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エクアドルのプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、エクアドルのプランテン(調理用バナナ)の生産量は、長い年月にわたり大きな変動を繰り返してきました。2023年の生産量は840,599トンで、2022年の857,562トンから若干減少しましたが、全体的に過去数十年の平均を上回る水準を維持しています。このデータは、農業生産の安定性や地域社会の経済的発展を探る重要な指標となっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 840,599
-1.98% ↓
2022年 857,562
12.33% ↑
2021年 763,455
5.7% ↑
2020年 722,298
-3.62% ↓
2019年 749,450
14.95% ↑
2018年 651,968
-14.64% ↓
2017年 763,820
25.13% ↑
2016年 610,413
-9.64% ↓
2015年 675,538
-11.26% ↓
2014年 761,226
26% ↑
2013年 604,134
8.01% ↑
2012年 559,319
-5.52% ↓
2011年 591,984
8.17% ↑
2010年 547,291
-0.38% ↓
2009年 549,388
8.54% ↑
2008年 506,168
-14.93% ↓
2007年 595,027
2.47% ↑
2006年 580,664
-17.99% ↓
2005年 708,012
-3.63% ↓
2004年 734,661
-6.72% ↓
2003年 787,568
3.55% ↑
2002年 760,535
-6.47% ↓
2001年 813,126
66.35% ↑
2000年 488,816
-25.66% ↓
1999年 657,550
40.99% ↑
1998年 466,396
-38.26% ↓
1997年 755,450
-4.07% ↓
1996年 787,503
15.65% ↑
1995年 680,917
-26.16% ↓
1994年 922,112
11.91% ↑
1993年 823,980
-15.48% ↓
1992年 974,886
5.9% ↑
1991年 920,536
-13.58% ↓
1990年 1,065,222
1.12% ↑
1989年 1,053,411
9.84% ↑
1988年 959,082
13.04% ↑
1987年 848,415
9.36% ↑
1986年 775,784
-17.95% ↓
1985年 945,500
27.08% ↑
1984年 744,007
8.26% ↑
1983年 687,212
-8.8% ↓
1982年 753,528
-1.03% ↓
1981年 761,389
1.39% ↑
1980年 750,983
11.58% ↑
1979年 673,025
-15.5% ↓
1978年 796,477
3.48% ↑
1977年 769,714
87.71% ↑
1976年 410,062
1.05% ↑
1975年 405,820
-4.94% ↓
1974年 426,900
-4.45% ↓
1973年 446,777
2.53% ↑
1972年 435,745
-1% ↓
1971年 440,144
-1.97% ↓
1970年 448,990
0.79% ↑
1969年 445,463
-7.93% ↓
1968年 483,856
20.35% ↑
1967年 402,043
-38.86% ↓
1966年 657,542
9.88% ↑
1965年 598,442
29.19% ↑
1964年 463,224
26.75% ↑
1963年 365,460
7.35% ↑
1962年 340,434
3.92% ↑
1961年 327,600 -

エクアドルはプランテン(調理用バナナ)の主要生産国のひとつであり、その生産量の変動は国内の農業政策や気候条件、さらには国際市場の需要と供給に密接に関連しています。1961年から2023年にかけてのデータを見ると、初期の年間生産量はおおむね30万から40万トンの間でしたが、1965年以降急速に拡大し、1989年には初めて1,000,000トンを超える規模に達しました。その後も波はあるものの、2010年以降は50万から80万トン台を安定的に推移しています。

このような生産量の変化には、いくつかの要素が影響しています。まず地理的条件です。エクアドルは赤道直下に位置し、温暖な気候と豊富な降雨量が農業に適していますが、こうした地理条件は同時に、干ばつや洪水などの自然災害への脆弱性ももたらします。たとえば1998年や2000年の生産量が著しく減少した時期は、エルニーニョ現象の影響で豪雨が発生し、農地に大きな被害を与えたことが原因であったと考えられます。

さらに、農業技術や国内投資の進展も重要な要因です。一部の技術革新や農地の拡大により、特定の年には急激な生産量の増加が見られますが、これらは一過性のものであることも多いです。たとえば、1989年の急増は、国際市場での需要拡大に伴う輸出振興策の成果でしたが、その翌年以降には調整局面を迎えました。

国際市場との連動性も無視できません。エクアドルのプランテン輸出は中南米諸国をはじめ、アメリカやヨーロッパの一部へも広がっています。しかしながら、競争力強化のためには輸送や貯蔵、品質管理などの基盤整備が求められます。特に近年、気候変動への対応や労働環境の改善が世界的関心を集める中で、エクアドルも持続可能な農業モデルへの移行が課題となっています。

こうした中、新型コロナウイルス感染症の流行が与えた影響も見逃すことはできません。2020年には生産量が722,298トンと前年から減少しましたが、これは輸出手続きの遅延や労働力不足に起因するものと考えられます。一方で、その後の回復は農業分野における国の回復力を示す一例とも言えるでしょう。

今後の課題として、気候変動の影響を緩和しながら、安定的に高品質のプランテンを生産するための取り組みが挙げられます。例えば、災害に強い新品種の開発や栽培技術の改良は、生産量の安定化に大きく寄与する可能性があります。また、輸出市場の多様化や国内消費の拡大も重要です。これには、海外市場向けのプロモーション強化だけでなく、国内での付加価値製品の推進やバリューチェーンの整備などの取り組みが含まれます。

結論として、エクアドルのプランテン生産量は、気候条件や市場変動といったさまざまな要因の影響を受けつつも、長期的には成長が期待できる産業といえます。その将来性を最大限に引き出すためには、持続可能な農業の実現と、グローバル市場との競争力強化を目指した政策の策定が急がれるでしょう。国際機関や農業研究機関との連携を深めることで、エクアドルのプランテン産業はさらに重要な経済基盤となると考えられます。