FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、トリニダード・トバゴのプランテン(調理用バナナ)の生産量は、1961年には1,800トンでしたが、長期的に増加傾向を示し、2023年には約5,396トンに達しました。このデータは、トリニダード・トバゴが農業生産の分野で持続的な成長を遂げると同時に、国の食料安全保障や経済においてプランテンが重要な役割を果たしていることを反映しています。一方で、生産量の不安定な年も見られ、特に2008年から2011年の期間や2010年には大きな変動が確認できます。
トリニダード・トバゴのプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 5,396 |
1.35% ↑
|
2022年 | 5,324 |
0.32% ↑
|
2021年 | 5,307 |
-0.8% ↓
|
2020年 | 5,350 |
0.67% ↑
|
2019年 | 5,314 |
1.1% ↑
|
2018年 | 5,257 |
1.16% ↑
|
2017年 | 5,197 |
1.12% ↑
|
2016年 | 5,139 |
0.9% ↑
|
2015年 | 5,093 |
0.85% ↑
|
2014年 | 5,050 |
-1.54% ↓
|
2013年 | 5,129 |
-2.3% ↓
|
2012年 | 5,250 |
5% ↑
|
2011年 | 5,000 |
25% ↑
|
2010年 | 4,000 |
-11.11% ↓
|
2009年 | 4,500 | - |
2008年 | 4,500 |
-10% ↓
|
2007年 | 5,000 |
7.02% ↑
|
2006年 | 4,672 |
0.48% ↑
|
2005年 | 4,650 |
3.33% ↑
|
2004年 | 4,500 |
2.27% ↑
|
2003年 | 4,400 |
2.33% ↑
|
2002年 | 4,300 |
2.38% ↑
|
2001年 | 4,200 |
4.35% ↑
|
2000年 | 4,025 |
-0.18% ↓
|
1999年 | 4,032 |
2.05% ↑
|
1998年 | 3,951 |
-0.84% ↓
|
1997年 | 3,985 |
0.97% ↑
|
1996年 | 3,946 |
0.87% ↑
|
1995年 | 3,913 |
1.62% ↑
|
1994年 | 3,850 |
-0.06% ↓
|
1993年 | 3,852 |
0.74% ↑
|
1992年 | 3,824 |
0.63% ↑
|
1991年 | 3,800 |
3.2% ↑
|
1990年 | 3,682 |
-0.49% ↓
|
1989年 | 3,700 |
2.78% ↑
|
1988年 | 3,600 | - |
1987年 | 3,600 |
2.86% ↑
|
1986年 | 3,500 |
2.94% ↑
|
1985年 | 3,400 | - |
1984年 | 3,400 | - |
1983年 | 3,400 |
3.88% ↑
|
1982年 | 3,273 |
-3.22% ↓
|
1981年 | 3,382 |
-8.15% ↓
|
1980年 | 3,682 |
11.58% ↑
|
1979年 | 3,300 |
2.55% ↑
|
1978年 | 3,218 |
-5.35% ↓
|
1977年 | 3,400 |
3.03% ↑
|
1976年 | 3,300 |
-1.02% ↓
|
1975年 | 3,334 |
22.48% ↑
|
1974年 | 2,722 |
4.37% ↑
|
1973年 | 2,608 |
-6.86% ↓
|
1972年 | 2,800 |
-9.68% ↓
|
1971年 | 3,100 |
-6.37% ↓
|
1970年 | 3,311 |
4.28% ↑
|
1969年 | 3,175 |
14.75% ↑
|
1968年 | 2,767 |
10.9% ↑
|
1967年 | 2,495 |
-28.57% ↓
|
1966年 | 3,493 |
18.49% ↑
|
1965年 | 2,948 |
14.04% ↑
|
1964年 | 2,585 |
13.98% ↑
|
1963年 | 2,268 |
13.4% ↑
|
1962年 | 2,000 |
11.11% ↑
|
1961年 | 1,800 | - |
トリニダード・トバゴのプランテン生産量データから、多くの重要な傾向が読み取れます。プランテンは、同国において重要な農産物であり、現地の料理や家庭での需要が高いため、国内市場で安定供給が求められる作物です。1961年の生産量1,800トンから毎年少しずつ増加を遂げ、50年余りを経て2023年には5,396トンに到達しました。これは、農業技術やインフラの進歩、栽培面積の拡大、農業政策の支援が影響していると考えられます。
特に1986年以降のデータを見ると、3,500トン以上で安定した生産量が維持されています。しかし、2007年以降は5,000トンに近い規模へ成長し、2012年以降は5,000トンを超えるレベルに達するという飛躍的な進歩が確認できます。これは、地域の農業技術の進歩や品種改良の取り組みが寄与していると考えられますが、同時に、この成長に伴い農業労働力の確保や環境保護の重要性も増加していると推測されます。
一方で、2008年および2010年に生産量の大幅な変動が見られたのは注目に値します。2008年には4,500トンまで減少し、2010年には4,000トンとさらに低下しました。これにはさまざまな要因が考えられますが、自然災害や気候変動、あるいは世界的な経済不況が影響を与えた可能性もあります。生産量の不安定さは食料供給の途絶や価格高騰を引き起こす可能性があり、この点は大きな課題となっています。
このデータを国際的な視点で見ると、例えばインドやフィリピン、ケニアなどのプランテン主要生産国と比較して、トリニダード・トバゴの生産量は中規模クラスに属すると言えます。これらの国々の生産量は大規模輸出を支える規模ですが、トリニダード・トバゴでは生産のほとんどが国内消費に回されており、輸出向けの生産が限られていることが明らかです。
将来を見据えると、この国が持続可能な農業を維持するためには、以下のような点で具体的な対策を講じる必要があります。まず、気候変動への適応策として灌漑技術や耐候性品種の開発を進めることが必要です。また、農業従事者の育成や若年層への農業振興の働きかけも重要となるでしょう。さらに、地域の生産システムの安定化を目指し、輸出市場の開拓とともに地元での消費拡大、食品加工産業の発展も検討すべきです。
地政学的な観点からは、トリニダード・トバゴはカリブ海地域の中心に位置しており、この地域でのプランテン需要増加に対して輸出業を強化できるポテンシャルがあります。しかし、天候リスクや地震などの自然災害が頻発する地域であるため、災害対策を含むサプライチェーンの堅固化も急務と言えます。
結論として、データはトリニダード・トバゴにおけるプランテン生産が過去数十年で着実な成長を遂げたことを示しています。一方で、特定の年に見られる生産量変動の原因究明とそれを防ぐための対策、さらには農業生産の質と量を向上させ持続可能な基盤を築くための施策が求められます。同国の農業政策は、この重要な作物の価値と需要をさらに引き上げるために、気候変動や地政学的リスクへの対応を含む持続可能な方法を追求するべきです。