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トリニダード・トバゴの牛乳生産量推移(1961-2022)

最新の国際連合食糧農業機関(FAO)データによると、トリニダード・トバゴの牛乳生産量は1961年の3,500トンから1986年の11,676トンをピークに、2022年には1,394トンまで大幅に減少しています。この期間には増減を繰り返しながらも、特に2008年以降、顕著な減少傾向にあります。これは農業・経済の構造変化や地政学的リスク、さらには災害リスクなど、さまざまな要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 1,394
2021年 1,708
2020年 2,184
2019年 2,934
2018年 3,456
2017年 3,281
2016年 3,137
2015年 3,731
2014年 3,941
2013年 4,127
2012年 4,188
2011年 5,621
2010年 4,316
2009年 4,830
2008年 5,153
2007年 6,034
2006年 6,866
2005年 7,849
2004年 7,438
2003年 8,897
2002年 9,957
2001年 10,353
2000年 10,477
1999年 10,241
1998年 9,976
1997年 9,838
1996年 9,623
1995年 9,175
1994年 9,371
1993年 9,446
1992年 10,813
1991年 11,578
1990年 11,147
1989年 10,743
1988年 9,964
1987年 10,199
1986年 11,676
1985年 10,884
1984年 10,377
1983年 9,297
1982年 8,091
1981年 6,022
1980年 5,857
1979年 6,446
1978年 6,110
1977年 6,050
1976年 6,515
1975年 7,981
1974年 7,505
1973年 7,460
1972年 10,622
1971年 8,618
1970年 7,482
1969年 10,412
1968年 8,066
1967年 6,609
1966年 5,587
1965年 4,687
1964年 4,687
1963年 4,687
1962年 3,600
1961年 3,500

トリニダード・トバゴの牛乳生産量の推移を見ると、1961年から1986年にかけて緩やかな成長が続き、1986年には11,676トンという最大値を記録しました。この期間の主要な要因として、農業の集約化や国内需要の拡大が挙げられます。しかしその後、生産量は減少傾向に入り、1990年代後半には一旦持ち直したものの、2000年以降再び低下が目立つようになります。

特に2008年以降の急激な減少は、いくつかの要因によるものと考えられます。まず第一に、トリニダード・トバゴの農業構造の変化です。この国では工業化やエネルギー産業(特に石油や天然ガス)への依存が強まり、牛乳生産を含む農業セクターへの投資が縮小している可能性があります。これにより、生産性の向上が進まず、さらには畜産農家の離農が増加していると推測されます。

次に気候変動の影響も無視できません。同国は熱帯地域に位置し、洪水や干ばつといった気候リスクの影響を受けやすい地理的条件にあります。これにより牧草地の利用効率が低下し、生産量の減少につながったと考えられます。また、世界全体で新型コロナウイルス(COVID-19)が経済活動に与えた影響も、この減少に拍車をかけたと見るべきです。パンデミックの際、サプライチェーンが混乱し、国内外での輸送や生産が阻害された可能性があります。

地域衝突や他の地政学的リスクも考慮すべき点です。特に、トリニダード・トバゴ固有のエネルギー価格や国際市場での石油資源の変動は、国内経済全体、ひいては牛乳生産にも少なからず影響を与えたと予想されます。

今後の課題として、農業セクターの復興と持続可能性に向けた具体的な施策が求められます。例えば、技術革新を活用した持続的な牧畜方法の導入や、気候変動に適応できる農業インフラ整備が重要です。さらに、地元コミュニティの農業参加を促進し、小規模農家を支援する政策が必要です。他国、特に農業国であるインドや中国からの技術支援やノウハウを取り入れることも効果的でしょう。また、エネルギー産業とのバランスを再構築し、多様な経済構造を作り出すことも重要です。

国際機関においても、気候変動や環境問題への対応を加速し、トリニダード・トバゴのような小さな島嶼国の取り組みを支援すべきです。その具体例として、国連が進める気候緩和プロジェクトや資金援助スキームなどの利用が挙げられます。

結論として、トリニダード・トバゴの牛乳生産は長期的な減少傾向にあり、これに対しては国内外での協働的な対策が不可欠です。気候変動や農業政策の再構築のみならず、より広範な経済・社会構造の最適化を進めることで、将来的な安定した生産と供給の実現が期待されます。