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トリニダード・トバゴの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

トリニダード・トバゴにおける羊肉生産量は、1960年代から2023年にかけて変動を続けています。特に1970年代から1980年代後半までは比較的高い生産量を維持していましたが、1990年代に大幅な減少が見られました。その後、2000年代に入ると回復する年もありましたが、全体的に一貫性に欠ける推移を示しています。2020年代のデータでは、生産量は増加傾向を見せるものの2010年代の水準には届いていません。この変動は、地政学的な背景や経済状況、気候の影響などが複雑に絡み合っている可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 108
52.11% ↑
2022年 71
-19.32% ↓
2021年 88
-29.03% ↓
2020年 124
202.44% ↑
2019年 41
-14.58% ↓
2018年 48
-27.62% ↓
2017年 66
10.53% ↑
2016年 60
-22.08% ↓
2015年 77
4.05% ↑
2014年 74
-62.24% ↓
2013年 196
115.38% ↑
2012年 91
-48% ↓
2011年 175
-43.37% ↓
2010年 309
1.98% ↑
2009年 303
265.06% ↑
2008年 83
-61.93% ↓
2007年 218
65.93% ↑
2006年 131
386.59% ↑
2005年 27 -
2004年 27
3.85% ↑
2003年 26
-3.7% ↓
2002年 27
28.57% ↑
2001年 21
16.67% ↑
2000年 18
1.12% ↑
1999年 18 -
1998年 18
-4.3% ↓
1997年 19
4.49% ↑
1996年 18 -
1995年 18 -
1994年 18 -
1993年 18
-55.5% ↓
1992年 40
-28.57% ↓
1991年 56
86.67% ↑
1990年 30
-50% ↓
1989年 60
-50% ↓
1988年 120
9.09% ↑
1987年 110
-21.43% ↓
1986年 140 -
1985年 140 -
1984年 140
-9.09% ↓
1983年 154
9.59% ↑
1982年 141
-14.54% ↓
1981年 164
5.61% ↑
1980年 156
-2.7% ↓
1979年 160
-2.44% ↓
1978年 164 -
1977年 164
10.81% ↑
1976年 148
19.35% ↑
1975年 124
3.33% ↑
1974年 120
3.45% ↑
1973年 116
9.43% ↑
1972年 106
6% ↑
1971年 100
19.05% ↑
1970年 84
-35.38% ↓
1969年 130
25% ↑
1968年 104
8.33% ↑
1967年 96
-12.73% ↓
1966年 110
-12.7% ↓
1965年 126
21.15% ↑
1964年 104
8.33% ↑
1963年 96
29.73% ↑
1962年 74
-26% ↓
1961年 100 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が提供するデータによると、トリニダード・トバゴの羊肉生産量は過去60年以上にわたり大きな変動を経験しています。1960年代には、生産量は年間平均100トン程度で推移しており、1970年代にかけて緩やかな増加を見せました。1977年と1978年には164トンに達し、1961年の開始時点と比較して大幅な成長を記録しました。しかしその後、1980年代末から生産量が急激に落ち込み、特に1993年から2000年にかけては20トン前後の低水準に留まりました。この低迷の原因としては、農業政策の変化や家畜の健康問題、さらには国外からの廉価な輸入肉との競争が挙げられます。

その後、2006年と2007年には突然の上昇が見られ、生産量はそれぞれ131トン、218トンとなりましたが、これが長続きすることはありませんでした。さらに2009年と2010年には300トンを超えるピークを迎えますが、2020年代には増減を繰り返しながらも総じて70~120トンの間で推移しています。2023年には108トンとなり、2010年の水準には遠く及ばないものの、2010年代の終わり頃の水準を上回っています。

こうした大きな変動は、トリニダード・トバゴ特有の地政学的背景や、畜産インフラの整備状況、さらには自然災害や疫病の影響が関与している可能性があります。同国はカリブ海に位置する小国であり、農業資源にアクセスしやすい一方で、気候変動による異常気象や地域的な干ばつ、洪水などのリスクが生産量にダイレクトに影響を与えると考えられます。また、国際的な肉類市場の競争も小規模な畜産農家にとっては厳しい問題となっています。特に中国やインドのような生産規模の大きい国々との競争や、アメリカやイギリスといった他の消費国からの輸入量増大も影響している可能性があります。

さらに、農業政策や家畜衛生インフラの不備もまた、羊肉生産量の持続的な発展を妨げる要因となっています。この期間中、生産性向上を目指した政策や計画が十分に実行されなかったことが懸念されています。特に1990年代の生産量の激減は、政策上の転換点や経済的な不安定性による影響を示唆しており、ここから得られる重要な教訓は、農業セクターの安定的な支援と市場環境の整備の必要性です。

将来に向けての課題としては、国内の食肉需要に安定して応えるための基盤強化が求められます。短期的には、家畜の健康管理体制を強化し、飼料や資材の安定供給を確保することが有効です。中長期的には、持続可能な畜産業を目指し、気候変動への適応力を高めるための農業技術の導入が鍵となるでしょう。また、地域間協力を促進することで、国際市場における競争力を高め、適切な貿易政策を展開することも重要です。

結論として、トリニダード・トバゴの羊肉生産量の過去60年の推移は、多くの教訓と可能性を含んでいます。不規則な変動を安定させるためには、国や国際機関のサポートが欠かせません。同時に、地域固有の課題に対応した持続可能な農業の枠組みを構築することも不可欠です。これらの取り組みによって、より安定的かつ効率的な羊肉生産体制が実現されることが期待されます。