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エクアドルのトマト生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した最新のデータによると、エクアドルのトマト生産量は長期的に大きな変動を見せています。2022年には52,229トンとなり、過去数十年の最高値である1988年の118,189トンと比較すると減少しています。一方で、過去最低値となった2013年の13,121トン以降、一定の回復傾向も見られます。しかしながら、2000年代以降の生産量は安定せず、需要や供給、環境、経済の多面的な要素が影響を及ぼしている可能性があります。

年度 生産量(トン)
2022年 52,229
2021年 55,277
2020年 38,438
2019年 31,591
2018年 31,891
2017年 62,675
2016年 55,550
2015年 68,355
2014年 71,831
2013年 13,121
2012年 62,956
2011年 36,221
2010年 53,518
2009年 46,536
2008年 50,551
2007年 70,094
2006年 61,929
2005年 72,160
2004年 84,886
2003年 45,046
2002年 58,645
2001年 28,976
2000年 61,426
1999年 62,189
1998年 64,551
1997年 44,708
1996年 64,767
1995年 64,035
1994年 66,203
1993年 89,867
1992年 100,651
1991年 76,862
1990年 88,077
1989年 84,131
1988年 118,189
1987年 73,273
1986年 67,505
1985年 64,677
1984年 63,980
1983年 35,999
1982年 36,783
1981年 42,309
1980年 38,147
1979年 32,300
1978年 36,742
1977年 33,872
1976年 42,552
1975年 37,243
1974年 33,327
1973年 24,486
1972年 26,556
1971年 24,435
1970年 24,186
1969年 25,194
1968年 38,585
1967年 57,420
1966年 98,504
1965年 53,596
1964年 79,592
1963年 68,744
1962年 64,413
1961年 20,700

エクアドルのトマト生産は、1961年の20,700トンにはじまり、その後数年間で劇的な増加が見られました。1966年には98,504トンに達し、初期のピークとなっています。しかしながら、それ以降の生産量は1970年代に入ると周期的な減少傾向を示し、1980年代に入るまでの間、再び回復や減少を繰り返しました。

1980年代後半は生産量が増加傾向を見せ、特に1988年の118,189トンは過去最高値となっています。しかし、1990年代に入ると再び減少傾向に転じ、特に1997年には44,708トンと生産量が大きく落ち込みました。その後、一時的に持ち直したものの、2000年代以降は全体的に減少または不安定な動きを続けています。この間、2001年には28,976トン、2013年には13,121トンと過去最低値を記録しました。

このようなトマト生産量の変動には、複数の要因が関わっていると考えられます。1つは、エクアドル特有の気候変動リスクです。エルニーニョ現象や厳しい気象条件が農作物全体に甚大な影響を与え、トマトの収量低下につながっている可能性があります。また、土地の利用変容や農地不足、労働力不足といった農業基盤全体の課題も無視できません。さらに、経済的要因として、市場価格の不安定性や輸出政策の変化も、生産量に影響を与えていると推察されます。

エクアドルのトマト生産の現状を他国と比較すると、近隣諸国であるペルーやコロンビアと比べても不安定性が大きいのが特徴です。たとえば、同地域で重要な農産物輸出国であるペルーは、生産量の推移や輸出市場の占有率が比較的安定しており、現地の気候に適した作物の選択や農業技術の導入、国の支援政策がその安定性に寄与しています。エクアドルにおいても、地域の特色を踏まえた政策改善が期待されるところです。

複数の課題を克服するには、まず気候変動に適応したトマト品種の開発とその普及が重要です。耐寒性や乾燥耐性の高い品種の導入が、生産量の変動を減少させることにつながるでしょう。また、持続可能な農業技術の普及を図り、特に灌漑(かんがい)施設の導入や改良、土壌改良技術の活用を進めることが必要です。さらに、輸出市場を視野に入れた品質管理や認証の強化も重要です。国際市場向けのブランド構築や協同組合の設立を支援し、トマト生産者が市場競争での地位を強化できる仕組みが求められます。

地政学的にも、エクアドルは天然資源が豊富な一方、経済の多様化が進んでいない点が課題です。国際的な環境保護議論の中で農地拡大にも限界があるため、農業効率を改善することが急務と言えます。また、新型コロナウイルス感染症やその他の疫病が労働力に影響を及ぼしたことも、生産量の低下の一因である可能性があります。

結論として、エクアドルのトマト生産量の変遷は、単に農業の結果だけでなく、自然環境や経済、政策、地域社会の複合的な要因が絡み合った結果と見ることができます。今後、地域協力の枠組みや国際的な支援を活用しながら、効率的で持続可能な農業経営を目指すことが、生産量の安定化と国全体の農業セクターの成長につながるでしょう。具体的には、気候変動への適応と、トマト産業の生産チェーン全体の改革が急務であると言えます。