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トリニダード・トバゴのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、2022年のトリニダード・トバゴにおけるオレンジの生産量は3,958トンでした。このデータは、1961年の17,000トンという生産量をピークに、大幅な減少傾向が続いていることを示しています。特に1980年代から2000年代初頭にかけての低迷が顕著であり、その後も生産量は年間4,000トン前後にとどまっています。2015年以降の一時的な回復も見られますが、安定的な増加にはつながっていません。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,502
39.01% ↑
2022年 3,958
-1.42% ↓
2021年 4,015
1.68% ↑
2020年 3,949
1.17% ↑
2019年 3,903
-21.94% ↓
2018年 5,000
-16.67% ↓
2017年 6,000 -
2016年 6,000 -
2015年 6,000
50% ↑
2014年 4,000
48.4% ↑
2013年 2,695
-1.09% ↓
2012年 2,725
-4.39% ↓
2011年 2,850
-11.82% ↓
2010年 3,233
-14.93% ↓
2009年 3,800
-5% ↓
2008年 4,000
14.29% ↑
2007年 3,500 -
2006年 3,500 -
2005年 3,500
-12.5% ↓
2004年 4,000 -
2003年 4,000
-19.79% ↓
2002年 4,987
197.73% ↑
2001年 1,675
-56.81% ↓
2000年 3,878
-37.14% ↓
1999年 6,169
47.13% ↑
1998年 4,193
-38.2% ↓
1997年 6,785
-4.97% ↓
1996年 7,140
-52.1% ↓
1995年 14,906
-6.63% ↓
1994年 15,965
41.79% ↑
1993年 11,260
21.04% ↑
1992年 9,303
-28.96% ↓
1991年 13,095
44.35% ↑
1990年 9,072
20.96% ↑
1989年 7,500
10.29% ↑
1988年 6,800 -
1987年 6,800 -
1986年 6,800 -
1985年 6,800 -
1984年 6,800 -
1983年 6,800 -
1982年 6,800
1.49% ↑
1981年 6,700 -
1980年 6,700
-5.63% ↓
1979年 7,100 -
1978年 7,100
7.58% ↑
1977年 6,600
-50.75% ↓
1976年 13,400
11.67% ↑
1975年 12,000
-0.81% ↓
1974年 12,098
49.25% ↑
1973年 8,106
-45.96% ↓
1972年 15,000
38.95% ↑
1971年 10,795
-39.44% ↓
1970年 17,826
19.09% ↑
1969年 14,969
-21.22% ↓
1968年 19,000
-2.36% ↓
1967年 19,459
0.23% ↑
1966年 19,414
0.95% ↑
1965年 19,232
8.99% ↑
1964年 17,645
34.14% ↑
1963年 13,154
-26.92% ↓
1962年 18,000
5.88% ↑
1961年 17,000 -

オレンジ生産量の推移を分析すると、1960年代の比較的安定した高生産量から、1970年代後半以降の急激な減少と、低い水準での横ばいが目立ちます。この変化にはいくつかの要因が考えられます。まず、国内農地の利用の変化や農業政策の見直しが挙げられます。トリニダード・トバゴはオレンジに限らず、多くの農産物の生産が他国と競争関係にあるため、輸出志向型の競争で不利な立場に立たされている可能性があります。また、気候変動に伴う自然災害や、水資源の不足による農業環境の悪化も影響していると考えられます。

1960年代の好調期に比べると、今日の生産量はわずか25%程度にまで低下しており、特に1990年代以降の低迷が深刻です。この期間、都市化の拡大や農業労働力の減少が、オレンジ生産にマイナスの影響を与えた可能性が高いです。同様に、農業の近代化や効率化が他国に比べて進んでいなかったことも要因のひとつと言えるでしょう。

国際的な視点で見ると、ブラジルやインド、アメリカなどの主要なオレンジ生産国と比較して、トリニダード・トバゴは明らかに劣勢です。例えば、世界最大のオレンジ生産国であるブラジルでは、年間生産量が数千万トンに達しており、トリニダード・トバゴと桁違いの規模です。この差は、国土の広さや気候条件、資金力の違いだけでなく、農業技術の普及や国の戦略的政策の差にも起因しています。

今後の課題として、まず農業政策の見直しが急務です。例えば、農業従事者への経済支援の拡大や、近代的な灌漑技術の導入が必要です。また、オレンジの栽培品種の多様化や、耐病性の高い新品種の育成も重要となります。このほか、輸出産業としての競争力を高めるために、品質向上や価格低下を目指した効率的な生産工程の導入、そして国際市場でのブランド確立が求められます。

地域での協力も重要な要素です。周辺カリブ海諸国との農業技術や市場情報の共有は、トリニダード・トバゴのオレンジ生産再興に向けた有益な手段となるでしょう。また、観光産業との連携も考えられます。特に、地元産オレンジを使用したジュースや加工品を観光客に提供するなどの施策は、地域経済の活性化にも寄与するでしょう。

最後に、気候変動への対応も見逃せません。トリニダード・トバゴは熱帯地域に位置しており、台風や干ばつなどの自然災害のリスクが高まっています。このため、気候変動に強い農業生産システムの確立が重要です。例えば、早朝や夜間の灌漑、効率的な雨水の利用、さらには農地の集約化と省力化を進めることで、生産効率を上げることが可能です。

総じて、トリニダード・トバゴのオレンジ生産量を回復させるためには、長期的な視野に基づく政策策定、地域の特性を活かした産業連携、および国際市場における競争力向上が必要不可欠です。国連や地域連合の協力を得ながら、これらの課題に対処することが、この小国の農業復興の糸口となるでしょう。