国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、エクアドルのカカオ豆生産量は1961年から2022年にかけて長期的に増加傾向を示しており、特に近年の生産量の伸びが顕著です。2022年には337,149トンを記録し、1961年の44,100トンと比べて約7.6倍に増加しました。一方で、生産量の変動が大きい時期もあり、天候や経済的条件などが影響したと考えられます。
エクアドルのカカオ豆生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 337,149 |
2021年 | 302,094 |
2020年 | 327,903 |
2019年 | 283,680 |
2018年 | 235,182 |
2017年 | 205,955 |
2016年 | 177,551 |
2015年 | 180,192 |
2014年 | 156,216 |
2013年 | 128,446 |
2012年 | 133,323 |
2011年 | 163,152 |
2010年 | 132,099 |
2009年 | 120,581 |
2008年 | 94,300 |
2007年 | 85,891 |
2006年 | 87,561 |
2005年 | 93,658 |
2004年 | 89,680 |
2003年 | 88,263 |
2002年 | 60,268 |
2001年 | 76,030 |
2000年 | 64,991 |
1999年 | 94,687 |
1998年 | 35,006 |
1997年 | 90,870 |
1996年 | 89,928 |
1995年 | 85,505 |
1994年 | 81,163 |
1993年 | 82,729 |
1992年 | 93,999 |
1991年 | 90,403 |
1990年 | 96,722 |
1989年 | 82,880 |
1988年 | 85,110 |
1987年 | 57,529 |
1986年 | 89,913 |
1985年 | 130,772 |
1984年 | 77,000 |
1983年 | 45,000 |
1982年 | 96,941 |
1981年 | 80,460 |
1980年 | 91,215 |
1979年 | 77,407 |
1978年 | 72,085 |
1977年 | 72,120 |
1976年 | 65,192 |
1975年 | 75,272 |
1974年 | 91,039 |
1973年 | 63,374 |
1972年 | 67,784 |
1971年 | 70,806 |
1970年 | 53,584 |
1969年 | 47,993 |
1968年 | 81,724 |
1967年 | 61,236 |
1966年 | 50,764 |
1965年 | 49,900 |
1964年 | 37,800 |
1963年 | 44,300 |
1962年 | 44,300 |
1961年 | 44,100 |
エクアドルは古くからカカオ豆の主要生産国であり、特に高品質な「アリバナショナル種」のカカオで知られています。この国のカカオ生産量は、南米地域全体だけでなく世界市場においても影響力があります。データの推移を見てみると、生産量は長期的には増加しているものの、時折大きな変動が見られます。1961年から1968年にかけて生産量は緩やかに増加しましたが、1969年には減少が見られ、その後1985年には130,772トンまで著しく増加しました。このような大きな変動は、スケールの大きい気候変動や経済的な投資の影響が考えられます。特に1983年や1998年のような大幅な減少の年はエルニーニョ現象による悪天候が影響した可能性が高く、その農業セクターへの脆弱性を映し出しています。
一方、2010年以降は大幅な生産量の伸びが見られます。2020年には初めて300,000トンを超え、2022年には337,149トンとなりました。これは、エクアドル政府や国際機関による農業関連技術の導入や、生産チェーンにおける国際的な協力の成果であると考えられます。また、グローバルなカカオ需要の増加や高品質なエクアドル産カカオのブランド価値が、市場からの高い評価を得た結果でもあります。
しかし、課題がないわけではありません。例えば、2021年のデータでは生産量が302,094トンと前年度より減少しており、これは新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響と物流制約が一因とされています。また、エクアドルには未だにインフラの不十分さや小規模農家の生産効率の低さ、さらに気候変動といった課題が存在します。これらの要因が克服されない限り、長期的な持続可能性には懸念が残ります。
これを受けて、今後の具体的な対策として取り組むべき課題がいくつか挙げられます。まず第一に、気候変動の影響を軽減するため、より耐性のあるカカオ品種の開発や灌漑技術の充実が必要です。さらに、小規模農家への支援を拡充することで、生産の効率化と安定につなげることができます。また、サプライチェーンの改善により国内外の物流を円滑にすることは、収益性の向上にも寄与します。こうした取り組みにはエクアドル政府だけでなく、民間セクターや国際機関とも連携することが重要です。
地政学的背景としても、エクアドルのカカオ豆生産量の増加は他の主要生産国であるコートジボワールやガーナと並び、世界のカカオ供給全体に影響を与えうる存在となっています。そのため、国際競争を生き抜くためにも、品質管理を徹底し「プレミアムブランド」としての地位をさらに確立することが求められます。
結論として、エクアドルのカカオ豆生産は長期的に見て大きく進展しており、その成長を持続するためには、一貫した政策支援、技術革新、国際協力の3本柱が必要です。カカオはエクアドルの農業及び経済の中核をなす作物ですから、その潜在的な価値を最大限に引き出すための努力が続けられるべきです。