FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、トリニダード・トバゴのトマト生産量は1961年から2022年まで明らかな変動を示しています。特に1970年代は生産量の急増が見られた一方、1980年代以降は不安定な推移が続いています。近年では、2020年の2,624トンから2022年の3,343トンへと増加に転じていますが、長期的には減少傾向から回復基調へ移行している状況です。
トリニダード・トバゴのトマト生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,372 |
-58.96% ↓
|
2022年 | 3,343 |
52.66% ↑
|
2021年 | 2,190 |
-16.54% ↓
|
2020年 | 2,624 |
54.35% ↑
|
2019年 | 1,700 |
-3.19% ↓
|
2018年 | 1,756 |
-34.7% ↓
|
2017年 | 2,689 |
17.94% ↑
|
2016年 | 2,280 |
-17.27% ↓
|
2015年 | 2,756 |
81.08% ↑
|
2014年 | 1,522 |
-2.69% ↓
|
2013年 | 1,564 |
2.36% ↑
|
2012年 | 1,528 |
1.19% ↑
|
2011年 | 1,510 |
-32.8% ↓
|
2010年 | 2,247 |
14.29% ↑
|
2009年 | 1,966 |
5.3% ↑
|
2008年 | 1,867 |
-47.98% ↓
|
2007年 | 3,589 |
113.63% ↑
|
2006年 | 1,680 |
2.11% ↑
|
2005年 | 1,645 |
-5.88% ↓
|
2004年 | 1,748 |
-3.48% ↓
|
2003年 | 1,811 |
46.64% ↑
|
2002年 | 1,235 |
-48.8% ↓
|
2001年 | 2,412 |
-11.87% ↓
|
2000年 | 2,737 |
0.33% ↑
|
1999年 | 2,728 |
76.23% ↑
|
1998年 | 1,548 |
-15.5% ↓
|
1997年 | 1,832 |
-35.42% ↓
|
1996年 | 2,837 |
41.85% ↑
|
1995年 | 2,000 |
-0.2% ↓
|
1994年 | 2,004 |
15.44% ↑
|
1993年 | 1,736 |
36.48% ↑
|
1992年 | 1,272 |
-13.06% ↓
|
1991年 | 1,463 |
47.33% ↑
|
1990年 | 993 |
-62.54% ↓
|
1989年 | 2,651 |
17.87% ↑
|
1988年 | 2,249 |
-30.54% ↓
|
1987年 | 3,238 |
38.2% ↑
|
1986年 | 2,343 |
-5.87% ↓
|
1985年 | 2,489 |
-36.38% ↓
|
1984年 | 3,912 |
59.67% ↑
|
1983年 | 2,450 |
-66.73% ↓
|
1982年 | 7,364 |
0.95% ↑
|
1981年 | 7,295 |
-2.73% ↓
|
1980年 | 7,500 |
-1.32% ↓
|
1979年 | 7,600 |
-3.06% ↓
|
1978年 | 7,840 |
-7.76% ↓
|
1977年 | 8,500 |
-7.61% ↓
|
1976年 | 9,200 |
-3.83% ↓
|
1975年 | 9,566 |
-10.3% ↓
|
1974年 | 10,665 |
16.11% ↑
|
1973年 | 9,185 |
26.05% ↑
|
1972年 | 7,287 |
15.05% ↑
|
1971年 | 6,334 |
56.82% ↑
|
1970年 | 4,039 |
5.05% ↑
|
1969年 | 3,845 |
11.77% ↑
|
1968年 | 3,440 |
5.13% ↑
|
1967年 | 3,272 |
-8.68% ↓
|
1966年 | 3,583 |
33.15% ↑
|
1965年 | 2,691 |
3.38% ↑
|
1964年 | 2,603 |
3.5% ↑
|
1963年 | 2,515 | - |
1962年 | 2,515 |
15.69% ↑
|
1961年 | 2,174 | - |
トリニダード・トバゴのトマト生産量は、1961年の2,174トンから1974年の10,665トンに至るまで大きく増加しました。この期間は、生産体制の充実や農業技術の進歩、国内需要の拡大が背景にあると考えられます。しかし、これは1970年代中盤をピークとし、その後の生産量は1975年から徐々に減少し始めました。
1980年代には、生産量が急激に減退する年も多く、1983年には2,450トンという急激な落ち込みが確認されます。この時期の減少要因としては、経済危機や農業政策の不安定さ、生産性の低下、そして競争の激化による農家離れが挙げられる可能性があります。また、1980年代から1990年代を通じ、トリニダード・トバゴは石油・天然ガス産業の拡大に重点を置いており、これが農業部門への投資の不足に繋がったとも言われています。
1990年代から2000年代にかけてのトマト生産量は、年間2,000トン前後で推移する不安定な状況が続いています。2007年には一時的に3,589トンまで回復しましたが、それ以降も大きな増減を繰り返す状態に留まりました。特に2010年代には、1,500トン台まで低迷する年が連続して見られ、これは農業従事者の高齢化、若者の農業離れ、気候変動の影響といった要因が影響を与えた可能性があります。
近年では、2020年代に入ってから徐々に安定感を取り戻しつつあります。2020年には2,624トン、2022年には3,343トンを記録しており、農業分野への政策的介入や地域連携の取り組みが生産の回復に貢献していると推測されます。しかし、コロナ禍による物流の混乱や農作物供給の停滞が短期的な影響を与えた可能性も否定できません。
トリニダード・トバゴにおける地政学的背景を考慮すると、石油収益への依存が高い経済構造が農業の発展に影を落としてきました。その結果、農業の近代化が進まなかったことがトマト生産量の長期的な減少の一因となったと考えられます。他国の事例を参考にすると、例えばオランダのように先進的な農業技術を活用した施設園芸への投資が効果的かもしれません。また、ブラジルやインドのように地元市場と輸出市場の二重の促進策を導入することも、生産体制の改善に寄与するでしょう。
トリニダード・トバゴの未来に向けた課題としては、まず農業分野への若年層の参入を促進する教育政策や支援策が挙げられます。また、気候変動の影響を最小限に抑えるため、耐性作物の開発や農業インフラの整備も必要です。さらに、地域協力の枠組みを強化し、近隣諸国との技術交換や市場提携を行うことが、競争力向上に寄与するでしょう。
結論として、トリニダード・トバゴのトマト生産量は1970年代をピークとして長期的に低迷しましたが、近年では回復傾向が見られます。これを持続可能な成長に繋げるためには、農業の近代化や多角化、さらには地政学的リスクからの脱却を目指した政策が求められている状況です。国際機関や近隣諸国との連携を深め、安定的な生産基盤を構築していくことが重要です。