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トリニダード・トバゴの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、トリニダード・トバゴの牛乳生産量は、1961年の3,500トンから1973年の10,622トンへと大きく伸びたものの、その後、減少傾向を辿っています。2023年には1,441トンと過去最低水準に落ち込みました。1960年代から1980年代の生産量の成長とは対照的に、2000年代以降は一貫して低下しており、この動きは業界の構造的変化や経済・気候的要因とも関連していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,441
3.37% ↑
2022年 1,394
-18.38% ↓
2021年 1,708
-21.79% ↓
2020年 2,184
-25.56% ↓
2019年 2,934
-15.1% ↓
2018年 3,456
5.33% ↑
2017年 3,281
4.59% ↑
2016年 3,137
-15.92% ↓
2015年 3,731
-5.33% ↓
2014年 3,941
-4.51% ↓
2013年 4,127
-1.46% ↓
2012年 4,188
-25.49% ↓
2011年 5,621
30.23% ↑
2010年 4,316
-10.64% ↓
2009年 4,830
-6.27% ↓
2008年 5,153
-14.6% ↓
2007年 6,034
-12.12% ↓
2006年 6,866
-12.52% ↓
2005年 7,849
5.53% ↑
2004年 7,438
-16.4% ↓
2003年 8,897
-10.65% ↓
2002年 9,957
-3.82% ↓
2001年 10,353
-1.18% ↓
2000年 10,477
2.3% ↑
1999年 10,241
2.66% ↑
1998年 9,976
1.4% ↑
1997年 9,838
2.23% ↑
1996年 9,623
4.88% ↑
1995年 9,175
-2.09% ↓
1994年 9,371
-0.79% ↓
1993年 9,446
-12.64% ↓
1992年 10,813
-6.61% ↓
1991年 11,578
3.87% ↑
1990年 11,147
3.76% ↑
1989年 10,743
7.82% ↑
1988年 9,964
-2.3% ↓
1987年 10,199
-12.65% ↓
1986年 11,676
7.28% ↑
1985年 10,884
4.89% ↑
1984年 10,377
11.62% ↑
1983年 9,297
14.91% ↑
1982年 8,091
34.36% ↑
1981年 6,022
2.82% ↑
1980年 5,857
-9.14% ↓
1979年 6,446
5.5% ↑
1978年 6,110
0.99% ↑
1977年 6,050
-7.14% ↓
1976年 6,515
-18.37% ↓
1975年 7,981
6.34% ↑
1974年 7,505
0.6% ↑
1973年 7,460
-29.77% ↓
1972年 10,622
23.25% ↑
1971年 8,618
15.18% ↑
1970年 7,482
-28.14% ↓
1969年 10,412
29.09% ↑
1968年 8,066
22.05% ↑
1967年 6,609
18.29% ↑
1966年 5,587
19.2% ↑
1965年 4,687 -
1964年 4,687 -
1963年 4,687
30.19% ↑
1962年 3,600
2.86% ↑
1961年 3,500 -

1960年代のトリニダード・トバゴでは、牛乳生産量が順調に増加していました。この成長は主に農業技術の改善や畜産業への投資によって支えられたものであり、特に1968年から1972年にかけての急増は、それを裏付けるデータとなっています。しかし、1973年をピークに生産量が減少に転じ、1980年代に再び一時的な増加を見せた後、再度低迷が続きました。

2000年代から現在までの生産量の減少幅は特に顕著で、2023年には1,441トンへと落ち込みました。このデータは、国内の牛乳生産が持続可能なペースを維持できていないことを示しています。この低下傾向の背景には、いくつかの重要な要因が考えられます。まず、経済的な側面として、国際市場での価格変動や輸入乳製品の台頭がトリニダード・トバゴの地元生産への競争圧力を増加させています。輸入製品が国内市場を席巻すると、地元の小規模な生産者が影響を受け、事業を縮小または停止する事態が引き起こされる可能性があります。

また、気候変動も牛乳生産に影響していると考えられます。高温や降水量の変化によって、牧草の品質や生産量が低下し、牛の健康や乳量に直接の打撃を与える可能性があります。このような気候条件の悪化は特に島嶼国であるトリニダード・トバゴでは懸念されています。

もう一つの課題として、農業労働力の減少や高齢化が挙げられます。高齢世代の農業従事者が引退する一方で、若年層の参加が進んでいない現状が、生産量低迷の一因となっています。このような傾向は同様の状況にある多くの発展途上国でも観察されています。

新型コロナウイルスのパンデミックも、牛乳生産のさらなる低下に影響をもたらしている可能性があります。パンデミック中、物流の混乱、飲食業の縮小、消費行動の変化が、全体的な乳製品需要の低下と生産への悪影響を引き起こしました。

これらの課題に対応するために、いくつかの具体的な対策が提案されます。まず、政府や関連機関による地元生産の支援が必要です。たとえば、技術支援や金融補助を通じて小規模農家をサポートし、持続可能な生産を促進すべきです。また、輸入製品との競争に立ち向かうため、地元ブランドの確立や品質の向上に焦点を当てる必要があります。

さらに、気候変動への適応策として、耐旱性の牧草や気候に適した畜種を導入することで生産効果を高める試みが有益です。また、農場管理技術向上のため、デジタルツールやスマート農業の活用を推進すべきでしょう。

地理的な背景も考慮に入れるべきです。トリニダード・トバゴはカリブ海という特性上、輸送コストが高く、天然災害リスクにもさらされています。地域的な協力枠組みを通じて乳製品のサプライチェーンを強化し、協議型の気候適応や資源利用を進めることで、安全な生産基盤を育成できます。

データの解析結果は、トリニダード・トバゴの畜産業が大きな岐路に立たされていることを示しています。減少傾向を食い止めるには、国際的な成功事例を参考にしつつ、地域の特性と課題に合わせた独自の戦略を形成することが肝要です。結果として、国内の牛乳生産の回復と、農村地域における経済活動の活性化が期待されます。