国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表したデータによれば、エクアドルのパパイヤ生産量は1961年に66,000トンから始まり、その後の60年以上にわたり生産量の増減を繰り返しています。特に1968年から1979年、また1993年から1996年の期間で著しい減少が見られ、一方1999年には111,870トンという最高値を記録しました。2023年の生産量は47,893トンと、近年では比較的安定的に推移しています。
エクアドルのパパイヤ生産量推移(1961年~2023年)
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 47,893 |
-2% ↓
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| 2022年 | 48,872 |
0.37% ↑
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| 2021年 | 48,690 |
-3.53% ↓
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| 2020年 | 50,473 |
6.37% ↑
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| 2019年 | 47,452 |
-1.44% ↓
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| 2018年 | 48,145 |
-0.67% ↓
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| 2017年 | 48,472 |
5.97% ↑
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| 2016年 | 45,741 |
-8.92% ↓
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| 2015年 | 50,221 |
11.6% ↑
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| 2014年 | 45,000 |
7.14% ↑
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| 2013年 | 42,000 |
5% ↑
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| 2012年 | 40,000 |
2.56% ↑
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| 2011年 | 39,000 |
-6.02% ↓
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| 2010年 | 41,500 |
3.75% ↑
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| 2009年 | 40,000 |
3.25% ↑
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| 2008年 | 38,740 |
-10.12% ↓
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| 2007年 | 43,100 |
0.23% ↑
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| 2006年 | 43,000 |
0.48% ↑
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| 2005年 | 42,796 |
17.23% ↑
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| 2004年 | 36,505 |
-42.26% ↓
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| 2003年 | 63,220 |
-20.77% ↓
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| 2002年 | 79,793 |
-12.39% ↓
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| 2001年 | 91,078 |
461.83% ↑
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| 2000年 | 16,211 |
-85.51% ↓
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| 1999年 | 111,870 |
64.24% ↑
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| 1998年 | 68,114 |
-1.51% ↓
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| 1997年 | 69,159 |
422.39% ↑
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| 1996年 | 13,239 |
-6.5% ↓
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| 1995年 | 14,159 |
11.85% ↑
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| 1994年 | 12,659 |
15.42% ↑
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| 1993年 | 10,968 |
-32.34% ↓
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| 1992年 | 16,211 |
-0.34% ↓
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| 1991年 | 16,267 |
-31.64% ↓
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| 1990年 | 23,797 |
-26.14% ↓
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| 1989年 | 32,219 |
5.8% ↑
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| 1988年 | 30,454 |
-0.33% ↓
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| 1987年 | 30,555 |
-11.3% ↓
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| 1986年 | 34,448 |
11.8% ↑
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| 1985年 | 30,811 |
24.7% ↑
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| 1984年 | 24,708 |
9.52% ↑
|
| 1983年 | 22,560 |
-7.91% ↓
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| 1982年 | 24,498 |
0.44% ↑
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| 1981年 | 24,390 |
20.36% ↑
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| 1980年 | 20,265 |
17.34% ↑
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| 1979年 | 17,271 |
-16.66% ↓
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| 1978年 | 20,724 |
-3.73% ↓
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| 1977年 | 21,527 |
2.41% ↑
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| 1976年 | 21,021 |
-29.93% ↓
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| 1975年 | 30,000 |
-14.29% ↓
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| 1974年 | 35,000 | - |
| 1973年 | 35,000 |
-12.5% ↓
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| 1972年 | 40,000 |
-11.11% ↓
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| 1971年 | 45,000 |
-10% ↓
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| 1970年 | 50,000 |
-9.09% ↓
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| 1969年 | 55,000 |
5.94% ↑
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| 1968年 | 51,916 |
-29.42% ↓
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| 1967年 | 73,558 |
2.16% ↑
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| 1966年 | 72,000 |
1.38% ↑
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| 1965年 | 71,020 |
1.46% ↑
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| 1964年 | 70,000 |
2.94% ↑
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| 1963年 | 68,000 |
1.49% ↑
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| 1962年 | 67,000 |
1.52% ↑
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| 1961年 | 66,000 | - |
エクアドルは温暖な気候と肥沃な土壌を持つことから、パパイヤ生産に適した環境を有しています。しかし、この60年以上のデータから、生産量が大きく変動していることが明らかです。最初の10年間での増加傾向から一転し、1968年以降急激に減少した背景には、自然災害、特に洪水や干ばつの影響があると推測されます。この期間はまた、独立農家の資源不足や輸送インフラの未整備といった物流課題が重なり、生産性に悪影響を与えた可能性があります。
さらに1993年から1996年の生産量激減は、地政学的な要因や市場の競争激化による農業セクターの疲弊、さらには気候変動の影響が絡んでいると考えられます。一方で、1999年に記録された生産量の急増には、国際的需要の高まりと国内での農業施策の強化、ならびに輸出関連の取り組みが関係していると考えられます。その後の生産量は2000年代初頭こそ上下動を繰り返すものの、2010年代以降はおおむね40,000トンから50,000トンの範囲で一定の安定を見せました。この背景には、一定のインフラ整備、汎用化された栽培技術、さらには市場での競争環境の均衡化が挙げられます。
2020年以降は、新型コロナウイルスの世界的流行が生産と流通に影響を与えたものの、50,473トンでピークを迎えた2020年を含む数年間を見ると、生産量は大きな変動を伴わず推移しています。この安定傾向は、緊急時にも強靭性を発揮できる農業基盤を持つエクアドル農業の強みを示していると言えます。しかし、2023年には若干の減少が見られ、気候変動や国際市場の需要変化へのさらなる対応が求められる情勢です。
課題としては、頻繁に生じる自然災害およびそれによる生産性の低下、そして輸出市場への依存が挙げられます。一方でエクアドル国内のパパイヤ消費を活性化することは、輸出依存度を軽減しつつ生産量の安定的な維持に繋げる可能性があります。また、気候に適応した耐性のあるパパイヤ品種の開発は、将来的に悪天候時のリスクを軽減する効果が期待されます。
さらに、近隣諸国との協調による地域的な農業ネットワークの構築も重要です。例えば、ペルーやコロンビアといった隣国と連携することで、専門知識の共有や輸出の最適化が可能になります。地政学的に見ると、これらの協力関係は国際的なサプライチェーンを強化し、エクアドル産パパイヤの競争力を向上させることにもつながります。
今後、エクアドル政府が進めるべき具体的な対策として、新技術の導入による栽培効率化、気候変動への対応策の強化、国内消費の促進、そして輸出多角化を挙げることができます。これにより、パパイヤ生産量のさらなる安定と、長期的な持続可能性を実現することが可能になるでしょう。