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エクアドルのアボカド生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、エクアドルのアボカド生産量は1961年の16,000トンから2023年の26,524トンまで、全体的に増減を繰り返しながら推移しています。1976年の43,495トンや1997年の43,998トンといった生産量の大幅な増加の年もありましたが、一方では1989年の13,432トンや2003年の11,850トンのような低迷期も見られ、長期的には一定の変動が続いています。直近の2021年には42,492トンという高水準に達しましたが、その後2023年時点では再び26,524トンに減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 26,524
0.32% ↑
2022年 26,440
-37.78% ↓
2021年 42,492
108.78% ↑
2020年 20,352
-22.93% ↓
2019年 26,408
44.84% ↑
2018年 18,232
-13.16% ↓
2017年 20,995
30.25% ↑
2016年 16,118
-28.67% ↓
2015年 22,597
-4.2% ↓
2014年 23,587
-12.64% ↓
2013年 27,000
-5.59% ↓
2012年 28,600
5.93% ↑
2011年 27,000
-6.9% ↓
2010年 29,000
3.57% ↑
2009年 28,000
1.13% ↑
2008年 27,687
-2.85% ↓
2007年 28,500
1.79% ↑
2006年 28,000
1.52% ↑
2005年 27,580
25.78% ↑
2004年 21,928
85.05% ↑
2003年 11,850
-22.56% ↓
2002年 15,303
-6.09% ↓
2001年 16,296
1.19% ↑
2000年 16,104
-24.05% ↓
1999年 21,203
-10.07% ↓
1998年 23,577
-46.41% ↓
1997年 43,998
38.82% ↑
1996年 31,694
152.18% ↑
1995年 12,568
-47.77% ↓
1994年 24,063
36.2% ↑
1993年 17,668
9.86% ↑
1992年 16,083
-11.06% ↓
1991年 18,083
-3.07% ↓
1990年 18,655
38.88% ↑
1989年 13,432
-17.98% ↓
1988年 16,376
-18.23% ↓
1987年 20,026
-1.3% ↓
1986年 20,290
-28.51% ↓
1985年 28,382
-12.88% ↓
1984年 32,577
10.2% ↑
1983年 29,561
-4.88% ↓
1982年 31,076
1.5% ↑
1981年 30,617
5.38% ↑
1980年 29,055
0.21% ↑
1979年 28,994
-7.5% ↓
1978年 31,346
-22.54% ↓
1977年 40,466
-6.96% ↓
1976年 43,495
36.19% ↑
1975年 31,936
8.88% ↑
1974年 29,332
20.62% ↑
1973年 24,317
-10.6% ↓
1972年 27,200
25.52% ↑
1971年 21,670
-7.23% ↓
1970年 23,358
-1.73% ↓
1969年 23,768
-22.8% ↓
1968年 30,788
12.39% ↑
1967年 27,395
19.12% ↑
1966年 22,998
-4.11% ↓
1965年 23,984
-16.67% ↓
1964年 28,782
-1.34% ↓
1963年 29,174
12.55% ↑
1962年 25,920
62% ↑
1961年 16,000 -

エクアドルのアボカド生産量の歴史は、世界的な需要の拡大や地域の気候条件の変化、農業政策の影響を受けながら大きな変動を繰り返しています。1961年から1970年代後半にかけては、主に国内需要と気候条件の好調さによって徐々に生産量が増加し、1976年には43,495トンに達しました。しかし、その後の1980年代には減少傾向が見られ、特に1989年には13,432トンまで落ち込むなど、寒波や農業インフラの未整備が影響した可能性が示唆されます。この時期は、政府の農業部門への投資が限定的であり、アボカド栽培に適した管理技術の普及も不十分だったと考えられます。

1990年代後半には再び増加に転じ、1997年には生産量が43,998トンとなり、過去最高を記録しました。この成長には、輸出市場の拡大やアボカドの国際的な認知度の向上が寄与したとされています。しかし、同時にインフラの整備や農作物全般における競争の激化も見られるため、1998年以降は安定的な生産量の確保が難しくなり、生産は再び減少に転じました。

特に2000年代以降には、一部の年で生産量が15,000トンを下回るなど、地政学的な不安定性や自然災害が影響を与えています。例えば、自然災害により作物が被害を受けた年には生産量が大きく落ち込んだことが報告されています。さらに、世界的なアボカド需要の増加に伴い、他の国々との競争が激しくなり、市場での価格圧力も一因と考えられます。

2021年には42,492トンと近年で最も高い数値を記録しました。この生産量の急増は、エクアドル政府が輸出を重視した農業政策を打ち出したことや、新しい栽培技術の導入が功を奏した結果と言えます。このような飛躍にもかかわらず、2023年には26,524トンにまで再び減少しました。この減少の背景には、一部の地域での気候変動や輸送インフラの課題、農地の集約化の遅れがあると考えられます。

エクアドルのアボカド産業の発展における課題として、まず気候変動の影響があります。エルニーニョ現象や異常気象の影響で、予想外の生育不良や収穫量の変動が発生しています。また、農業技術やインフラ、特に輸出向けの物流体制の改善が急務です。具体的には、水資源管理の改良、アボカドに特化した土壌改良技術の導入が必要です。加えて、生産者のマーケティングスキルの向上や、国際市場におけるブランド構築も不可欠でしょう。

今後の対策として、まずは気候変動に対応可能な耐性品種の開発と普及が重要です。さらに、農業従事者への教育プログラムや技術支援を通じて、生産効率の向上を図るべきです。また、輸出主導型の経済戦略を強化することで、競争の激しい国際市場においてエクアドル産アボカドのプレゼンスを高めることが可能となります。他国との協力では、同じ中南米に位置するメキシコやペルーとの技術共有や市場連携が生産の安定化に寄与するでしょう。

エクアドルのアボカド産業が直面する現状を踏まえると、国内外の市場環境に適応しつつ、持続可能な成長を目指す必要があります。そのためには、政府、農業者、研究機関が協力して基盤を強化し、安定した収益と国際競争力を確保することが喫緊の課題となっています。