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トリニダード・トバゴのカカオ豆生産量推移(1961年~2023年)

トリニダード・トバゴのカカオ豆生産量は、1961年に7,030トンだったものの、2022年には300トンまで減少しました。この間、生産量には大きな変動がありました。特に1970年代後半から顕著に減少し、1980年以降では1,000トンを下回る年が続出しています。近年では一部回復の動きも見られましたが、2020年以降は年間300トンにとどまっています。この生産量の低下は、同国の主要農産品としてのカカオ産業の持続性に重大な課題を提起しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 300 -
2022年 300 -
2021年 300 -
2020年 300
-25% ↓
2019年 400
-20% ↓
2018年 500 -
2017年 500 -
2016年 500
24.67% ↑
2015年 401
21.9% ↑
2014年 329
12.1% ↑
2013年 294
-41.3% ↓
2012年 500
25% ↑
2011年 400
-42.86% ↓
2010年 700
16.67% ↑
2009年 600
-14.29% ↓
2008年 700
-12.5% ↓
2007年 800
-50% ↓
2006年 1,600
74.86% ↑
2005年 915
-30.73% ↓
2004年 1,321
34.25% ↑
2003年 984
-40.11% ↓
2002年 1,643
168.9% ↑
2001年 611
-61.64% ↓
2000年 1,593
37.33% ↑
1999年 1,160
-8.66% ↓
1998年 1,270
-27.01% ↓
1997年 1,740
-24.08% ↓
1996年 2,292
30.08% ↑
1995年 1,762
22.11% ↑
1994年 1,443
-18.84% ↓
1993年 1,778
56.1% ↑
1992年 1,139
-43.05% ↓
1991年 2,000
-5.21% ↓
1990年 2,110
41.42% ↑
1989年 1,492
-12.85% ↓
1988年 1,712
14.06% ↑
1987年 1,501
5.26% ↑
1986年 1,426
9.1% ↑
1985年 1,307
-16.22% ↓
1984年 1,560
-9.93% ↓
1983年 1,732
-22.92% ↓
1982年 2,247
-28.55% ↓
1981年 3,145
32.09% ↑
1980年 2,381
-9.4% ↓
1979年 2,628
-22.66% ↓
1978年 3,398
1.58% ↑
1977年 3,345
2.92% ↑
1976年 3,250
-37.98% ↓
1975年 5,240
25.93% ↑
1974年 4,161
31.59% ↑
1973年 3,162
-34.41% ↓
1972年 4,821
27.98% ↑
1971年 3,767
-39.37% ↓
1970年 6,213
79.36% ↑
1969年 3,464
-49.6% ↓
1968年 6,873
30.1% ↑
1967年 5,283
-2.46% ↓
1966年 5,416
6.99% ↑
1965年 5,062
7.34% ↑
1964年 4,716
-35.59% ↓
1963年 7,322
9.04% ↑
1962年 6,715
-4.48% ↓
1961年 7,030 -

トリニダード・トバゴは、かつてカカオ豆の生産で知られ、その特徴的な風味から「トリニタリオ種カカオ」の主要生産国としての地位を築いていました。しかし、過去60年以上にわたる生産量データから、この国のカカオ産業が深刻な衰退を遂げたことが明らかです。1960年代には年間6,000トン以上の生産量を確保していたものの、1970年代に減少が始まり、1980年代には1,000トンをわずかに上回るか、もしくはそれを下回るという水準が続きました。そして2022年には、300トンまで低下しており、かつての規模と比較するとその差は顕著です。

このような減少を引き起こした要因は多岐にわたります。内政においては、他の収益性の高い産業、特に石油・ガス産業に労働力や資本が集中しており、農業分野への投資が減少していました。また、カカオ産業を取り巻くインフラの老朽化や管理体制の弱体化、農園の高齢化といった内部要因も挙げられます。さらに、カカオモザイクウイルスをはじめとする植物病害や気候変動に伴う不確実な環境条件もまた収穫量に影響を与えました。特に近年のデータを見ると、新型コロナウイルスによるパンデミックなど国際的な商業活動の停滞も、生産および輸出の面で悪影響を及ぼしていた可能性があります。

地域的に見ても、トリニダード・トバゴは他のカリブ諸国と比較してもカカオ豆の生産量が大幅に減少しています。一方で、隣接する南米諸国であるエクアドルやペルーなどは近年、生産量の伸長を記録しています。このような違いは、政府主導の政策と事業者支援の有無が主な要因として考えられます。トリニダード・トバゴにおいても、持続可能な栽培技術の普及促進や輸出市場の拡大に向けた国内外の連携が欠かせない状況です。

今後の課題として、農業部門における若年層の参入促進が急務です。現状では、高齢化が進む農園主や農業従事者が多く、新規就農者の不足が深刻な問題として顕在化しています。また、気候変動に対する適応策として、耐性のあるカカオ品種の導入や土壌の保全技術の推進も必要です。これらを達成するためには、政府や民間機関、そして国際機関が協力し、技術支援や資金援助を行うことが求められます。

具体的な対策として、地域に特化した農業支援プログラムの開発を提案します。例えば、地域共同体を活用したカカオ農園の共有や、効率的な灌漑設備の整備、小規模農家向けの収益改善プロジェクトの拡充が挙げられるでしょう。また、地元のカカオ豆を活用したチョコレート製品の国内加工と販売を強化し、付加価値の高い製品として国際市場に売り込むことも産業の復興に寄与すると考えられます。

結論として、トリニダード・トバゴのカカオ生産量の減少が続いている現状は深刻ですが、適切な政策と施策を講じることで、この衰退を抑え、再び振興させることは可能です。その過程では、地域経済だけでなく地球環境にも寄与する農業の未来図を描く必要があります。トリニダード・トバゴはその豊かなカカオの歴史を活かし、持続可能な方法で世界市場に再び名を広めるべきでしょう。