国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年更新のデータによると、トリニダード・トバゴのパパイヤ生産量はこの30年以上で大きな変動を見せています。1991年の180トンから1999年に500トンに増加し、その後2011年に959トン、2014年には1,799トンと急激に伸びました。しかし、2023年には648トンと大幅に減少しており、近年の減少傾向が課題となっています。
トリニダード・トバゴのパパイヤ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 648 |
-47.25% ↓
|
2022年 | 1,228 |
-12.26% ↓
|
2021年 | 1,400 |
-15.66% ↓
|
2020年 | 1,660 |
1.22% ↑
|
2019年 | 1,640 |
25% ↑
|
2018年 | 1,312 |
3.31% ↑
|
2017年 | 1,270 |
34.82% ↑
|
2016年 | 942 |
-30.48% ↓
|
2015年 | 1,355 |
-24.68% ↓
|
2014年 | 1,799 |
66.57% ↑
|
2013年 | 1,080 |
5.16% ↑
|
2012年 | 1,027 |
7.09% ↑
|
2011年 | 959 |
91.8% ↑
|
2010年 | 500 | - |
2009年 | 500 | - |
2008年 | 500 | - |
2007年 | 500 | - |
2006年 | 500 | - |
2005年 | 500 | - |
2004年 | 500 | - |
2003年 | 500 | - |
2002年 | 500 | - |
2001年 | 500 | - |
2000年 | 500 | - |
1999年 | 500 |
100% ↑
|
1998年 | 250 | - |
1997年 | 250 | - |
1996年 | 250 | - |
1995年 | 250 | - |
1994年 | 250 | - |
1993年 | 250 | - |
1992年 | 250 |
38.89% ↑
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1991年 | 180 | - |
トリニダード・トバゴのパパイヤ生産量は、主に国内消費と輸出市場をターゲットに発展してきました。そのデータを見ると、1991年から1998年までは一定の低生産量が続き、年間250トン程度にとどまっていました。この頃は農業の機械化や灌漑などのインフラ整備が未成熟だったことが原因と考えられます。しかし、1999年以降には500トンに増加しました。これは政府の農業支援や栽培技術の改善が大きな影響を与えたといえます。
次に注目すべきは2011年以降の生産量の大幅な増加です。この期間、政府は果物生産を拡大する政策を打ち出し、これに伴い改良品種や効率的な農業技術の導入が進みました。この取り組みによって、パパイヤの生産量が2012年に1,027トン、そして2014年には1,799トンと飛躍的に増加しました。しかし、2015年以降は気候変動による異常気象の影響や農家の高齢化、生産コストの増加が原因で、収穫量が振るわない年が見られるようになりました。
特に、2023年の生産量は648トンと、この30年間で最も低い水準を記録しました。この減少は、近年の地球温暖化による豪雨や干ばつなどの極端な気象現象が原因であると考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の影響による労働力不足や物流の停滞も、生産量に打撃を与えた要因の一つです。農業資材の価格上昇も、生産者の負担を増加させ、生産意欲を低下させた可能性があります。
このような背景から、トリニダード・トバゴの農業セクターでは複数の課題を抱える状況です。まず考えられるのは気候変動への適応が不十分だという点です。例えば、干ばつに強い品種の選定や、灌漑設備の充実が求められます。また、若年層を農業に取り込むためには、農業の魅力を高める取り組みが必要です。たとえば、最新の農業技術を教育機関で教え、より効率的で収益性の高い農業モデルを構築することが有効です。
さらに、輸出マーケットの強化も今後の成長に欠かせない要素です。トリニダード・トバゴのパパイヤは高品質であると評価されていますが、世界市場における競争が激しい中で、さらに差別化を進める必要があります。他国の輸出成功例としては、タイが食品加工技術に投資し、パパイヤ製品を世界的に展開していることが挙げられます。このような事例はトリニダード・トバゴにとって良い学びとなるでしょう。
今後、トリニダード・トバゴがパパイヤ生産量の回復とさらなる成長を実現するためには、農業支援政策の拡充や国際機関との協力が鍵となります。具体的には、持続可能な農業の実現に向け、気候変動適応技術の導入、補助金制度の見直し、そして国際輸出市場の開拓を進めるべきです。生産量の安定は経済的な利益をもたらすだけでなく、地域社会の食料安全保障にも寄与するため、持続的な努力が求められます。