Skip to main content

トリニダード・トバゴのオレンジ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、2022年のトリニダード・トバゴにおけるオレンジの生産量は3,958トンでした。このデータは、1961年の17,000トンという生産量をピークに、大幅な減少傾向が続いていることを示しています。特に1980年代から2000年代初頭にかけての低迷が顕著であり、その後も生産量は年間4,000トン前後にとどまっています。2015年以降の一時的な回復も見られますが、安定的な増加にはつながっていません。

年度 生産量(トン)
2022年 3,958
2021年 4,015
2020年 3,949
2019年 3,903
2018年 5,000
2017年 6,000
2016年 6,000
2015年 6,000
2014年 4,000
2013年 2,695
2012年 2,725
2011年 2,850
2010年 3,233
2009年 3,800
2008年 4,000
2007年 3,500
2006年 3,500
2005年 3,500
2004年 4,000
2003年 4,000
2002年 4,987
2001年 1,675
2000年 3,878
1999年 6,169
1998年 4,193
1997年 6,785
1996年 7,140
1995年 14,906
1994年 15,965
1993年 11,260
1992年 9,303
1991年 13,095
1990年 9,072
1989年 7,500
1988年 6,800
1987年 6,800
1986年 6,800
1985年 6,800
1984年 6,800
1983年 6,800
1982年 6,800
1981年 6,700
1980年 6,700
1979年 7,100
1978年 7,100
1977年 6,600
1976年 13,400
1975年 12,000
1974年 12,098
1973年 8,106
1972年 15,000
1971年 10,795
1970年 17,826
1969年 14,969
1968年 19,000
1967年 19,459
1966年 19,414
1965年 19,232
1964年 17,645
1963年 13,154
1962年 18,000
1961年 17,000

オレンジ生産量の推移を分析すると、1960年代の比較的安定した高生産量から、1970年代後半以降の急激な減少と、低い水準での横ばいが目立ちます。この変化にはいくつかの要因が考えられます。まず、国内農地の利用の変化や農業政策の見直しが挙げられます。トリニダード・トバゴはオレンジに限らず、多くの農産物の生産が他国と競争関係にあるため、輸出志向型の競争で不利な立場に立たされている可能性があります。また、気候変動に伴う自然災害や、水資源の不足による農業環境の悪化も影響していると考えられます。

1960年代の好調期に比べると、今日の生産量はわずか25%程度にまで低下しており、特に1990年代以降の低迷が深刻です。この期間、都市化の拡大や農業労働力の減少が、オレンジ生産にマイナスの影響を与えた可能性が高いです。同様に、農業の近代化や効率化が他国に比べて進んでいなかったことも要因のひとつと言えるでしょう。

国際的な視点で見ると、ブラジルやインド、アメリカなどの主要なオレンジ生産国と比較して、トリニダード・トバゴは明らかに劣勢です。例えば、世界最大のオレンジ生産国であるブラジルでは、年間生産量が数千万トンに達しており、トリニダード・トバゴと桁違いの規模です。この差は、国土の広さや気候条件、資金力の違いだけでなく、農業技術の普及や国の戦略的政策の差にも起因しています。

今後の課題として、まず農業政策の見直しが急務です。例えば、農業従事者への経済支援の拡大や、近代的な灌漑技術の導入が必要です。また、オレンジの栽培品種の多様化や、耐病性の高い新品種の育成も重要となります。このほか、輸出産業としての競争力を高めるために、品質向上や価格低下を目指した効率的な生産工程の導入、そして国際市場でのブランド確立が求められます。

地域での協力も重要な要素です。周辺カリブ海諸国との農業技術や市場情報の共有は、トリニダード・トバゴのオレンジ生産再興に向けた有益な手段となるでしょう。また、観光産業との連携も考えられます。特に、地元産オレンジを使用したジュースや加工品を観光客に提供するなどの施策は、地域経済の活性化にも寄与するでしょう。

最後に、気候変動への対応も見逃せません。トリニダード・トバゴは熱帯地域に位置しており、台風や干ばつなどの自然災害のリスクが高まっています。このため、気候変動に強い農業生産システムの確立が重要です。例えば、早朝や夜間の灌漑、効率的な雨水の利用、さらには農地の集約化と省力化を進めることで、生産効率を上げることが可能です。

総じて、トリニダード・トバゴのオレンジ生産量を回復させるためには、長期的な視野に基づく政策策定、地域の特性を活かした産業連携、および国際市場における競争力向上が必要不可欠です。国連や地域連合の協力を得ながら、これらの課題に対処することが、この小国の農業復興の糸口となるでしょう。