Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、トリニダード・トバゴでのキャベツ生産量は、1960年代初頭から2020年代にかけて大きな変動を見せています。1960年代後半から70年代半ばにかけて生産量が増加しピークを迎えた後、1980年以降は減少傾向が顕著で、2000年代後半に最低値を記録しました。しかし、2020年代に入り再び回復の兆しを見せています。2022年には1,717トンの生産量まで増加し、2010年の最低値(326トン)と比較して5倍以上の水準にまで回復しています。
トリニダード・トバゴのキャベツ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 1,717 |
2021年 | 1,367 |
2020年 | 741 |
2019年 | 365 |
2018年 | 790 |
2017年 | 455 |
2016年 | 454 |
2015年 | 609 |
2014年 | 442 |
2013年 | 367 |
2012年 | 1,157 |
2011年 | 787 |
2010年 | 326 |
2009年 | 642 |
2008年 | 999 |
2007年 | 980 |
2006年 | 1,140 |
2005年 | 1,138 |
2004年 | 1,575 |
2003年 | 2,226 |
2002年 | 1,780 |
2001年 | 2,251 |
2000年 | 1,412 |
1999年 | 1,533 |
1998年 | 2,660 |
1997年 | 1,471 |
1996年 | 1,450 |
1995年 | 1,864 |
1994年 | 1,281 |
1993年 | 963 |
1992年 | 1,999 |
1991年 | 2,658 |
1990年 | 1,805 |
1989年 | 1,127 |
1988年 | 950 |
1987年 | 1,386 |
1986年 | 2,987 |
1985年 | 1,777 |
1984年 | 2,053 |
1983年 | 1,541 |
1982年 | 5,370 |
1981年 | 5,625 |
1980年 | 5,779 |
1979年 | 6,000 |
1978年 | 6,238 |
1977年 | 6,200 |
1976年 | 6,500 |
1975年 | 6,634 |
1974年 | 7,042 |
1973年 | 6,123 |
1972年 | 4,500 |
1971年 | 3,000 |
1970年 | 2,189 |
1969年 | 2,131 |
1968年 | 3,048 |
1967年 | 1,637 |
1966年 | 1,407 |
1965年 | 1,412 |
1964年 | 1,642 |
1963年 | 1,877 |
1962年 | 1,875 |
1961年 | 2,266 |
トリニダード・トバゴのキャベツ生産量推移を詳しく見ると、1961年の2,266トンから1974年のピークである7,042トンに至るまで、増加傾向が続きました。この時期には農業技術の発展や農地拡大が生産量増加を支えた可能性がありますが、1975年以降、生産量は徐々に減少し始めます。そして1983年には1,541トンまで減少し、一時的な反発を挟みつつも、全体的には低迷が続くこととなりました。
特に1990年代中盤と2000年代後半には、再び急激な生産量の低下が見られます。2009年と2010年にはそれぞれ642トン、326トンという低水準となり、この時期における農業従事者の減少、都市化による農地縮小、さらには輸入キャベツへの依存増加などがこの現象の主な背景と考えられます。また、この地域特有の気象条件の悪化や気候変動による影響も無視できません。
しかし、2020年代に入り、大きく回復してきています。2021年には1,367トン、2022年には1,717トンと2010年から比べて顕著な回復を示しました。この変化は、農業政策や国際支援の影響、もしくは地域社会での栄養意識向上による地元産キャベツ需要の増加などが要因として考えられます。
トリニダード・トバゴのキャベツ生産量の変動からは、いくつかの課題と将来への可能性が見えてきます。まず、主な課題として、気候変動の影響に備えた持続可能な農業手法の導入が挙げられます。これには、耐気候性の高いキャベツ品種の導入や灌漑システムの強化が含まれるでしょう。また、輸入依存からの脱却を目指すことも、国内農業を活性化する重要なポイントです。そして人口の都市集中化が進む中、農地や農業従事者をどのように確保するかも重要な議題と言えます。
一方で、再び回復基調にあるこの状況をより一層強化するためには、現地の農業従事者への技術支援が鍵となります。例えば、日本のように高効率の農業技術が普及している国々では、多収穫が可能な栽培技術や土壌管理法が導入され、農家の生産性向上が実現しています。トリニダード・トバゴにおいても、こうした技術の導入や研修の実施が有効な対策となるでしょう。また、国際協力を通じた市場拡大や、地域キャベツの品質認証制度を通じたブランド化も検討すべきです。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした物流問題が農業産出への影響を示したように、キャベツ生産においても、地元生産の自給自足能力を強化することが災害や疫病時のリスク軽減に貢献するでしょう。そのため、この回復を一過性に終わらせないためには、農業分野での持続可能な枠組みを整え、さらなる投資と政策支援を実現させていく必要があります。
トリニダード・トバゴのキャベツ生産が安定し、地域の経済や食糧安全保障に貢献するには、社会全体での取り組みと国際的な協力が求められます。このトレンドを見続けながら有効な施策を講じることで、さらなる成長が期待されるでしょう。