国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、エクアドルのヤギ肉生産量は1961年から1975年にかけて年間700トンを超えて着実な増加を見せ、1974年には大台の1,000トンに達しました。その後1980年代以降も増加傾向が継続しましたが、1996年以降は波が生じ、2000年以降に急激な減少が見られます。特に2010年代に大幅な変動が発生し、2014年には大幅に減少し248トンを記録。その後も低迷傾向が続いており、2023年の生産量は342トンにとどまっています。このデータは、エクアドルのヤギ肉生産が長期的にさまざまな要因で変動してきたことを示しています。
エクアドルのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 342 |
20.77% ↑
|
2022年 | 284 |
-58.88% ↓
|
2021年 | 689 |
310.5% ↑
|
2020年 | 168 |
-50.36% ↓
|
2019年 | 338 |
30.56% ↑
|
2018年 | 259 |
-46.01% ↓
|
2017年 | 480 |
11.63% ↑
|
2016年 | 430 |
34.38% ↑
|
2015年 | 320 |
28.89% ↑
|
2014年 | 248 |
-79.81% ↓
|
2013年 | 1,230 |
8.99% ↑
|
2012年 | 1,128 |
13.37% ↑
|
2011年 | 995 |
-19.91% ↓
|
2010年 | 1,242 |
-4.66% ↓
|
2009年 | 1,303 |
0.31% ↑
|
2008年 | 1,299 |
2.04% ↑
|
2007年 | 1,273 |
2.66% ↑
|
2006年 | 1,240 |
-2.59% ↓
|
2005年 | 1,273 |
2.41% ↑
|
2004年 | 1,243 |
4.19% ↑
|
2003年 | 1,193 |
5.02% ↑
|
2002年 | 1,136 |
10.08% ↑
|
2001年 | 1,032 |
0.88% ↑
|
2000年 | 1,023 |
-24.22% ↓
|
1999年 | 1,350 | - |
1998年 | 1,350 |
-11.76% ↓
|
1997年 | 1,530 | - |
1996年 | 1,530 |
4.62% ↑
|
1995年 | 1,463 |
-20.08% ↓
|
1994年 | 1,830 |
6.09% ↑
|
1993年 | 1,725 |
4.55% ↑
|
1992年 | 1,650 |
7.84% ↑
|
1991年 | 1,530 |
-2.86% ↓
|
1990年 | 1,575 |
5% ↑
|
1989年 | 1,500 |
5.26% ↑
|
1988年 | 1,425 |
5.56% ↑
|
1987年 | 1,350 |
12.5% ↑
|
1986年 | 1,200 |
-17.53% ↓
|
1985年 | 1,455 |
3.19% ↑
|
1984年 | 1,410 |
1.08% ↑
|
1983年 | 1,395 |
1.09% ↑
|
1982年 | 1,380 |
2.22% ↑
|
1981年 | 1,350 |
2.27% ↑
|
1980年 | 1,320 |
2.33% ↑
|
1979年 | 1,290 |
3.61% ↑
|
1978年 | 1,245 |
2.47% ↑
|
1977年 | 1,215 |
5.19% ↑
|
1976年 | 1,155 |
2.67% ↑
|
1975年 | 1,125 |
7.14% ↑
|
1974年 | 1,050 |
7.69% ↑
|
1973年 | 975 |
3.17% ↑
|
1972年 | 945 |
5% ↑
|
1971年 | 900 |
3.45% ↑
|
1970年 | 870 |
3.57% ↑
|
1969年 | 840 |
1.82% ↑
|
1968年 | 825 |
3% ↑
|
1967年 | 801 |
4.09% ↑
|
1966年 | 770 |
3.77% ↑
|
1965年 | 742 |
0.21% ↑
|
1964年 | 740 |
0.2% ↑
|
1963年 | 739 |
3.87% ↑
|
1962年 | 711 |
3.95% ↑
|
1961年 | 684 | - |
エクアドルのヤギ肉生産量は、食肉資源としてのヤギが重要な役割を果たしてきた背景を反映しています。1960年代から1970年代にかけて、農業技術の向上や家畜飼養の発展により、その生産量は堅調に伸びていました。生産量は1961年の684トンから1975年の1,125トンと、ほぼ倍増しています。この時期の成長は、国内での肉需要の増加や農村部での持続可能な家畜育成の進展が貢献したと考えられます。
しかしながら1980年代から2000年代にかけて、生産量には劇的な変動が見られます。例えば、1986年に1,200トンに減少した後、1989年には再び1,500トンに達するというような不安定な傾向が確認されます。この変動の背景には、国内の飼料価格の上昇、労働力の確保の難しさ、また自然災害や感染症の拡大などが影響した可能性があります。
特に1990年代後半から2000年代にかけての急激な減少は注目に値します。2000年には1,023トンに落ち込み、その後ほぼ1,000トン前後で推移したものの、2014年に至ると生産量が248トンまで急落しました。この劇的な減少は、国内外の経済の混乱、気候変動の影響、農業インフラの劣化が関与していると考えられます。さらに、都市化の進行や食肉消費の嗜好の変化も、長期的な生産低迷につながっている可能性があります。
近年特に注目されるのが2020年代の異常値です。2020年には168トンと1961年の生産量を大きく下回り、ヤギ肉生産が最も低調であった年となりました。この減少には新型コロナウイルスの世界的な影響が重くのしかかったと考えられます。主に流通の停滞、資材供給の混乱、労働力不足、そして地域の市場活動が停滞したことがこの下降の要因とみられます。2023年には342トンまで持ち直したものの、依然として生産量の回復は限られた規模にとどまっています。
これらのデータを踏まえ、エクアドルにはいくつかの課題があります。第一に、気候変動や自然災害への対応力を高め、安定的な農業インフラを整備することです。効率的な灌漑システムや耐候性の高い飼料生産体制は、生産性向上に寄与するでしょう。第二に、市場アクセスの強化が必要です。輸送インフラの改善に加え、農家が地域市場や国際市場にアクセス可能になる支援が重要です。第三に、ヤギ肉の消費普及を促進するための国民向けの政策も有望です。国内消費を奨励しつつ、健康面でも環境面でも持続可能性を強調することで、需要を育てることが期待できます。
結論として、エクアドルのヤギ肉生産量の長期的な低迷とその変動は、多様な地政学的要因、経済情勢、気候リスク、そして社会構造の影響を映し出しています。安定的な回復とさらなる成長には、国内外の協力が必要です。国際機関や地域パートナーと連携することで、技術革新や資源投入を促進し、気候リスクへの対応力を高めていくことが解決のカギとなるでしょう。ヤギ肉生産の回復は、エクアドルの農村社会の安定にも寄与する可能性が高く、戦略的かつ包括的な対策が必要です。