国連食糧農業機関(FAO)の最新データによると、トリニダード・トバゴのトウモロコシ生産量は1961年の2,400トンから、2022年には5,000トンに増加しています。この期間中、生産量は大きな変動を示しつつも、特に1990年代以降の増加傾向が顕著です。1993年以降、一定の安定を見せつつ、2019年から2022年にかけては5,000トンという最も高い生産量を記録しています。
トリニダード・トバゴのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 5,000 | - |
2022年 | 5,000 | - |
2021年 | 5,000 | - |
2020年 | 5,000 | - |
2019年 | 5,000 |
12.46% ↑
|
2018年 | 4,446 |
10.31% ↑
|
2017年 | 4,031 |
8.62% ↑
|
2016年 | 3,711 |
4.81% ↑
|
2015年 | 3,540 |
1.32% ↑
|
2014年 | 3,494 |
1.78% ↑
|
2013年 | 3,433 |
-1.91% ↓
|
2012年 | 3,500 |
1.13% ↑
|
2011年 | 3,461 |
8.09% ↑
|
2010年 | 3,202 |
6.73% ↑
|
2009年 | 3,000 |
-14.29% ↓
|
2008年 | 3,500 |
-6.67% ↓
|
2007年 | 3,750 |
25% ↑
|
2006年 | 3,000 |
-1.64% ↓
|
2005年 | 3,050 |
1.67% ↑
|
2004年 | 3,000 |
1.52% ↑
|
2003年 | 2,955 |
-10.35% ↓
|
2002年 | 3,296 |
82% ↑
|
2001年 | 1,811 |
85.74% ↑
|
2000年 | 975 |
-2.5% ↓
|
1999年 | 1,000 |
-77.97% ↓
|
1998年 | 4,540 |
-6.02% ↓
|
1997年 | 4,831 |
10.11% ↑
|
1996年 | 4,387 |
-0.55% ↓
|
1995年 | 4,411 |
-8.07% ↓
|
1994年 | 4,799 |
-4.03% ↓
|
1993年 | 5,000 |
42.86% ↑
|
1992年 | 3,500 |
12.9% ↑
|
1991年 | 3,100 |
-8.31% ↓
|
1990年 | 3,381 |
12.7% ↑
|
1989年 | 3,000 | - |
1988年 | 3,000 | - |
1987年 | 3,000 | - |
1986年 | 3,000 | - |
1985年 | 3,000 | - |
1984年 | 3,000 |
3.13% ↑
|
1983年 | 2,909 |
-3.39% ↓
|
1982年 | 3,011 |
-4.35% ↓
|
1981年 | 3,148 |
-1.07% ↓
|
1980年 | 3,182 |
-2.6% ↓
|
1979年 | 3,267 |
-6.66% ↓
|
1978年 | 3,500 |
-7.89% ↓
|
1977年 | 3,800 |
-5% ↓
|
1976年 | 4,000 |
-12.82% ↓
|
1975年 | 4,588 |
12.89% ↑
|
1974年 | 4,064 |
24.28% ↑
|
1973年 | 3,270 |
-12.36% ↓
|
1972年 | 3,731 |
3.07% ↑
|
1971年 | 3,620 |
128.54% ↑
|
1970年 | 1,584 |
19.73% ↑
|
1969年 | 1,323 |
-33.85% ↓
|
1968年 | 2,000 | - |
1967年 | 2,000 | - |
1966年 | 2,000 | - |
1965年 | 2,000 |
-28.57% ↓
|
1964年 | 2,800 | - |
1963年 | 2,800 |
3.7% ↑
|
1962年 | 2,700 |
12.5% ↑
|
1961年 | 2,400 | - |
トリニダード・トバゴのトウモロコシ生産は、1960年代には比較的少量でしたが、1970年代から1980年代にかけては3,000トン前後の安定した生産量を示しました。この時期の増減は、農業技術の発展や社会的・経済的背景、そして気候条件による影響が一因と考えられます。ただし、1969年に1,323トンと大きく低下しており、何らかの外的要因(例えば、自然災害や経済的混乱など)が影響を及ぼした可能性があります。
1990年代に入ると生産量はさらに多様な動きを見せ、1993年に5,000トンを記録するなど、一時的な高水準に達しました。この期間には、国内政策の変化や、農業分野への投資が影響したと推測されます。一方、1999年から2001年にかけては1,000トン前後へ急激に下降し、その後2002年に3,296トンまで急回復する波が見られました。
2000年代後半に入ると、再び3,000トン前後の安定期が続きましたが、2010年代後半からは上昇傾向を示し、2018年に4,446トン、そして2019年以降一貫して5,000トンという過去最高の生産量に達しています。この背景には、近年の農業政策の改善、効率的な灌漑技術の導入、さらに気候変動への適応が図られたことが寄与していると考えられます。
この長期的な推移を見ると、トウモロコシの生産は国内農業における重要な位置を占めているものの、当初は外的要因や政策変更による影響を受けやすい状態だったことが明らかです。ただ、近年の安定的な5,000トンという高い生産水準は、トリニダード・トバゴが農業生産の持続可能性を確保するための取り組みを進めてきた成果を示していると言えます。
しかし現状の生産量が他国と比較して小規模である点も看過できません。例えば、同じカリブ海地域の主要な農業生産国であるジャマイカでは、同時期のトウモロコシ生産量がトリニダード・トバゴの約3倍に達しています。一方で、中国やアメリカといった世界最大級の農業国におけるトウモロコシ生産量は数億トンに及び、トリニダード・トバゴとの生産規模の格差は明らかです。
このような違いの背景には、国内の耕作地面積の小規模性や農業従事者の人口比率の低さが挙げられます。また、地政学的に限られた土地資源をどの作物に配分するかという選択も、生産規模を左右する一因となっています。
今後の課題として、地球規模の気候変動リスクに対応した持続可能な農業技術の普及が求められます。具体的には、高収量品種の採用や、精密農業(データやセンサー技術を活用して最適な栽培条件を管理する農業技術)の導入が効果的となるでしょう。また、地域間協力を進め、カリブ共同体(CARICOM)内での農業技術共有や市場統合を通じた競争力の向上も重要です。
結論として、過去60年以上にわたりトウモロコシ生産量を大きく向上させてきたトリニダード・トバゴは、今後さらなる持続可能な農業発展を目指し、技術的革新や地域協力の強化に努めることが必要です。農業分野への投資を続け、未来の気候変動や地政学的リスクへの対応を強化することで、安定した農作物供給と地域経済の繁栄が実現できるでしょう。