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トリニダード・トバゴのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)の2024年最新データによると、トリニダード・トバゴのカリフラワー及びブロッコリーの生産量は1960年代には数十トンレベルで発展途上にありましたが、1970~1980年代にかけて飛躍的に増加し、1979年には600トンというピークを迎えました。しかしその後、1980年代半ばには急激に減少し、以後は年ごとの変動が激しい状態が続いています。2010年代後半から再び生産量が減少傾向となり、2023年には78トンと、データの歴史の中でも特に低い水準に落ち込んでいます。この長期的な推移からは、農業政策、気候変動、経済的要因、土地利用の変化などの影響が読み取れます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 78
-22.33% ↓
2022年 100
-56.03% ↓
2021年 228
45.48% ↑
2020年 157
124.29% ↑
2019年 70
-47.76% ↓
2018年 134
-25.14% ↓
2017年 179
-9.14% ↓
2016年 197
-1.01% ↓
2015年 199
85.98% ↑
2014年 107
-50.23% ↓
2013年 215
58.09% ↑
2012年 136
7.09% ↑
2011年 127
-25.73% ↓
2010年 171
-44.84% ↓
2009年 310
64.02% ↑
2008年 189
1.07% ↑
2007年 187
-26.94% ↓
2006年 256
-32.65% ↓
2005年 380
10.14% ↑
2004年 345
24.55% ↑
2003年 277
36.45% ↑
2002年 203
-64.07% ↓
2001年 565
228.49% ↑
2000年 172
-28.33% ↓
1999年 240
-18.92% ↓
1998年 296
-3.27% ↓
1997年 306
34.21% ↑
1996年 228
-46.35% ↓
1995年 425
61.6% ↑
1994年 263
134.82% ↑
1993年 112
-41.67% ↓
1992年 192
-43.36% ↓
1991年 339
68.66% ↑
1990年 201
12.92% ↑
1989年 178
-4.3% ↓
1988年 186
95.79% ↑
1987年 95
-42.77% ↓
1986年 166
36.07% ↑
1985年 122
-48.95% ↓
1984年 239
-4.4% ↓
1983年 250
-37.5% ↓
1982年 400
-27.27% ↓
1981年 550
-9.84% ↓
1980年 610
1.67% ↑
1979年 600
3.45% ↑
1978年 580
3.57% ↑
1977年 560
1.82% ↑
1976年 550
3.77% ↑
1975年 530
3.92% ↑
1974年 510
0.39% ↑
1973年 508
12.89% ↑
1972年 450
12.5% ↑
1971年 400
14.29% ↑
1970年 350
13.64% ↑
1969年 308
-14.92% ↓
1968年 362
220.35% ↑
1967年 113
-53.5% ↓
1966年 243
291.94% ↑
1965年 62
-8.82% ↓
1964年 68
-6.85% ↓
1963年 73
4.29% ↑
1962年 70
7.69% ↑
1961年 65 -

トリニダード・トバゴはカリブ海に位置する小国で、国土が狭いことから農地面積も限られており、農業生産は慎重な政策と効率的な資源利用によって支えられています。カリフラワーやブロッコリーといった野菜の生産推移を見ると、この国の農業が自然的・経済的変化に大きく依存していることが浮かび上がります。

まず、カリフラワーとブロッコリーの生産量が初めて大きく成長したのは1960年代後半から1970年代中頃にかけての時期で、この間に国全体の農業技術が向上しました。例えば、灌漑システムの導入や作物選択技術の改善が、生産効率を押し上げる要因となったと考えられます。1979年、600トンという生産量のピークを迎えた背景には国内需要の増加や地域市場への輸出可能性が挙げられます。

しかし、1980年代になると生産量は急激に減少しました。この時期は世界的な経済不況や、石油産業の興隆による土地利用の変化が影響を与えた可能性があります。トリニダード・トバゴは石油と天然ガスが主要な経済基盤であり、農業に重点を置く政策が相対的に弱まっていました。同時に、1980年代後半から複数回発生した自然災害や気候変動による影響も農作物の安定供給を脅かした一因と考えられます。

その後、2000年代には一時的に生産量が上昇する年も見られましたが、直近のデータにおいては再び低迷状態にあります。2019年以降、特に新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行による物流の制約や労働力不足がこの傾向に拍車をかけました。2023年の生産量78トンという値は、この野菜生産が特に脆弱な状況にあることを示しています。

これらの課題を克服するためには、いくつかの具体的な対応策が求められます。まず、現地農家への技術支援を強化することが重要です。例えば、耐乾性を持つ新しい作物品種の導入や、スマート農業(IoT技術を活用した効率的な農業管理)の導入を促進することで、自然環境の変化に適応する能力を向上させることができます。また、農業と石油産業の間で競合関係にある土地利用のバランスを取る政策も必要です。さらに、他国と連携した農業技術支援プログラムや輸入に依存しすぎない地域内供給チェーンの構築も生産の安定化に寄与するでしょう。

新型コロナウイルスや気候変動のような突発的なリスクに備えるには、農業関連の労働力を柔軟に活用する仕組みや畑地保全政策の強化が必要です。特に小規模農家の経営を支えるための金融支援や市場アクセスの拡大が求められます。国際的には、トリニダード・トバゴがカリブ地域全体の食料安全保障を向上させるための中心的な役割を果たすことが期待されています。

結論として、トリニダード・トバゴのカリフラワー及びブロッコリー生産量の推移は、自然及び人為的要因が複雑に絡み合った結果と言えます。2030年に向けては、気候変動への適応力強化、農業生産の効率化、新しい国際的な協力枠組みの確立が重要な課題となるでしょう。