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トリニダード・トバゴのアボカド生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、トリニダード・トバゴのアボカド生産量は、1961年の180トンから1990年に363トンへと増加しましたが、その後急激な減少を見せています。2023年時点ではわずか51トンとなり、生産量は過去60年以上の最低水準にあります。この推移は、農業政策への変化、天候条件、土壌の劣化、経済的要因など、さまざまな要因が関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 51
-2.51% ↓
2022年 53
-3.91% ↓
2021年 55
-2.22% ↓
2020年 56
-1.82% ↓
2019年 57
-1.72% ↓
2018年 58
-2.13% ↓
2017年 59
-2.08% ↓
2016年 61
-2.01% ↓
2015年 62
-2.03% ↓
2014年 63
-2.01% ↓
2013年 64
-2.01% ↓
2012年 66
-2.01% ↓
2011年 67
-2% ↓
2010年 68
-2.01% ↓
2009年 70
-2.01% ↓
2008年 71
-2% ↓
2007年 73
-2.01% ↓
2006年 74
-2% ↓
2005年 76
-1.98% ↓
2004年 77
-1.99% ↓
2003年 79
-1.99% ↓
2002年 80
-1.98% ↓
2001年 82
-1.98% ↓
2000年 84
-1.98% ↓
1999年 85
-1.98% ↓
1998年 87
-1.97% ↓
1997年 89
-1.97% ↓
1996年 91
-1.96% ↓
1995年 92
-1.96% ↓
1994年 94
-1.96% ↓
1993年 96
-1.96% ↓
1992年 98
-1.97% ↓
1991年 100
-72.45% ↓
1990年 363
17.1% ↑
1989年 310
3.33% ↑
1988年 300
3.45% ↑
1987年 290
3.57% ↑
1986年 280
3.7% ↑
1985年 270 -
1984年 270
3.85% ↑
1983年 260
4% ↑
1982年 250
4.17% ↑
1981年 240
9.09% ↑
1980年 220
4.76% ↑
1979年 210
5% ↑
1978年 200
5.26% ↑
1977年 190
5.56% ↑
1976年 180
5.88% ↑
1975年 170
6.25% ↑
1974年 160
6.67% ↑
1973年 150
-11.76% ↓
1972年 170
-10.53% ↓
1971年 190
-13.64% ↓
1970年 220
-8.33% ↓
1969年 240
-11.11% ↓
1968年 270
8% ↑
1967年 250
8.7% ↑
1966年 230
4.55% ↑
1965年 220
4.76% ↑
1964年 210
3.96% ↑
1963年 202
6.32% ↑
1962年 190
5.56% ↑
1961年 180 -

トリニダード・トバゴにおけるアボカド生産の長期的な推移を見ると、1960年代から1980年代にかけて一定の上昇傾向を見せました。特に1988年から1990年の間では連続的な増加が見られ、最も高い生産量である363トンを1990年に記録しました。しかし、同年以降、急速な減退期が始まり、1991年にはわずか100トン、1990年代後半には年間生産が100トン以下となり、その後も減少傾向が続いています。2023年には51トンと、生産量が過去最低水準にまで落ち込んでいます。

この減少傾向の背景にはさまざまな要因が考えられます。まず、トリニダード・トバゴは面積が狭い島国であり、農地の面積が限られています。このことが農業の大規模生産を難しくしている可能性があります。また、都市化の進展により農地が減少したことや、アボカド栽培から他の収益性の高い作物や産業へのシフトが進んだことが影響している可能性があります。特に1991年以降の急速な減少は、政策的な転換や経済的要因に加えて、天候不順や自然災害などの外部要因が影響していることも考えられます。

また、トリニダード・トバゴの気候条件も影響している可能性があります。アボカドは降水量や土壌条件に敏感な作物であり、気温上昇や異常気象の影響を強く受ける可能性があります。過去数十年の地球温暖化の進行に伴い、生産に不利な条件が増えていることも否定できません。

他国と比較すると、アボカドの主要生産国であるメキシコやペルー、さらには新興のアボカド輸出国であるケニアと比べて、トリニダード・トバゴの生産量は非常に小規模です。これらの国々は広大な栽培面積や輸出市場の成長、効率的な農業技術の導入により、アボカド生産を増加させています。一方で、トリニダード・トバゴは限られたリソースの中で持続可能な農業をどのように進めるのかが課題となっています。

この減少傾向に対する未来への提言としては、まず農業政策の見直しが必要です。具体的には、持続可能な農業技術の導入、農地の保護、農産物市場の拡大を目指す対策が求められます。また、地域特有の気候や土壌条件に適した品種の研究開発や導入を進めることも考えられます。そして、国際社会や近隣諸国との協力を深め、知識や技術の共有を図ることが重要です。さらに、アボカド生産の減少は、農学や経済的観点からの詳細な調査と分析に基づいて、根本的な対策を立案する必要があります。

地政学的視点では、トリニダード・トバゴの農業分野における輸入依存度の増加が、地域的な食料安全保障に影響を及ぼす可能性があります。輸入への依存が進む中で、世界的な供給網の乱れや国際市場の価格変動リスクにもさらされています。アボカドの生産を復元することは、国内の食料自給率を高めるだけでなく、雇用創出や地域経済の活性化にもつながると考えられます。

最後に、気候変動への対応も欠かせない点です。トリニダード・トバゴ全体で、気候変動の影響を緩和しつつ持続可能な農業を発展させるための取り組みを強化することが必須です。灌漑設備の投資や気象データの収集と活用を通じて、効率的な農業を支える基盤整備にも重点を置くべきでしょう。これらの具体的な施策の実現が、今後のアボカド生産量の回復や持続可能な農業の確立を導く鍵となります。