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トリニダード・トバゴのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、トリニダード・トバゴのサトイモ生産量は1961年から2022年にかけて大きな変動を見せています。1960年代は安定した上昇傾向にあり、ピークは1982年の8,300トンでした。しかし、それ以降は急激な減少が見られ、1995年からほぼ継続的に低水準で推移しています。2022年には932トンと、過去最低水準に達しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,547
387.88% ↑
2022年 932
-53.07% ↓
2021年 1,986
-8.69% ↓
2020年 2,175
-48.47% ↓
2019年 4,221
64.95% ↑
2018年 2,559
-21.04% ↓
2017年 3,241
33.7% ↑
2016年 2,424
23.99% ↑
2015年 1,955
-52.22% ↓
2014年 4,092
17.82% ↑
2013年 3,473
23.86% ↑
2012年 2,804
2.3% ↑
2011年 2,741
-27.19% ↓
2010年 3,765
-16.34% ↓
2009年 4,500
5.25% ↑
2008年 4,276
-12.74% ↓
2007年 4,900
11.23% ↑
2006年 4,405
-9.17% ↓
2005年 4,850
0.75% ↑
2004年 4,814
2.1% ↑
2003年 4,715
-31.25% ↓
2002年 6,858
200% ↑
2001年 2,286
147.67% ↑
2000年 923
-73.31% ↓
1999年 3,458
79.26% ↑
1998年 1,929
-19.79% ↓
1997年 2,405
62.72% ↑
1996年 1,478
65.32% ↑
1995年 894
-50.5% ↓
1994年 1,806
-6.13% ↓
1993年 1,924
5.14% ↑
1992年 1,830
4.57% ↑
1991年 1,750
9.38% ↑
1990年 1,600
6.67% ↑
1989年 1,500
-76.92% ↓
1988年 6,500
12.07% ↑
1987年 5,800
5.45% ↑
1986年 5,500
-8.33% ↓
1985年 6,000
-14.29% ↓
1984年 7,000
-6.67% ↓
1983年 7,500
-9.64% ↓
1982年 8,300
1.22% ↑
1981年 8,200
1.23% ↑
1980年 8,100
1.25% ↑
1979年 8,000
1.27% ↑
1978年 7,900
1.28% ↑
1977年 7,800
-2.5% ↓
1976年 8,000
0.63% ↑
1975年 7,950
0.63% ↑
1974年 7,900
2.07% ↑
1973年 7,740
9.01% ↑
1972年 7,100
1.43% ↑
1971年 7,000
1.29% ↑
1970年 6,911
-4.16% ↓
1969年 7,211
1.14% ↑
1968年 7,130
16.5% ↑
1967年 6,120
13.67% ↑
1966年 5,384
11.72% ↑
1965年 4,819
18.99% ↑
1964年 4,050
23.06% ↑
1963年 3,291
6.16% ↑
1962年 3,100
3.33% ↑
1961年 3,000 -

トリニダード・トバゴは、伝統的にサトイモの生産が重要な農業分野の一つでした。データの示すところでは、1960年代から1980年代初頭にかけて、サトイモの生産量は順調に増加していました。特に1961年から1979年の区間では、記録上、ほぼ持続的な増加が見られました。これは、当時の農作物市場の成長や農業技術の改善が影響していると考えられます。しかし、1983年以降、急激な生産量の減少が記録されるようになります。この時期、トリニダード・トバゴではエネルギー産業の発展に伴い農業分野への投資が減少し、農業従事者の人口も縮小した可能性があります。

特に注目すべきは1989年の1,500トンという急激な生産量の低下です。この下落の背景には、政治的な不安定さや土地利用政策の変化、気候の影響など複合的な要因が関与していた可能性があります。その後1990年代には、一時的な回復傾向も見られましたが、1995年以降の低迷期に戻る形となりました。現代に至るまで、サトイモの生産は一貫して不安定な推移を続けており、2022年の932トンという数値は歴史的な低水準です。

トリニダード・トバゴの農業分野を取り巻く状況にはさらなる検討を要します。同国は油田地帯としても知られ、エネルギー産業が主要産業となる一方で、農業セクターは近年軽視される傾向にあります。この構造的問題は、農産物の生産性向上を阻害するだけでなく、食料自給率の低下や農村部の経済的不安を引き起こします。特に土地開発の問題や農民の高齢化、若年層の農業離れが、農業セクター全体の縮小要因として挙げられるでしょう。

また、近年の地球温暖化や気候変動の影響も無視できません。トリニダード・トバゴのようなカリブ海地域の国々は、サトイモ栽培に適した気候に恵まれていますが、干ばつや洪水など極端な気象条件が頻発することで、生産量は大きく変動しています。たとえば、2002年の6,858トンという急激な数値の上昇は、前年度の低収量を受けて集中的な施策が講じられた結果と考えられます。しかし、その後持続的な成長には繋がらず、不安定さが続いています。

今後、同国が持続可能な農業体制を構築するためにはいくつかの具体的な取り組みが必要です。例えば、政府による農業政策の強化や補助金の支給により農業生産を支える仕組みを整えることが重要です。また、若者が農業へ興味を持てるような教育プログラムの策定や、革新的な農業技術を導入することにより、土地の効率的利用が求められます。さらに、地域間連携を強化し、サトイモの持続可能な栽培技術を共有する枠組みを整備することも有効です。

結論として、トリニダード・トバゴにおけるサトイモ生産の長期的低迷は、農業セクターの資源配分の問題、気候変動の影響による作物不安定性、および社会的課題が複合的に影響している結果だと言えます。同国の経済安定と食料安全保障を確立するためには、これらの課題を包括的に解決する努力が欠かせません。国際機関としてのFAOや地域組織が支援しながら、トリニダード・トバゴが農業分野で持続可能な発展を遂げる道を模索していくことが望まれます。