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トリニダード・トバゴのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表したデータによると、トリニダード・トバゴのココナッツ生産量は、1960年代におよそ10万トン以上で安定していましたが、その後、大幅な減少が見られています。特に1980年代以降は5万トン未満にまで落ち込み、2000年代以降はさらに下降傾向が続きました。しかし、2023年には23,304トンと、近年では異例の増加が記録されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 23,304
38.25% ↑
2022年 16,856
0.34% ↑
2021年 16,800 -
2020年 16,800
-6.67% ↓
2019年 18,000 -
2018年 18,000 -
2017年 18,000 -
2016年 18,000
7.14% ↑
2015年 16,800
31.25% ↑
2014年 12,800
-5.88% ↓
2013年 13,600
-16.81% ↓
2012年 16,349
0.48% ↑
2011年 16,270
-2.19% ↓
2010年 16,635
6.53% ↑
2009年 15,615
-13.25% ↓
2008年 18,000 -
2007年 18,000 -
2006年 18,000 -
2005年 18,000 -
2004年 18,000
9.09% ↑
2003年 16,500
-31.25% ↓
2002年 24,000
4.35% ↑
2001年 23,000 -
2000年 23,000 -
1999年 23,000
4.55% ↑
1998年 22,000
10% ↑
1997年 20,000 -
1996年 20,000 -
1995年 20,000
-33.33% ↓
1994年 30,000
-25% ↓
1993年 40,000
-6.98% ↓
1992年 43,000
2.38% ↑
1991年 42,000
5% ↑
1990年 40,000
33.33% ↑
1989年 30,000
-16.67% ↓
1988年 36,000
-21.74% ↓
1987年 46,000
4.55% ↑
1986年 44,000
4.76% ↑
1985年 42,000
-19.23% ↓
1984年 52,000
-10.34% ↓
1983年 58,000
7.41% ↑
1982年 54,000
12.5% ↑
1981年 48,000
21.52% ↑
1980年 39,500
-34.17% ↓
1979年 60,000
-7.69% ↓
1978年 65,000
-17.72% ↓
1977年 79,000 -
1976年 79,000
2.6% ↑
1975年 77,000
30.51% ↑
1974年 59,000
-40.4% ↓
1973年 99,000
-5.26% ↓
1972年 104,500
0.97% ↑
1971年 103,500
10.58% ↑
1970年 93,600
-20.95% ↓
1969年 118,400
4.13% ↑
1968年 113,700
8.7% ↑
1967年 104,600
1.26% ↑
1966年 103,300
1.47% ↑
1965年 101,800
-0.29% ↓
1964年 102,100
-11.37% ↓
1963年 115,200
11.84% ↑
1962年 103,000
-8.85% ↓
1961年 113,000 -

トリニダード・トバゴのココナッツ生産は、1960年代初頭に約11万トンを超える規模で推移し、国内外において一つの重要な産業として機能していました。この時期、同国の農業生産は自然資源が豊かであることに支えられていました。しかし、1970年代以降、多くの要因が絡み合い、生産量は大幅に低下していきます。その背景には、農地の転用や労働力不足、病害虫の被害、そして気候変動の影響があると考えられます。

特に注目すべきなのは、1974年以降急激な減少が始まり、1980年代には4万トン前後、1990年代にはさらに低い2~3万トンの水準にまで減少したことです。この時期、ココナッツを含む一次産品の競争力が弱まったトリニダード・トバゴでは、石油産業など他のセクターへの依存度が高まり、農業分野全体への投資が後退しました。この構造変化により、伝統的なココナッツ栽培が停滞したといえます。

2000年代以降、生産量は15,000~18,000トン程度で停滞しており、近隣諸国の多くと比較すると非常に低い推移が続いていました。例えば同じカリブ地域のジャマイカやフィリピンなどは引き続き輸出向けの生産を増加させていますが、トリニダード・トバゴでは国内消費と中小規模の生産にとどまっている状況が見られます。しかし、2023年には約23,000トンという一時的な回復が確認されています。この増加は政策支援や新たな農業手法による改善を反映している可能性がありますが、この上昇が一過性のものであるかどうかは引き続き注意が必要です。

生産量の長期的な低迷には、いくつかの課題が絡んでいます。第一に、農業従事者の高齢化や労働力不足が深刻化しています。若年層が他の産業に流出する一方で、経験豊富な労働者の減少により、生産効率が低下しています。第二に、地球温暖化による異常気象が生産に負の影響を与えています。特に熱帯地域では台風や洪水、干ばつによるココナッツ樹木への被害が顕著です。第三に、病害虫の拡大がトリニダード・トバゴの農業全体に深刻な問題をもたらしています。

こうした課題に対する具体的な対策として、以下の取り組みが提案されます。まず、農業技術の革新と持続可能な農法の導入が必要です。例えば、気候に強いココナッツ品種の育成や、適切な灌漑システムの導入により安定供給が確保可能です。また、国内外の需要増加に応じて農業労働者への支援策を強化し、若者を農業へ引き込む教育プログラムを設けるべきです。さらに、地域間での協力体制を構築し、カリブ共同体(CARICOM)内での知識共有や市場開拓を進めることで、より広範な競争力を持った産業体系を築けます。

地政学的に見ても、トリニダード・トバゴはカリブ地域の中心的な位置にあり、貿易の拡大や農産品の輸出を通じた経済成長が期待されています。特に、近年注目される「持続可能性」をキーワードに生産の規模拡大を目指すことで、地域における存在感をさらに高める可能性があります。しかしながら、自然災害や政治的リスクが依然として障害となるため、それらへの事前対応計画が不可欠です。

結論として、トリニダード・トバゴのココナッツ生産量は長期低迷から回復の兆しを見せつつあるものの、持続的な成長のためには課題克服のための革新的かつ協調的な取り組みが必要です。国際連携を活かしながら、国内外での競争力強化を目指す戦略が、産業の復活と国全体の農業振興につながるでしょう。

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