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エクアドルのイチゴ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、エクアドルのイチゴ生産量は1981年から2022年にかけて、波乱のある推移を示してきました。特に1980年代中盤には急激な増加が確認されましたが、その後の生産量は大きく減少し、その後は安定的ながらゆるやかな推移が続いています。2022年のイチゴ生産量は1,448トンで、2020年代には1,400トン前後のレベルに落ち着いている傾向が見られます。

年度 生産量(トン)
2022年 1,448
2021年 1,438
2020年 1,444
2019年 1,462
2018年 1,410
2017年 1,459
2016年 1,518
2015年 1,252
2014年 1,607
2013年 1,695
2012年 1,711
2011年 1,735
2010年 1,875
2009年 1,900
2008年 1,800
2007年 1,750
2006年 1,650
2005年 1,637
2004年 1,303
2003年 1,820
2002年 1,704
2001年 571
2000年 502
1999年 340
1998年 64
1997年 48
1996年 590
1995年 575
1994年 852
1993年 2,243
1992年 2,190
1991年 1,820
1990年 2,526
1989年 3,994
1988年 4,146
1987年 7,632
1986年 7,425
1985年 9,140
1984年 2,712
1983年 1,461
1982年 944
1981年 608

エクアドルのイチゴ生産量データを分析すると、特徴的な3つの時期を確認できます。1981年から1985年にかけては急激な成長期があり、生産量はわずか4年で608トンから9,140トンまで増加しました。この期間の背景には、エクアドルの農業技術向上や輸出産業の発展とともに、国内外からの需要増加や市場拡大があったと推測されます。しかし、1986年には7,425トンへ減少し、1988年以降は減少傾向が顕著となって1997年には48トンという最低値を記録しました。この時期の背景には、不安定な市場状況や農地転用、自然災害、国際市場の競争激化など、複数の要素が影響している可能性があります。また、新型の農業技術や輸出政策が遅れたことも問題として挙げることができます。

2000年以降、エクアドルのイチゴ生産量は1,000~2,000トンの範囲で安定し続けていますが、2010年代後半から2020年代初頭には若干の減少傾向が見られます。例えば、2015年には1,252トンと前年に比べて減少し、その後も緩やかな増減を繰り返しながら1,400トン台にとどまっています。エクアドル国内の経済状況の変化、農業政策の効果、および気候変動の影響が、その要因として考えられます。一方で、この安定的な生産現象は、国際市場全体におけるエクアドルの存在感にやや限界があることも示唆しています。例えば、エクアドルの隣国ペルーやチリなどのイチゴ輸出国は、より大きな成長を遂げているため、これら国との競争力強化が課題であるといえます。

将来的に、エクアドルのイチゴ生産をさらに発展させるためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、技術革新とインフラ整備への投資を強化することが重要です。これには、持続可能な農業技術の導入、灌漑設備の改善、および輸送インフラの近代化が含まれます。次に、国際市場に向けた輸出促進政策を実行すべきです。これは、適切なマーケティングやブランディングを行い、エクアドル産イチゴの品質を世界に周知させることを目的にしています。

また、地政学的なリスクや自然災害の影響も無視することはできません。エルニーニョ現象などの気候変動が、この地域の農業に大きな影響を与えることが懸念されます。そのため、気候変動対策の一環として、耐暑性のある品種の開発や栽培環境の整備が効果的です。また、国内外での需給バランスの変化や競争激化に対応するため、日本やアメリカ、ヨーロッパなどの大市場への戦略的進出も検討されるべきです。

最終的に、このデータが示すエクアドルのイチゴ生産の停滞気味な傾向は、国の農業政策の転換や技術的支援の強化、地域間協力の強化などで改善可能な部分も多いと言えます。国際連合機関や地域の協力により、エクアドルの生産者がより安定した収益を得られる仕組みを構築し、国内農業の活性化を進めていくことが課題となるでしょう。