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エクアドルのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新のデータによると、エクアドルのサトウキビ生産量は時系列的に大きな変動を経ており、1961年の約561万トンから2023年には約625万トンに至りました。特に2020年と2021年には生産量が1100万トンを超えた一方で、2023年は再び減少に転じています。このデータはエクアドルの農業生産における不安定性、地域的要因、政策の影響などを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,253,732
-19.21% ↓
2022年 7,740,492
-31.94% ↓
2021年 11,372,505
3.23% ↑
2020年 11,016,167
18.99% ↑
2019年 9,257,700
23.4% ↑
2018年 7,502,251
-16.92% ↓
2017年 9,030,074
4.25% ↑
2016年 8,661,609
-14.29% ↓
2015年 10,106,105
22.48% ↑
2014年 8,251,306
15.27% ↑
2013年 7,158,265
-2.99% ↓
2012年 7,378,922
-9.26% ↓
2011年 8,131,819
-2.58% ↓
2010年 8,347,182
-1.49% ↓
2009年 8,473,141
-9.29% ↓
2008年 9,341,095
11.74% ↑
2007年 8,360,001
19.5% ↑
2006年 6,995,613
2.36% ↑
2005年 6,834,076
11.69% ↑
2004年 6,118,706
4.87% ↑
2003年 5,834,828
10.66% ↑
2002年 5,272,647
-6.74% ↓
2001年 5,653,940
4.66% ↑
2000年 5,402,376
-2.88% ↓
1999年 5,562,309
-20.54% ↓
1998年 7,000,000
69.38% ↑
1997年 4,132,810
1.56% ↑
1996年 4,069,384
2.76% ↑
1995年 3,960,044
8.95% ↑
1994年 3,634,709
-10.76% ↓
1993年 4,072,775
13.42% ↑
1992年 3,591,012
-47.96% ↓
1991年 6,900,000
20.61% ↑
1990年 5,720,897
1.01% ↑
1989年 5,663,521
10.46% ↑
1988年 5,127,071
-8.65% ↓
1987年 5,612,372
3.98% ↑
1986年 5,397,701
8.07% ↑
1985年 4,994,801
-12.34% ↓
1984年 5,698,231
1.39% ↑
1983年 5,620,045
3.67% ↑
1982年 5,420,875
-13.66% ↓
1981年 6,278,379
-5.09% ↓
1980年 6,615,197
0.24% ↑
1979年 6,599,436
-4.74% ↓
1978年 6,927,704
-7.85% ↓
1977年 7,518,029
30.49% ↑
1976年 5,761,315
-25.4% ↓
1975年 7,723,420
16.19% ↑
1974年 6,647,140
21.36% ↑
1973年 5,476,998
-1.78% ↓
1972年 5,576,300
-7.06% ↓
1971年 6,000,000
-7.69% ↓
1970年 6,500,000
-7.14% ↓
1969年 7,000,000
-26.54% ↓
1968年 9,528,500
26.57% ↑
1967年 7,528,250
-16.39% ↓
1966年 9,004,200
11.35% ↑
1965年 8,086,730
3.99% ↑
1964年 7,776,300
21.76% ↑
1963年 6,386,460
16.67% ↑
1962年 5,474,000
-2.5% ↓
1961年 5,614,095 -

エクアドルにおけるサトウキビ生産量は、20世紀初頭から国内農業経済を支える重要な存在として位置づけられてきました。今回のデータを振り返ると、1960年代には約500万~900万トン台で変動していたのに対し、1970年代から1980年代には500万トンを下回る年も見られ、その後の1990年代以降においても生産の波が目立ちます。

総じて見ると、2000年代に始まる安定的な増加傾向が注目されますが、これは農業技術の向上、資本の投入、そして輸出需要の増加によるものと考えられます。しかし、2020年と2021年に記録された1100万トン超えのピークは極めて特異的であり、背後にはパンデミック期間中の国内需要と輸出機会の変動が関連している可能性があります。その後、2022年と2023年には再び減少が見られ、特に2023年はおよそ625万トンと、直近のピーク時から大幅に下落しています。この減少により、エクアドル全体の農業部門が抱える不安や、外的要因への脆弱性が浮き彫りとなりました。

こうした変動が生じる要因として、地政学的要素や気候変動が見過ごせません。エルニーニョ現象やラニーニャ現象といった気候パターンの影響で、サトウキビの生育が左右されることは過去にも多くの研究で指摘されています。また、輸出市場における国際競争、特にブラジルやインドといった主要サトウキビ生産国および加工国の存在も、エクアドルが抱える課題の1つです。これらの国々は規模の経済や効率的な生産技術により、エクアドルより安定した供給能力を持っています。

さらに、新型コロナウイルスの世界的流行期間に見られた生産量の一時的増加とその後の減少は、国内外の需要に依存するサトウキビ産業の特質を改めて示しています。経済的には、主要な砂糖製品やバイオエタノールの価格変動が農業経営の判断に直接影響を与えることが推察されます。一方で、国内政策がサトウキビ農家の緊急支援やインフラ整備にどの程度寄与しているかも注目すべき点です。

これからの課題の1つは、サトウキビの生産サイクルを安定化させる戦略を打ち立てることです。具体的には、持続可能な農業技術の導入、農地の効率的利用、灌漑システムの改善が挙げられます。また、気候変動への適応策として耐旱性(かんばつに強い)品種の開発や、地域共同での災害早期警戒システムの整備が必要となるでしょう。国際市場においては、競争力を高めるために生産者が品質向上を目的とした加工技術に取り組むことも有効です。

結論として、エクアドルのサトウキビ生産の現状は、地元経済と輸出市場のバランスが取れた持続可能なモデル構築が求められる段階にあります。これを実現するには、農業政策のさらなる強化とエクアドル独自の強みを活かした国際協力が不可欠と言えるでしょう。国際連合をはじめとする機関や地域的枠組みが、これらの課題解決に向けた支援を拡充することが期待されます。また、長期間の観点から産業構造の多様化と技術革新によって、この産業が気候や外的要因に左右されない安定した収入源となる未来が実現可能です。