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トリニダード・トバゴのサトウキビ生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国連食糧農業機関(FAO)の最新データによると、トリニダード・トバゴのサトウキビ生産量は過去60年以上にわたる推移で大きな変動を見せています。この国では1961年に2,517,954トンを記録し、1970年代初期までは毎年200万トン以上の生産を維持していました。しかし、その後減少傾向に転じ、2000年代には生産量が50万トン以下にまで落ち込んでいます。特に2004年からは急激な減少が顕著で、以降の回復も限定的にとどまっています。この減少傾向は、国内農業の構造的な問題や市場環境の変化、さらには自然災害や気候変動の影響を反映していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2007年 810,000
-5.81% ↓
2006年 860,000
104.76% ↑
2005年 420,000
-21.5% ↓
2004年 535,000
-38.78% ↓
2003年 873,855
-34.74% ↓
2002年 1,338,934
30.08% ↑
2001年 1,029,339
-25.05% ↓
2000年 1,373,346
9.44% ↑
1999年 1,254,925
18.74% ↑
1998年 1,056,855
-25.46% ↓
1997年 1,417,860
0.98% ↑
1996年 1,404,080
5.89% ↑
1995年 1,326,000
-5.14% ↓
1994年 1,397,780
15.45% ↑
1993年 1,210,760
-6.31% ↓
1992年 1,292,300
-0.66% ↓
1991年 1,300,900
-12.01% ↓
1990年 1,478,413
20.75% ↑
1989年 1,224,402
-1.61% ↓
1988年 1,244,430
12.68% ↑
1987年 1,104,365
-5.23% ↓
1986年 1,165,300
13.16% ↑
1985年 1,029,800
17.13% ↑
1984年 879,200
-12.6% ↓
1983年 1,005,900
-17.55% ↓
1982年 1,220,009
-5.39% ↓
1981年 1,289,521
-24.57% ↓
1980年 1,709,551
1.6% ↑
1979年 1,682,551
8.55% ↑
1978年 1,550,000
-18.03% ↓
1977年 1,891,000
-18.54% ↓
1976年 2,321,380
33.63% ↑
1975年 1,737,225
-12.02% ↓
1974年 1,974,546
-1.58% ↓
1973年 2,006,200
-22.13% ↓
1972年 2,576,383
9.67% ↑
1971年 2,349,221
-10% ↓
1970年 2,610,173
5.08% ↑
1969年 2,484,096
0.59% ↑
1968年 2,469,489
13.01% ↑
1967年 2,185,100
-5.87% ↓
1966年 2,321,459
-8.75% ↓
1965年 2,544,069
10.86% ↑
1964年 2,294,827
-5.06% ↓
1963年 2,417,149
13.15% ↑
1962年 2,136,204
-15.16% ↓
1961年 2,517,954 -
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トリニダード・トバゴにおけるサトウキビ生産は、かつて国の主要な農業産業の一つであり、地域の経済や雇用に貢献する重要な位置を占めていました。特に1960年代から1970年代初頭にかけては、生産量が200万トンから250万トンの間で推移し、これらのデータは国全体の農業政策が成功していたことを表しています。しかし、1980年代に入ると生産量が急激に減少し、その後も不安定な状態が続いています。近年の最も低い記録は、2005年の420,000トンであり、1960年代や1970年代のピーク期の20%以下にまで大幅に落ち込んでいます。

サトウキビ生産の減少には多くの要因が絡んでいます。第一に、国内外の砂糖市場の構造変化が挙げられます。トリニダード・トバゴの砂糖産業は、かつては高い関税の保護や補助金を受けて競争力を維持していました。しかし、国際市場における競争激化に加え、自由貿易協定や関税引き下げの影響で市場環境が厳しくなり、結果として国内産業が圧迫されました。また、主要な輸出先であるEU市場がサトウキビ輸入の条件を変更したことも影響しています。

さらに、国内の農業従事者の高齢化や農地の競争的利用の増加も、重要な課題として挙げられます。都市化の進行により農地が住宅地や工業地へと転用されるケースが増え、サトウキビ以外の作物に対する需要拡大や政策優先の影響も、サトウキビに割かれるリソースを減少させています。また、自然災害や気候変動による干ばつや洪水の発生も生産量を押し下げる一因となっています。近年では雨季と乾季の変化が激しくなり、これが生育や収穫時期に悪影響を及ぼしています。

これらの課題に対処するためには、複数の観点から具体的な取り組みが必要です。例えば、技術革新や農業機械化を進めることで、生産効率を向上させ、作業環境を改善することが求められます。具体的には、耐干ばつ性や病害抵抗性を有する新品種の研究・導入を支援することが考えられるでしょう。また、市場競争力を強化するためには、サトウキビ農家への直接的な支援だけでなく、加工産業や流通チェーンの近代化を促進する必要があります。農業従事者の若年層参入を促すための教育・訓練プログラムや、農業地域でのインフラ整備も重要と考えられます。

加えて、国際的な協調や地域連携を強化することで、市場アクセスを広げ、輸出機会を拡大することも解決策の一つです。特にカリブ海地域の近隣諸国との連携を深め、共有の市場や融資プログラムを設けることにより、共通の課題に対応していく余地があります。

また、地政学的背景も無視できません。トリニダード・トバゴはカリブ海地域に位置し、周辺国との競争や連携がサトウキビ産業に影響を及ぼします。将来的には、気候変動への適応能力がその国際的競争力を決定する要素としてますます重要になると予測されています。同時に、天然ガスや石油資源が豊富な同国ですが、これらの収益に依存するばかりではなく、農業の多様化を進めることが持続可能な発展に繋がるでしょう。

結論として、トリニダード・トバゴのサトウキビ生産が減少している現状は、気候や市場の変化、政策の選択といった要因が複雑に絡み合った結果といえます。しかし、適切な技術導入と戦略的政策、さらには地域連携を強化することで回復の兆しを見出すことが可能です。国際的な支援を活用しつつ、自国の資源を最大限に活用することで、再び安定した生産量に近づくことが期待されます。

トリニダード・トバゴの統計データ
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