象は厳しい影響を与える可能性があり、持続可能な農業方法や気候に強い乳牛種の改良が急務となっています。また、国内市場における消費拡大や輸出市場の改善も重要です。品質向上のためのインフラ投資や教育プログラム、輸出拡大のための地域協力体制の強化など、具体的な対策が求められます。

さらなる生産量を目指す一方で、環境への悪影響を最小限に抑えることも重要です。国際的な支援や民間投資を活用し、生産効率向上と環境保護の両立を実現する取り組みが、エクアドルにおける酪農業の将来的な成功の鍵を握っています。特に、国際連携を通じた知識の共有や資本の導入は、エクアドルの酪農業が今後持続可能な成長を遂げるために不可欠と言えるでしょう。