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エクアドルの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、エクアドルの桃・ネクタリンの生産量は、1961年の7,677トンから2023年の4,557トンまで推移してきました。過去60年間で、生産量は大きな浮き沈みを経験しており、特に1997年の23,148トンをピークに、現在に至るまで減少傾向を示しています。直近の2020年以降は安定的で、4,553トンから4,563トンの範囲に収まっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,557
0.01% ↑
2022年 4,557
0.09% ↑
2021年 4,553
-0.21% ↓
2020年 4,563
0.16% ↑
2019年 4,555
0.32% ↑
2018年 4,541
-1.11% ↓
2017年 4,591
1.26% ↑
2016年 4,534
-10.46% ↓
2015年 5,064
8.65% ↑
2014年 4,661
20.2% ↑
2013年 3,878
-6.92% ↓
2012年 4,166
-17.1% ↓
2011年 5,025
-23.31% ↓
2010年 6,552
-18.1% ↓
2009年 8,000
9.59% ↑
2008年 7,300
1.39% ↑
2007年 7,200
2.86% ↑
2006年 7,000
0.76% ↑
2005年 6,947
208.34% ↑
2004年 2,253
-43.83% ↓
2003年 4,011
-76.21% ↓
2002年 16,857
22.36% ↑
2001年 13,776
-24.98% ↓
2000年 18,363
28.2% ↑
1999年 14,324
9.75% ↑
1998年 13,052
-43.61% ↓
1997年 23,148
75.1% ↑
1996年 13,220
-5% ↓
1995年 13,916
2.89% ↑
1994年 13,525
113.94% ↑
1993年 6,322
-28.75% ↓
1992年 8,873
39.08% ↑
1991年 6,380
47.58% ↑
1990年 4,323
35.56% ↑
1989年 3,189
-16.61% ↓
1988年 3,824
11.16% ↑
1987年 3,440
2.41% ↑
1986年 3,359
1.14% ↑
1985年 3,321
8.99% ↑
1984年 3,047
-4.78% ↓
1983年 3,200
5.23% ↑
1982年 3,041
-3.55% ↓
1981年 3,153
5.84% ↑
1980年 2,979
6.81% ↑
1979年 2,789
25.52% ↑
1978年 2,222
-11.12% ↓
1977年 2,500
-46.71% ↓
1976年 4,691
50.4% ↑
1975年 3,119
9.9% ↑
1974年 2,838
-8.48% ↓
1973年 3,101
6.86% ↑
1972年 2,902
11.66% ↑
1971年 2,599
3.96% ↑
1970年 2,500
0.44% ↑
1969年 2,489
-28.37% ↓
1968年 3,475
106.23% ↑
1967年 1,685
-42.75% ↓
1966年 2,943
-0.81% ↓
1965年 2,967
-47.62% ↓
1964年 5,664
1.23% ↑
1963年 5,595
-20.07% ↓
1962年 7,000
-8.82% ↓
1961年 7,677 -

エクアドルの桃・ネクタリン生産量推移を見ると、1960年代から1970年代にわたっての減少傾向に始まり、1980年代から1990年代を通じては緩やかな増加傾向を見せています。1997年には23,148トンという極めて高い生産量を記録しましたが、その後は急激な低迷期に入りました。2003年の4,011トンまで大幅に減少し、それ以降は生産量が不安定な状態で推移してきました。そして近年では、生産量は4,500トン前後で安定しています。

このような生産量の変動には、気候条件、農業技術、農作物価格、そして地政学的背景など、さまざまな要因が関与していると考えられます。特にエルニーニョ現象の影響を受けやすいエクアドルでは、極端な気象条件が農業生産に大きな影響を及ぼすと言われています。1997年の生産量のピークも、エルニーニョによる雨量の増加が一因である可能性があります。一方で、2000年代以降の低迷は、気候的要因に加え、農業技術やインフラ整備の遅れ、国際市場での競争の激化などが複合的に影響していると考えられます。

エクアドルの桃・ネクタリン生産量の停滞は、複数の課題を浮き彫りにしています。まず、持続可能な農業技術の導入が十分ではないこと、特に近年の気候変動に対応するための農作物管理方法が普及していないことが挙げられます。また、エクアドル経済は原油輸出に依存する割合が高く、農業に十分な投資が行き届いていないのも問題の一つです。さらに、地域間での貧富の差や農業用地の偏在が、効率的な生産を阻んでいます。他方で、新型コロナウイルス感染症の拡大による農業従事者の減少や物流網の混乱も、近年の安定化傾向に影響を及ぼした可能性があります。

今後の対策として、エクアドル政府と国際機関が連携し、気候変動に強い農業技術や灌漑システムの導入を推進する必要があります。例えば、ドローンを活用した精密農業や、耐気候性の高い作物の開発と普及が考えられます。また、南米の主要な生産国との間で市場共有を図ることで、地域全体の競争力を高める協力も鍵となります。農業補助金制度の改善や農民への技術支援を行うことで、農業の付加価値を高めることが可能です。

近年の安定傾向は一見すると良好な兆候に見えますが、これはむしろ生産量の停滞を示しており、長期的な視野では改善が必要です。エクアドルの桃・ネクタリン産業が持続可能な成長を遂げるためには、政策や国際協力、そして地元農家との連携が欠かせません。国際的な視点を養いながら、エクアドル特有の地理的・気候的条件を活かした戦略を策定することが求められます。